兄弟車のブレラやスパイダーと共用の部分はあるものの、どちらかと言うと159はそう いったクーペやオープンカーなどのエッセンスをうまく貰っている側にある立場なので、当然ながらスタイリングは流麗だ。156の時代と比べるとリアの隠し 取っ手などの「遊び」はの要素は無くなり、むしろ大人の風格が漂っている。
最近は燃費性能は車を選ぶ基準の重要なファクターを占めている。新型プリウスはリッター38kmも走るといい、そのお陰もあってか発表したばかりなのにバックオーダーが何万台、納車は数カ月先と聞く。 さて振り返って我らが159だが、これはかなり悪い部類に入るといえよう。この広報車は総走行距離5000kmのちょうど慣らしが終わったくらいの個体だが、アベレージが1リッター5.9kmを指している。やはり1700kgを超える重さを3.2Lの大排気量でぶん回すのだから、あたり前といえばあたり前なのだが、これからのエコ社会、そうは言ってもいられない風向きなので、ぜひ燃費の改善はお願いしたいところだ。 Mitoで採用しされた「DNA」システムを採用すればかなり改善するのでは?と思う。なぜならこのTI、常にやる気全開モードに躾られており、ちょっと勢いよく走ろうものならATが『やる気なのですねご主人さま。キラリーン』と判断して2速からなかなかシフトアップしなかったりするやんちゃなロジックを持っている。走りは確かに楽しくて仕方ないのだが、結果燃費は悪くなるので、普段は抑えめのモードがあったりするといいと思う。それを思うとDNAシステムは走り好きなオーナーにはもってこいのシステムだなあとつくづく思うのだ。 ただ、アバタもエクボという言葉があるように、アルファのオーナーというのは得てして自分の車の欠点を自慢するという、(変態的な?)嗜好があり、この159に限って言っても、「オレのイチゴーキューってめっちゃいい車なんだけどさー、燃費がチョー悪いんだよねえ~」というヘンな自慢が聞こえてきそうである。そのくらいの欠点が無ければ「アルファらしくない」のかも知れない。
クーペやオープンでチョイ悪感を出すのは簡単だ。なぜならドア二枚というのは既にそこで「非日常」を演出しているし、基本2人しか乗れないということも、運転席と助手席の2人のドラマを連想させるには十分だ。 しかしなれど4ドアでそれを出すのは難しい。4ドア、かつチョイ悪の代表格なのはマセラティのクワトロポルテだが、159もマセほどではないにしろ、それを出すのに成功している数少ないモデルのひとつだと言えよう。
(5月29日訂正しました)箱根を走ってワインディングでの159を再評価。ハンドリングには遊びが少なく、タイトなコーナーなどは強引に、クイックに切れ込んでいく。煮詰められた足回りと相まって、いわゆるオンザレールの感覚が強い。かなりのスピードでコーナーに進入しても、足が粘ってグイーっと曲がっていく。ブレーキも奥の方の懐が深く、踏んだら踏んだだけ利く。パドルシフトで2速に落とすとセレスピートのようにドラマティックに変速するわけではないが、クイックに変速して、思いのままに3→2→3速と目まぐるしく変えても違和感なくシフトチェンジしていく。これは、、、楽しい! 同時にやはり重いボディのネガティブな面も見え隠れする。ブレンボが屠られたブレーキのストッピングパワーはたしかに強烈であるが、やはりBMWやポルシェなどと比較すると、若干甘い部分もあることは否めない。 ただ、限界を探るのではなく、気持ちよくワインディングをドライブするには良く躾けられた足回りと盛り盛りのトルクによりかなり楽しいドライブを提供してくれることは間違いない。