G-TECHと言えばフィアット・アバルト・アルファロメオなどのイタリア車のチューニングメーカーとして最近では徐々に認知度が上がって来ていて、編集部の周りでも装着しているユーザーが何人かいるが、そのパフォーマンスの評価は上々だ。
そして今後はメガーヌ・ルーテシア・カングー・キャプチャーなど、ルノーの車のチューニングも手掛けて行くとのことで、その第一弾となるのがメガーヌRS用のパフォーマンスKIT(サブコン)だ。
今回はウイングオートヨーロピアンショールームを出発し、名神高速道路を使って彦根ICを下り、琵琶湖のほとりを周遊ドライブしながら目的地は奥琵琶湖パークウェイのつづら尾崎展望台と設定した。
マシンスペックは以下の通り。
Renault MEGANE RS
全長×全幅×全高 4320×1850×1435mm
ホイールベース 2640mm
トレッド前/後 1590/1545mm
車両重量 1430kg
最高出力 250ps(184kW)/5500rpm
G-TECHサブコン装着後→272ps
最大トルク 34.7kg・m(340Nm)/3000rpm
G-TECHサブコン装着後→390Nm
種類 直列4気筒DOHC16バルブターボ
総排気量 1998cc
内径×行程 82.7mm×93.0mm
圧縮比 8.6
過給機 ターボ
サスペンション形式(前) マクファーソン(ピボット独立式)/コイル
サスペンション形式(後) トレーリングアーム/コイル
ブレーキ形式(前) ベンチレーテッドディスク
ブレーキ形式(後) ディスク
タイヤサイズ(前) 235/40ZR18
タイヤサイズ(後) 235/40ZR18
駆動方式 FF
トランスミッション
6MT
社外パーツ
・RAYS TE37アルミホイール18inch
・アラゴスタ車高調
G-TECHパフォーマンスキット………………………………128,000円(工賃別)
■高速道路~抜群の安定感と強烈な加速~
まず高速道路に乗って感じたのはこの車、とにかく安定していて安心して加速できる。1850mmあるマシンの全幅と、アラゴスタの車高調で引き締められた足回りと低く構えた車高がもたらす低重心、さらにはRAYS製ホイールTE37と組み合わされるミシュランパイロットスポーツの相性が抜群で、とにかく路面に吸い付くように走る。G-TECHパワーをそのままタイヤを通じてこれでもかと言うほどアスファルトを蹴り込んでいくのだ。
G-TECHのパフォーマンスKITの恩恵を受けたエンジンは走り出しから強烈なGを感じる。その強大なパワーをガッチリとマシン全体で受け止め更に加速していく。鋭すぎてどこか脆さを感じるイタリア車と違い、車体の大きさやパッケージングにもある程度余裕を持たせて安定の上に速いメガーヌRS。車としての扱い易さは、かなり高く感じた。
■一般道路~湖畔クルーズで考える"Circle of Life"~
マシンの方向性がスパルタンな部分もあり、名神高速道路の路面状況の悪さも手伝って、高速道路での乗り心地は正直お世辞にも良いとは言えなかったが、彦根ICを下り、湖畔道路に入ったあたりから、比較的新しいフラットな道路に入るので非常に気持ちよく流せるようになる。
琵琶湖には多くの人が訪れ、思い思いの休日を過ごしている。水上スポーツを楽しむ人、釣りを楽しむ人、カフェで寛ぐ人達や、同じように琵琶湖を周遊するバイカーや自転車でのツーリングの仲間達。それぞれの人生を過ごしている。
最近のルノーは車単体としてのデザインではなく、それぞれの人生のステージに合った車を、というの考え方の「サイクル・オブ・ライフ」がルノーとしてのデザインコンセプトになっている。
人と人が出会い恋に落ち(LOVE)、ふたりは世界中を旅し(EXPLORE)、家族を持ち(FAMILY)、働いて充足し(WORK)、余暇を楽しみ(PLAY)、そして賢さを得る(WISDOM)という6つのライフステージがあり、ステージごとにクルマのコンセプトが決まる。(LOVE)はアルピーヌや初代トゥインゴ、(EXPLORE)はクロスオーバー、(FAMILY)はMPV、(WORK)は商用車やビジネスセダン、(PLAY)はルノースポール、(WISDOM)は電気自動車。
このようにして、ルノーのデザイン理念のもと、それぞれのステージを表現するクルマをデザインする計画が「サイクル・オブ・ライフ」である。
このメガーヌRSは(PLAY)に当たると思うが、まさに余暇を楽しむためにある車だと思う。左ハンドルの6速マニュアルトランスミッションの組合せなど、他のインポーターはなかなか出せるものではない。今後もぜひこの姿勢を貫いて欲しいとイチ車趣味人として節に願う。
琵琶湖を見ながらのドライブは所々に秋を感じながら、景色の良いところで止まって撮影しつつ、奥琵琶湖パークウェイへ入っていく。
■ワインディング~G-TECHの真骨頂~
そして目的地の奥琵琶湖パークウェイのつづら尾崎展望台へと到着。
天気が良いとこのような素晴らしい景色を拝むことが出来る。この展望台も土日はかなり車やバイクのツーリングのお客さんで賑わう場所だ。
そして最後のドライビングプレジャースポット、つづら尾崎展望台から国道303号線までの約13㎞のワインディングコースを駆け抜ける。
タイトなコーナーの連続で、まさに車としての総合力を試される場所である。
しかしだからこそ、このワインディング、メガーヌRS G-TECHの真骨頂が引き出せる場所でもあった。
切れば切るほどにそのまま曲がっていくハンドリング、路面に喰らい付くかの如くまったく挙動が乱れない。
そしてアップダウンの激しい此処では2速と3速を交互に使ってマシンパワーを引き出していくことになるが、兎に角、とにかくレスポンスが良い。ちょっとギアの選択を間違ったかなと、思う場面からでも力強く加速していく。これはエンジンパワーだけでなく、トルクも向上するG-TECHのパフォーマンスKITだからこその真骨頂と言えよう。
運転に夢中になっているうちにあっという間に13㎞を駆け抜けてしまった。
ルノー×G-TECHの今後の展開が楽しみだ。