続いてはランボルギーニ ガヤルドLP560-4スパイダーを試乗する。
ベイビーランボルギーニとはいえそこは立派なスーパーカー、乗り降りも緊張する。
低いポジションにあるシートに乗りこんだ後、インポーターの方にひととおり操作方法の説明をいただく。リバースギアのボタンがハンドルの左側のインパネ内にあり、押しボタン式になっているなんて、説明を聞かなければすぐには分からない。危うく前進しか出来ない車になるところだった(苦笑)
あとパドルを両方同時に手前に引くことでニュートラルに戻ること、写真上のサイドブレーキ前方にあるのがe-ギアのモードボタンで、左から「スポーツ」「オートマチック」「低ミュー路」という切り替えスイッチということを頭に入れ、いざエンジン始動!
イグニッションキーを捻ると「
ファン!」と何とも言えない、そして透き通った大きな咆哮が響き渡る。まずこの音の演出だけで痺れてしまう。
走り始めて感じたのはまずパドルの位置が若干高めにあること。慣れの問題だと思うが、そんなことすら「スーパーカー仕様か!?」と思ってしまう。
ブレーキの効き方も独特で、奥の方でガッと効くような感じがあり、最初はブレーキすることすら慣れが必要だった。しかしそれもまた「これもまたスーパーカーの仕様なのか!?」と思えてしまう。
5リッターV10の500ps/7800rpm、52.0kgmのトルクは完全にそれまで乗っていた車たちとは切り離された世界で、スロットルペダルを開く右足に過敏に反応し、踏めば踏むだけ前へ前へと突進していく。例えて言うならジェットコースターを自分の感覚で操っているようなもの。
一体どこまで出てしまうのか怖くなるが、今回は45分という枠の中で一般道のみの試乗だったので、その片鱗しか味わうことが出来なかった。しかしそれでも十分すぎるほどの快楽を得ることが出来た。
筆者は普段ミッションこそ運転の醍醐味だと思っていたのだが、クラッチレスでこれほど運転が楽しいと思ったことはかつてなかった。運転手の意図にリニアに反応する操作性もさることながら、一番の感動はその「音」にあり、スロットルペダルを踏み込みタコメーターが3500rpmあたりを指した頃、可変バルブが作動して、面白いほどに盛大にエキゾーストノートが響き渡る。「これがスーパーカーだ」と言わんばかりに。
正直普段は改造車のマフラー音などは耳障りに感じる方だが、この透き通った管楽器のような音色は格別で、その楽器を自分の右足で演奏しているかのような感覚と、脳ミソが振られるくらいの加速感と、スパイダーならではの解放感と、音がこもることなくダイレクトに空気を伝って降り注いでくる感動は本当に乗ってみないと体験できない世界で、改めて「車を運転するのって楽しい!!」と心が熱くなる。
若者のクルマ離れが進んでいるという話はよく耳にするが、それはこういう車に接する機会がないからじゃないか、この車に乗ったらそれがたとえ助手席であってもきっと10人中7~8人は一発で車好きになってしまうだろう、この車はそんな魅力を秘めている一台に感じた。
さらに面白かったのは、e-ギアをスポーツモードに切り替えた途端、それまで滑らかだったシフトアップ、ダウンが、「ガキン、ガキン」という金属音とともに繋がるようになり、さらに変速時間が短くなって、運転してる感がさらに増す。変速のショックも大きくなるのだが、「その分いい仕事してまっせ」と車が話しかけて来ているよう。
そしてだんだんこの車に慣れて来て、クセが分かってくると、最初の予想に反してものすごく乗り易いことに気が付く。
途中Uターンで信号のある街中を走った時も低速シフトでギクシャクすることもなく、あくまでスムーズに運転することが出来た。
ガヤルドが普段乗りできるスーパーカーと言われる所以なのだろう。実際の車幅より車が小さく感じられ、運転し易かった。
総括して、スタイリングも括弧良くかつオープンで、音も速さも異次元の車で、確かにゼロが一個多いのは理由があり、それは確かにその価値はあるなと思わせてくれた一台だった。
やっぱり車って、面白い。
JAIA試乗会 づづく。