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witten by 嶋田智之
世界中
うんうんする
26


……ダメ人間? いや、もうダメ人間を通り越して“カス”なんじゃないかと思えてわが事ながらオイオイと泣けてきそうな今日この頃。皆さん、いかがお過ごしでしょうか? 前回を「実はそのDB11の発表に先駆けて、もうひとつ大きなニュースがあったことを忘れちゃいけない」みたいに締めておいて、お前が忘れてたんだろ? といわれそうなほどの、見事なカスっぷり。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
 
というわけで、文字数を抑えるためにも今回はいきなり主題に突入するけれど、その“大きなニュース”とはコレだ。
 
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……あ。コレだけだと判らないか。うん。判らないだろな。僕だってコレだけ見せられて勝手に判れっていわれたら、途方に暮れる。
 
コレは“AM-RB 001”というコードネームで呼ばれるプロジェクトから生まれることになる、アストンマーティンの次世代ハイパーカーのイメージ・イラスト? 初期スケッチ? コンセプト・スケッチ? である。そう、忘れもしない──というわりには正確な日時は忘れちゃったけど──3月真ん中辺り、本国のアストンマーティンから届いたプレス・リリースを見て、僕はブッ飛んじゃったのだ。
 
そこには、簡単にいえば「アストンマーティンはレッドブル・レーシングとパートナーシップを結んだ」「レッドブル・レーシングのエイドリアン・ニューウェイとアストンマーティンのマレク・ライヒマンがコラボレートして、これまでの常識を覆すような究極のハイパーカーを作る」というようなことが記されていた。
 
レッドブル・レーシングといえば、いわずと知れたF1グランプリのトップ・チームのひとつであり、世界最高峰の領域にある“スピード”のための様々なテクノロジーと、素材技術と、緻密さや精密さを誇り、テスターとしての能力も凄まじく高いドライバー達もいる。アストンマーティンは独自の美学と哲学を持ち、生まれたてホヤホヤでアウトプットを大幅に引き上げていく余地のあるV12ツイン・ターボもあれば、ハンドメイドでクルマを生産していく設備も職人達もある。そして、エイドリアン・ニューウェイといえば、歴史上最も成功したエアロディナミシスト(空気力学専門化)であり、レッドブルのレーシングカー・デザイナーでもある。マレク・ライヒマンは、御存知、アストンマーティンのスタイリングデザインを統括するチーフ・クリエイティブ・オフィサー。
 
今や歴史的にはとんでもなく気高い存在になったマクラーレンF1という素晴らしいスーパーカーがあるが、それを設計したのがゴードン・マレーというレーシングカー・デザイナーだったことを忘れちゃいけない。しかもニューウェイは、無類のスポーツカー好きであり、ウルトラ級のエンスージャストであることも、レース界では広く知られているのだ。このコラボレートにワクワクできない理由なんて、ひとかけらもないだろう。究極と究極のコラボレーションなのだから。
 
それだけだって僕にとっては充分に衝撃的だったのに、コレである。
 
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おわかりいただけただろうか? ……では、もう一度。
 
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レッドブルのF1マシンのノーズに、アストンマーティンの象徴である“スカラベの羽”があるのだ。プレス・リリースの最後の方に、「このパートナーシップを祝って、RB12にアストンマーティンのウイング・ロゴをあしらう」と記されていたとおり、ノーズやサイドポッド後方に、スカラベ印が貼られている。前年から噂されていたのとはタッグを組む相手もタッグのカタチも違っていたけれど、1959〜1960年以来の、間違いなくアストンマーティンのF1復帰! なのだ。
 
アストンマーティンのアンディ・パーマーCEOは、それ以前から“モータースポーツにまつわるテクノロジーとアストンマーティンの生み出すスポーツカーに明確なリンクが作れないのであればF1に参入する意味はない”と解釈できるような発言を繰り返していたが、参入する意味を積極的に“創り出した”わけだ。パーマーCEO、おそるべし……。
 
そして前回のコラムで触れたように3月のジュネーヴ・ショーで最大のニュースとなるDB11のデビューがあって、これで少しアストンの動きは静かになるのかな……と思ってた。が、どうしてどうして。ちっとも静かになんかならなかった。4月に入ったら、いきなりコレである。
 
 
おわかりいただけただろうか? ……では、もう一度。今度は写真で御覧いただくことにしよう。
 
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コレで……、
 
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コレである。……おわかりいただけただろうか? ……では、もう一度。じゃなくて! 要はV12ヴァンテージSのラインナップからしばらくドロップしていた、マニュアル・トランスミッションを何の前触れもなく復活させたのだ。しかも、だ。昔の部品を引っ張り出してきたわけじゃなく、AMSHIFTと名付けられた新開発の7速。左下が1速となるHパターンで、ヒール&トゥが面倒なときには自動ブリッピング機能を使うこともできるオマケ付きだ。
 
