306をわが家に迎えてもう10年になる。
細君のものとはいえボクの趣味を押しつけたようなもんだ。
遠くまで探しに行った中古5速MのXSi、色はルシファーレッド。
かつてCMで見聞きした「もう一生プジョーかもしれない」というフレーズが、印象に残っている。
シャワーを浴びるナイスガイとルシファーレッドの306が映っていたっけ。
鮮烈な赤色をした瑞々しいボディは、今も強烈に脳裏に焼き付いてる。
大好きな306、手に入れる前もそのあともワクワク感がずーっと続いている。
306は断然5速Mの方がおもしろい。
グニャリと入る独特のギアは妙だけど気持ちいいし、キビキビした走りには気持ちが高ぶる。
特有の乗り心地は言うまでもない。
できれば左ハンドルで乗りたかった。
ギア操作の上からも、車のマニュアルは左ハンドルにこそ合っていると思う。
力を込めて差し込む1速は、右ハンでは体からもっとも遠くにあってけっこう疲れる。
車の剛性に怪しいところがあるのが、またイイ。
路肩の段差を乗り越えるたび、どこからともなく聞こえるきしみ音は、意外といやな音じゃない。
まるで人が「さぁやるぞっ」というときに指や首をポキポキッとやるような感じに思えなくはない。
聞き慣れた今では、あの音がしないとかえって心配になるくらいさ。
ついには心のエッセンスのようにも思えてくる。
そんな人間味あふれるフランス車を、愛してやまない理由は語り尽くせない。
シートに座る、ハンドル握る、ミラー合わせる、エンジン音に耳を傾ける
・・・関わるすべての動作が喜びそのものなんだよね。
これから先も、こんな楽しい車に巡り会えたらいいなぁ。
静かにたたずむ306の、そのエンブレムをそっとなでてみたりしてる。
「もう一生プジョーかもしれない」のCMは見つからなかった、残念。
こちらは106のCM。