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witten by 嶋田智之
世界中
うんうんする
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近頃の iPhone は、結構綺麗に撮れるのだよねぇ。内緒だけど某誌の連載の自分で撮る写真は、100% iPhone によるものだったりする。この熟成極まった DB9GTの写真は『Tipo』誌の取材時のときのもの。


「今いちばん面白いスポーツカー・ブランドってアストンなんだよねー。なぜならば……」と来て「っていうところまで話を持っていこうと思ってたんだけど」と続け、「もう飲んじゃったからなー」と展開した後、「また次回」と拾い直して「何日か後にね」とスライドさせ、「……たぶん」で締めた、前回のコラム。その“何日か後”というのが具体的にどのくらいまでの期間なら世の中的に許されるのか、そこんところはさっぱり判らないのだけど、前回の公開から33日後に続きを書いているというのは、さすがに“何日か後”に該当したりはしないだろう。
 
“カーくる”のトガリさんやイカイさんは僕の性格や普段の状況を理解してくださってるうえにいいヒト達なので、ゆるーくやっていくことを許してくださってるけど、開始早々にこれではいけない。もう「何日か後にね」という言い回しは避けなきゃいけないね。うんうん。
 
期待をしてくださっていた2~3人の皆さんへのお詫びの意味も込め、そしてさらにはこの33日間にわたる構想期間(?)に当のアストンマーティンが新しい話題を送り出してくれちゃったので、今回は……長いぞぉ。

 
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アンディ・パーマーCEO。1963年6月生まれ。ニュルブルクリンク24時間レースを走ることを目標に、自らヴァンテージGT4で英国内のレースにも参戦するカー・ガイでもある。育った街から僅か5マイルのところに位置するゲイドンのアストンマーティン本社にて。


さて、なぜアストンマーティンが今いちばん面白いスポーツカー・ブランドだと僕が感じているのか。それは2014年の秋にアンディ・パーマーさんがCEOに就任してからこっち、展開が目まぐるしく素早いからだ。しかも、その勢いはまだまだ止まりそうにないのである。
 
パーマーCEOは、以前は日産自動車の副社長を勤めておられ、あのカルロス・ゴーンさんの後継と目されていた方だ。英国内の自動車メーカーでエンジニアとしてキャリアをスタートし、1991年に日産テクニカル・センター・ヨーロッパに移籍、そこでは副マネージング・ダイレクターとして主にデザインやテストの分野を担当されたという。2002年に日本に来られてからは経営サイドの業務に携わるようになり、日産のグループ内企業の経営を複数こなしながら2011年からは日産本体の副社長に就任。そしてチーフ・プランニング・オフィサーとして商品企画を担当されていた。エンジニアとしての考え方も、経営者としての考え方も、プランナーとしての考え方もできる、というわけだ。
 
2015年の2月、就任されてから数ヶ月後のパーマーCEOにインタビューさせていただいたことがある。そのとき彼は「アストンマーティンはDAIGINJO(大吟醸)のような存在であるべき」、つまり誰かと競ったりひけらかしたりするためのスーパー・スポーツカーではなく、独自の美意識の元に丁寧に作られ、慈しむように味わって楽しむための存在であるべき、ということを示唆する考え方を表明してファンを安心させてくれたばかりでなく、そのうえで「ラインナップを全て刷新する。年に1車種ぐらいのペースで発表していけるといいと思っている」と語り、驚かせてくれた。
 
展開は本当に素早かった。そのインタビュー直後に開催されたジュネーヴ・ショーには、もちろん刷新ではなかったけれど、ティーザー予告されていた1台の派生車種と1台の全く新しいサーキット専用限定車、そして全くのサプライズで1台のコンセプトカーが並べられていた。違う仕事で渡欧していた僕は、たった半日だったけど観に行くことができて、会場内で小躍りした。いや、ホントに躍ってたらツマミ出されてたと思うけど……。
 
ともあれ、そのときに展示されていた派生車種とは、これだ。
 
 
ヴァンテージGT12、である。アストンはここ数年ヴァンテージでGTレースを戦っているわけだが、GT12はそのGT3マシンと通常の市販ラインナップにあるV12ヴァンテージSの間に置かれた世界100台の限定車。最も運動性能のいい車体に個人的には世界で最も豊潤と感じてるV12ユニットを積んだV12ヴァンテージSに、エンジンを600psにパワーアップ、車重を100kgほど絞り込み、トレッドの拡大を含めて足腰を全面的にセットし直し、空力を思い切り見直すなど、あらゆるところに手を加えたスペシャル・モデルだ。エアコンとオーディオとインフォティメント・システムを持ったレーシングカー、といった成り立ちである。
 
実はウルトラ級に幸福なことなのだけど、僕は世界にたった100台の貴重なこのモデルを、サーキットで試乗させていただくことができた。
 

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これは『ROSSO』誌の取材でヴァンテージGT12に試乗することが叶ったときのカット。死ぬまでに一度は乗ってみたいと思ってから、夢見心地以外のナニモノでもない体験だった。

いや、そりゃもう驚きだった。パワーが上がって車重が軽くなってる分だけ速さを増してるのは当然として、ただでさえフロントに決しては小さいとはいえないV12エンジンを積んでるわりには気持ちよく曲がってくれるのがV12ヴァンテージSの美点だというのに、それを遙かに超える勢いでグイグイ曲がる。パワーもトルクも強力なのにデリバリーがしやすく、慣れればステアリングでもスロットルでもどちらでも自在に曲がっていける印象だった。袖ヶ浦フォレストレースウェイのコースを3周たらず、距離にすれば7km程度、コーナーの数は合わせて29個という限られた条件での試乗だったから僕の腕前ではそれ以上の領域には踏み込めなかったけど、アストンが伊達や酔狂でレース活動をしてるわけじゃないってことを身体と感覚に叩き込まれたような、そんな体験だった。
 
