だいたいにおいて、男は女のわがままを聞いてしまうものです。
先ほど、前の記事で書いた税理士さんがお帰りになられる際、どうしても「乗りたい」と言うので、バケツ号で駅まで送っていきました。
おりしも台風の影響か、土砂降りの雨。
バケツ号はファニーカーであり、実用車ではないために、ワイパーは飾りです。
当然、ドアもまともに閉まりません。
エアコンなんかはついてませんし、それがどうしたの?と言う車です。
彼女も35歳とはいえ、未婚で多少きれいかなと思えるときがあります。色気はありませんが。
まあそれでも、ぎりぎり範疇内ですので、「タク呼んだるで、それ乗って帰れ」というには勇気も要ります。
で、「マ・前・・・見えません・・・が、・・・」と及び腰の彼女に、「へーきへーき」と気丈な男を気取ったわけです。
まあ、ドアがしっかり閉まらず、右半身が振り込む雨でドブ漬け状態になりましたけど、「ありがとうございました」と微笑んで車を降りていく彼女に、「来週、メシ食おう」とニヒルに笑う僕。
「友達呼んでおきます」と答える彼女に、「ふたりだけで」と言った。
路面を叩く土砂降りの雨にかき消されたのか、それには答えず、「じゃ!」と手を振る彼女。
聞こえていたと思う。