こっ……これはオタク心をチョーくすぐる。僕は最初のV12ヴァンテージがMTだったことを知っているし、体験してもいる。アストン史上最も運動性能に優れたヴァンテージ系の車体に積まれた世界で最も芳醇なV型12気筒エンジンを、3ペダルとシフトスティックを駆使しながら味わえるなんて、そりゃもう至福の極み以外のナニモノでもない。しかも現行のV12ヴァンテージSは、571psに63.2kgmもあるのだ。……んー、たまらない。このプレスリリースが英国から届いた瞬間、僕の中の“生涯の目標にしたいクルマ・ランキング”はすんなりと入れ替わった。
 
……と思ってたら、その半月後、今度は“死ぬまでに一度は乗ってみたいクルマ・リスト”が入れ替わるニュースが飛び込んできた。
 
 
そう! そうなのだ! 去年の秋に素晴らしく幸運なことにそのステアリングを握り、ハナヂを噴くかと思うくらいに興奮させられた、ヴァンテージGT12。そのV8版ともいうべきヴァンテージV8が、いきなり発表されたのだ。
 
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クルマの成り立ちは、ヴァンテージGT8にかなり近いといっていいだろう。2016年シーズンのGTカテゴリーを戦うV8ヴァンテージGTEには及ばないものの、そのフィーリングや通常のモデルでは届かない領域を楽しめるように作られた、ストリートを走ることのできるサーキット向けの150台のみの限定車である。パワーユニットは446psと、数字だけを見ればV8ヴァンテージSより10ps高められたに過ぎないが、こちらは車体が横方向にワイドになり、シャシーを引き締め、空気の流れも味方につけ、100kgほども軽い。もうそう聞いただけで走らせてみたくなるじゃないか。これをサーキットで走らせてみたいと思うのは、当然の気持ちの流れじゃないか。
 
……あ。アストンは今年もニュルやル・マンをはじめとしたレース・シーンを戦ってるわけだけど、そのレーシング・スピリッツがありありと解るような動画を見つけちゃったので、それも貼っておこう。
 
 
そしてそして、ヴァンテージGT8の興奮冷めやらぬ5日後、頭の中がライヴで興奮している真っ最中だというのに、今度はそれとちょっとばかり性質の違う興奮が襲ってきた。うあ、何て美しいのだろう……である。
 
 
毎年5月の終わりが近づいた頃にイタリアのコモ湖で開催される“コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ”でお披露目された、ヴァンキッシュ・ザガートだ。そう、2011年以来のミラノのカロッツェリア・ザガートとのコラボレート作は、現行アストンのフラッグシップであり、最も美しいスタイリングを誇るヴァンキッシュをベースに作られた。
 
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マレク・ライヒマン率いるイギリスはゲイドンのデザイン・チームと、ザガートの現当主であるアンドレア・ザガートとチーフ・デザイナーである原田則彦をチーフとしたイタリアはミラノの手練れ達の共同作品。詳しくはこの26日に発売される『ROSSO』誌でねちっこく紹介させてもらってるのでそちらを御覧いただきたいのだが、まぁよくもここまでベースとなったヴァンキッシュの持ち味を殺すことなく新たな魅力を注ぎ込んだものだと思う。
 
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オール・カーボン製のボディ・パネルなんて、おそらく1枚たりともベース車と同じものはないだろう。しかもパネルの継ぎ目がほとんどないから、スタイリングの流れがスムーズでめちゃめちゃ綺麗。ほかにも「ほほぉ……」と思える要素はたくさんあって、どれだけ拘ってるんだ? と思えてくるほど美しい。アストン+ザガートのコラボ作はそれぞれ見事としかいいようのないスタイリングをしているけれど、個人的にはDB4GTザガートを除けばこのヴァンキッシュ・ザガートが最も好きと公言してもいい。
 
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ただただひたすらホワ〜ンと憧れて写真を眺めては溜息をしていたわけだが、つい昨日(6月21日)、このヴァンキッシュ・ザガートが正式に発売されることがアナウンスされて、今度は別の溜息が出てきた。このクルマのキーを手にすることができるたった99人の男(と女)が羨ましくて溜まらない。何せアストン+ザガートのコラボ作は、新車の段階で手に入れない限り、マーケットにはまず出回らない。頑張っていずれ手に入れるぞー! という望みは、ほぼ絶たれているも同然なのだから……。
 
ってなわけで、3回にわたって“今いちばん面白いスポーツカー・ブランドってアストンなんだよねー。なぜならば……”ってなことをお伝えしてきたわけだけど、ほんと……凄いでしょ? あらためて(それも駆け足で)振り返ってみて、僕自身もその展開の速さと幅の広さに圧倒されたほどだ。
 
歴史的に見て何度も存在の危機に直面してきたアストンマーティンを立て直して現在の基盤を作ったのが、前CEOのドクター・ウルリッヒ・ベッツであったことは確かだ。が、それをさらに大きく高く広く飛躍させているのが、現CEOのアンディ・パーマーの手腕であることは間違いない。今の時点ではヴァンキッシュ・ザガートの発売決定が最後のニュースではあるけれど、この何とも胸躍る躍動感みたいなものは、まだまだ続きそうだ。
 
きっと9月のパリ・サロンでも何かあったりするのだろうなぁ……。いや、その前にいきなり、また驚かされるような何かがあったりして……。
 
あっ。また4000w超えちゃってる……。
 

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