そして、ジュネーヴのブースのメイン・キャストだったのは、このクルマだった。ヴァルカン、である。
 


これ、もうサウンドだけで痺れちゃうでしょ? V12ユニットは自然吸気のまま、何と800psオーバー! までパワーが引き上げられていて、それをマウントする車体の方は、モノコックもボディ・パネルもカーボンファイバー製。サスペンションはプッシュロッド式でブレーキもカーボンセラミック。いや、もう事実上はベースも何もなく、全くゼロから作ったマシンといっていいだろう。
 
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ヴァルカンの名前は、1950年代に英国空軍に配備されていた戦略爆撃機からインスピレーションを得たものだという。元をただせばローマ神話に登場する火の神、ヴァルカーヌスの英語読みが原点かも? なんて勝手に想像してるのだけど。
 
ヴァルカンの残念なところは、完全にサーキット走行に特化した作りになっていて公道走行が不可であること。そして、たった24台しか生産されないこと。つまり僕達が路上でこの美しい野獣に遭遇する可能性はゼロなのだ。……が、何と嬉しいことにっ! ごく最近、日本にも1台、ヴァルカンが上陸した。もしかしたらどこかのサーキットで皆さんも観ることができるかも知れない。……っていうか、僕が観たい。もう一度観たい。今、神に何でもいいから望みを叶えてやるといわれたら、僕は迷わず「ヴァルカンに乗りたいです!」と子供のように大声でお願いするだろう。
 
そしてもう1台。まるっきりのサプライズで、ちょうど飛行機に乗ってたから知らずに会場に行ってヒックリ返ったのがこのクルマの展示だった。DBXと名付けられたコンセプトカーである。
 
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DBXはアストンマーティンの歴史上初めてといえる、全く新しいコンセプトを持って計画されているモデル。すでに市販化に向けて動き出している模様。
 
近頃流行りのクロスオーバーSUVのように思われるかも知れないが、アストンではこれをSUVとは呼ばず、誰もがいかなるシチュエーションでも走らせることのできるスポーツカーでありグランドツアラーである、という位置づけだ。ショーに展示されたモノはおそらく原寸大のモックアップだろうと思われたが、その時点で発表されていたのは、これが4輪駆動であり、完全な電気自動車であるということ。アストンはすでにラピードに水素ハイブリッドのパワートレーンを搭載したクルマをニュルブルクリンク24時間レースで走らせているし、市販前提で開発されたラピードのEVも完成している。新世代のパワートレーンに対しても積極的なのだ。その後、このDBXコンセプトをベースにしたモデルの市販化も決定したと報じられていて、果たして本当にEVで来るのか、それともV12やV8も搭載するのか、個人的にも興味津々だったりする。
 
このジュネーヴ・ショーで発表されたクルマ達の後、年末に向かって次第に盛り上がっていったのが、そう、これだ。世界で一番有名なスパイのためのクルマ。



このDB10については2014年の年末に写真だけは公開されてたけれど、『007 SPECTRE』の公開が近づくにつれて、映画のプロモーションムービーやアストン自身によるプレヴューで、気分がどんどんヒートアップ。撮影用に全部で10台が作られたうちのたった2台のみが展示用で、それはもちろん世界中で取り合いになったわけだけど、アストンマーティン・ジャパンががんばって争奪戦を乗り切ってくれたおかげで日本にもやってきて、あちこちでお披露目された。御覧になれた幸運な方もおられるんじゃないだろうか? 

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最新のボンドカーであるDB10は、昨年晩秋、映画の公開前のプロモーションで日本にも上陸。これは“TOKYO BOND GIRL COLLECTION”なるファッション系イベントに潜入したときのもの。このときばかりは珍しく、ボンド・ガール風のモデルさん達よりもDB10。早く近づいてシゲシゲ観たかったから、ファッションショー急いで終わってくれぇ……と願っていたのだった。

DB10がV8ヴァンテージをベースに作られたことは公然の秘密だけど、ヴァンテージのプラットフォームの上にこれだけガラッと異なるスタイリングデザインを、それも全く異なる美しさをもって創り上げたとは驚き。マレク・ライヒマン率いるスタイリング・チームの実力の高さの、ひとつの証といえるだろう。しかもこのDB10と先述のヴァルカンは、アストンマーティンのこれからのデザインの方向性を示唆してる、と公式的にアナウンスされていたのだ。

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これがDB11の、公式的な世界初公開の瞬間。僕は今年のジュネーヴにはいけなかったのだけど、それより半月少々前に関係者や最重要顧客にそっとお披露目するための席に潜り込んで実車を見せていただいた。文句なしにカッコイイっす!
 
それを証明したのはこの3月のジュネーヴ・ショーで発表され、前回のコラムで御紹介したDB11というわけなのだけど、実はそのDB11の発表に先駆けて、もうひとつ大きなニュースがあったことを忘れちゃいけない。
 
忘れちゃいけないのだけど、よくよく数えてみたら、まだ途中だっていうのに文字数4500wオーバーになっちゃった。さすがにもうここまで来ると、読んでくださってても苦痛を感じるレベルでしょ? なので今回はここまでにして、続きはまた次回。何日か後にね。……あれ?
 
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