たまにカメラを持ち出してはシャッターを切る
思い惹かれるシーンを切り取ることもあるけど
ほとんどは何気なく撮りっ放すもの
乾いて澄んだ冬の青空へ
子どもたちは大きく飛び上がっていく
モノクロが好きだ
色を欠いたその場面に再び色とりどりの世界をつくれる
見返すときどきの心情が記憶の中の色彩に微妙な変化をおこす
ときにうれしく、ときにせつなく、風景がいのちを吹き返す
春まだ浅い公園の桜
あさつゆにすべてのものが潤っていく
むこうの平地林がモヤに霞む
一年余りを過ごした出向先が遠くに見える
今は見ることのないこの風景が
遥か昔のことのように、こころの中で色づいていく