イタリア人の無言かつ分かりやすい後方からの圧力に耐えかね、
前のトラックを追い越すため、Mitoのギアを2速に落とし、対向車線に踊り出た!はずだった。
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MT乗りの皆さんなら絶対一度は経験がありますよね、焦った時ほどギアがうまくゲートに収まらないってことが!
僕も普段MT車に乗っていますよ。MTの扱いには自信がありますよ。
ただし、、、右ハンドルの。
僕自身、ヌヴォラGTVは大変気に入っているのですが、唯一気に入っていないのが、「右ハンドル」であること。
ここはイタリア。当然左ハンドルなので、右手でシフトをする。そのこと自体、慣れていなかった自分にとって、Mitoとのコミュニケーションに最後まで苦しんだポイントの一つだった。
とここまで書けばご想像通りの展開。が最初の不運。(というより実力か)
ガキッ、ガキッっと2度程シフトゲートと格闘した後、なんとか2速に放り込んだのだが、もうそこで
完全にテンパってしまい、冷静な判断力は失われていた。
なおかつ、1.4Lの排気量とこの車がディーゼルエンジンであることも追い打ちをかけた。
テンパっている上、変速することに完全に怯えた僕は、このまま2速でトラックを追い抜こうとアクセルをフラットアウト。
しかし、この車、2速でのパワーバンドが異常に狭かった。
このターボディーゼルはエンジン回転数が1500~2500回転くらいの間で、時速20kmで2速、30kmで3速、40kmで4速・・・という風に使うと、ウルトラスムーズに加速していき、1.4Lとは思えない程の速さで走ってくれるのだが、うまくこのパワーバンドの中で扱わないと、まったく加速してくれない。
要は「ヘタクソな奴には美味しい思いはさせないよ」っていうとんでもないツンデレ車だったのだ。
したがって、折角2速に落としたはいいけど、まったくスピードが上がらず、トラックと延々と並走するような形になってしまった。
しかも、
このトラックの全長がまた長かった!!
それでもじわりじわりとトラックを追い抜いてはいるのだが、なかなか先頭までたどり着けない。
かと言って、今更3速に上げる勇気もない。気は焦る一方のその時、
ついに前から車がやってきてしまった。
咄嗟に今の速度でトラックを追い越すのと、その前に対向車とぶつかるのと、どっちが速いか、目測した。なんかイケそうな気がした。そう思いたかった。
だって、ちょうどトラックの全長の真ん中まで来てしまっていたので、今更減速して元のトラックの後ろにつくことも出来なかったし。。。
もう僕に選択肢は1つしかなかった。
「このまま2速で追い抜く!」
そこからは意外と永い時間が流れた。
じわりじわりとトラックを追い抜きつつ、対向車は自分の速度と相まってどんどん近づいてくる。
でもどうすることも出来ないので、ひたすら抜けきるその時を待ちながら。
ああ、これが走馬灯ってやつですか、と思いながら(笑)
数秒後、Mitoをトラックの前に「斜めに」(追い抜いてからの車線変更というよりは「斜めに」)滑り込ませた直後、対向車が僕の脇をすり抜けて行た。
ほんとーーーーーーーーに!危ない瞬間だった。
いつも慣れているGTVが3Lの排気量の恩恵による豊かなトルクのおかげで、いつもシフトのつながりは非常に滑らかで、かつ、大抵どのギアにどの速度域でも、2〜5速のどれを選択しても、ちゃんと加速して行ってくれるという運転者にあま〜い車だったこと(そんなGTVが大好きなのですけど)も要因のひとつかも知れない。
ハンドルを持つ手が震えて冷や汗でベトベトだったけど、なんとか事無きを得た安堵感で、3速にアップした瞬間、
コイツ、ものすごい勢いで加速していくでやんの!トルクが細ることが怖かったのもあり、2速のままだったのだが、3速の方がトルクが厚かった!
オイ!!
とMitoに向かってツッ込んだのは言うまでもない。
でも何とかトラックを追い抜くことが出来て、「どうだイタリア人!おまいらが言うように抜いてやったぜ!」
と後ろの車線をミラー越しに見ながら後続が来るのを待っていたのだが、僕の追い越しのやり取りを見てドンだけ長いトラックなんだと思ったのか何なのか知らないけど、
ちーーーーっともトラックを抜いて来なかった!なんだそれ!
オイ!!
とイタリアにツッ込んだのは言うまでもない。
と、オチがついたところで(ホントだよ)おしまい。
慣れない車で追い越しは止めましょう、という教訓でした。
おわり。
次からはランボルギーニ見学の続きです。まだ続きますので、おつきあいくださいな。