軽油とレギュラーガソリンの値段差が少ない現在、ディーゼル乗用車復活の国内での勢いに少し衰えを感じていますが、ディーゼル乗用車の日本国内販売を長引かせている因子は他にも多くあるようです。
一番の要因は同じ車両でガソリン車と比べると絶対的にディーゼル車の値段が高くなってしまうこと。
これにはハイブリッド程の値段差まではいかないまでも、ウン十万円ほどの差は大抵開いてしまいます。それはガソリンエンジンよりも丈夫で高価な部品が多いこと(高圧化するポンプユニットからピエゾインジェクター、白金などを多く使う酸化触媒/NOx吸蔵触媒にセラミックを使用したDPF、可変ノズル付ターボ など)からです。
この値段の理屈はヨーロッパの一般ユーザーであってもディーゼル文化があるので問題ありませんが、日本やアメリカの一般ユーザーには敬遠されてしまうかもしれません。
二番目としては、日本の軽油がヨーロッパの軽油と違うところ。
最近の日本の軽油もS(硫黄)分が減ってきてますが、それでも違うところもあります。ディーゼルの場合燃料特性の依存性は高いので(噴射量制御や後処理制御など)、やはり同じでないことから日本軽油なりの適合も日本特有の使用(低速度/低負荷国)に応じた適合と検証が必要になります。
三番目としては、オイル管理が大事なところ。
これは一般的に現代の故障知らずの日本車からは忘れがちなポイントですが、オイルだってエンジンで燃焼してます。それは燃焼ガス(排気ガス)ではオイルアッシュ(灰)になって現れます。ガソリンの3次元触媒はモノリス触媒なので正直スルーですが、ディーゼルだとDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)でPMと一緒にフィルター内で引っかかってしまいます。フィルターで引っかかるので良いように思えますが、DPF再生で詰まったPMは燃えますがオイルアッシュは別です。 そして、高圧縮なディーゼル(最近のは音を静かにさせるのもあって乗用ディーゼル車だと16くらい)だけにオイルが汚れる頻度も必然と高く、そこに再生時にはポスト噴射(エンジン燃焼では燃えないタイミングで噴く燃料)は必ずオイルを希釈させる訳ですから何かとオイルの管理が大事になります。
四番目には、日本ディーラーでディーゼルサービス対応するインフラが整ってないこと。
この10年以上日本ではディーゼル車が売られて無かった間に、ディーゼル車のシステムは多く進化してきました。それによってディーゼルシステムによるサービスのインフラも必要になります。メカニックの方々もコモンレール式になってからディーゼル触れてる方はそれ程居ませんし、またディーゼルのための専用ツールやアフターサービスの環境も整えなければなりません。
五番目にディーゼルの高トルクに合わせたトランスミッションが必要なこと。
ディーゼルが普及しているヨーロッパではMTの比率がまだまだ高いことからあんまり問題視されませんが、日本やアメリカではほとんどが車と言ったらAT車。 ディーゼルは高トルク特性な事もあってガソリンと同じATを使ない場合があります。特に日本ではCVTが流行っていますので尚更です。トランスミッションのトルク限界からエンジントルク特性が決められている現代の車ではコストとミッション重量から観点からもディーゼル専用ATミッションなんぞや厳しいです。 一番の問題と同様でやはりエンジンが高くなる理由と共にトランスミッションからも車両値段を高くしてしまいます。
以上、ざっと何点か出しましたが、これ以外にも当然まだあるでしょう。
日本のメーカーさん、ヨーロッパメーカーさんがディーゼル車の日本市場販売に中々踏み切れないのも何となく分かる様な気がします。
そうであっても、日本市場へのディーゼル車の導入に期待したいですね!
並行でディーゼル車を購入する場合には、ディーゼルメンテナンスしてくれて、そのディーゼルエンジンメーカーの診断テスターを持っているかが重要なので、買う側ユーザーもそれなりの認識が必要だと思います。