Anycaにはいいクルマが揃いすぎている
とはいえ、過去に本気で買いたいと思ったクルマはあったそう。
「ただ、コスト面でどうしても不安で……。おそらく、一括では買えないのでローンで買うことになります。たとえば、月4万円のローンを払って、駐車場、さらには保険代も払って合計月6万円だとしたら、年間100万円かかりますよね。そしたらAnycaで100回くらいカーシェアできますよね。1年に100回クルマ使いますか?って考えると使わないですよね。しかもいろんな車が乗れるのに…って考えると全然買えないんです!」
Anycaを利用し、見続けてきた吉田さんだからこそ、自身がクルマを買った時の状況を冷静に分析する。
「やはり、Anycaで維持費を軽減しても、クルマの所有には一定のコストが掛かります。それに、Anycaにはいいクルマが揃いすぎている(笑)。私の自宅最寄り駅から3駅先にポルシェがあって、乗り換えする駅にアウディのA5があって、ちょっと大人数で出かける時に乗りたいミニバンが自宅徒歩圏内にある。これだけクルマが選べるのに自分で車を買う満足度が利便性を超越できるのかとても疑問です。」
もう、悩みに悩んで日々を過ごされているんですね……。
クルマを持ってないけど徹底解説。こんなクルマを買うべし
実は、吉田さんの話は、ここからが本番。
本連載は、あくまでAnycaでカーシェアを始めようかと検討している人向けのコラム。吉田さんは「こんな人はクルマを買うべきと、自身の分析をもとにAnyca向きのクルマを解説してくれたのだ。
「重要なのは当然「いくらでシェアできるか」そして「いくらで売れるか」です。シェアリングに来るお客さんは多かれ少なかれ、売却先になる可能性もあるのです。この時にどれくらいお得に見えるかもキーなのです。」
「BMWの5シリーズやアウディのA7、メルセデスのSクラスなどの高級セダンは、買ったその瞬間から再販価値が大暴落するのであまりおすすめできません。Sクラスなどの大型高級セダンに至っては新車価格から300万円以上落ちることも珍しくありません。また3年に一回モデルチェンジしちゃうので、そのタイミングでも値落ちします。」
だが、”古い輸入車”には狙い目のクルマがあるという。キーワードは、「価格が定まったクルマ」だ。
「”次のモデルがもう出ないクルマ”というのは売値も買値も固定し続ける傾向にあります。たとえばBMW3シリーズカブリオレ・クーペは次のモデルがもう出ません。現在は2シリーズと4シリーズに統合されました。なので、50万円で買ったBMW3シリーズカブリオレは、個人売買ならば50万円で売れる可能性が高いです。もう値段の幅が広がらないからです。
また次のモデルが出てしまうクルマでも、そのタームが長いクルマでかつ1~2モデル古いクルマは価格が安定していることがあります。これは初期型のカイエンなどが当てはまるでしょう。」
また、Anyca内で人気車種の一つ、カクカクした古いJeepチェロキー(1990〜2001年)もそれに当てはまるという。
「この手の「諸事情で一定の需要がある・需要が高いわけではないけど一定の顧客が居続けるクルマ」については、モデルチェンジ関係なしにおすすめです。古いMINIやジムニー、Jeepチェロキーがこれにあたるでしょう。
見分け方は中古市場での売値と買値が10年ほど変わっていないクルマ。この傾向を見れば明らかですが、買った額とほぼ同じ額で売れる可能性が高いです。車検前に手放してしまえば、追加出費も抑えられて実質ほぼ0円で乗れる可能性すらあります。それに、この手のクルマはAnycaでのシェア料金の相場も決して安すぎないレベルでほぼ決まっています(6,000〜8,000円)。これはおそらくそこまでオーナーが多くないので、変動して安値競争に陥る可能性が低いからでしょう。」
Anyca向き、つまりシェアで維持費を軽減しやすいクルマは「ハッタリ」の効く車なのではないかと吉田さんは語る。では「ハッタリ」とは?
「コンパクトカーだって100万はくだりません。今や軽自動車だって、オプション付ければ200万の時代なのです。一方でBMW3シリーズカブリオレやジャガーのXJ(2001年周辺のモデル)、Jeepチェロキー、初期型カイエンなどはそれとほぼ同様の金額で買えます(むしろ少し安い)。
ここでイメージしてみてほしいんですが、新型のヴィッツが10,000円でシェアに出されていても予約されにくいですよね?でもカイエンならどうですか?ハードルは圧倒的に違うはずです。これが「ハッタリ」です。原価は同じハズなのに「車についているイメージ」が違う。
つまり効率的に維持費を軽減できるのです。またお得感が高いので個人間におけるユーザーの買い手もつきやすいはずです。これは即売というメンテナンスコストの削減につながるので、シェア用のクルマとし一つアドバンテージです。」
”指名シェア”を狙うカーシェア戦略
吉田さん、では、どんなクルマを買えばよいのでしょうか?
「シェアに対して不安な人も多いでしょうから、やはり”指名シェア”を狙うしかないですね」
”指名シェア”とは、Anycaのラインナップにはまだ存在していないクルマをシェアすることで、そのクルマに乗りたいニッチな人をターゲットにシェアする戦略のこと。以前取材したBMWZ4オーナーの佐野さんもこの戦略をおすすめしていた(http://news.anyca.net/article/2018/6/26/s16)。
「月に1回だけど、確実に毎月シェアリクエストが入るような車種を狙うんです。数は少ないけれど、そのクルマに乗りたいという人がコンスタントに居続けるクルマであれば、シェア料金も安くする必要もありませんし、何より車をそれなりに知っている人が利用しに来るので、事故リスクが低いです」
吉田さん、そこまで分析できているならば、やっぱりクルマを買ったほうがいいと思います!