引っぱりに引っぱったポルシェミュージアム編も
いよいよ、今回で最後です。
今回は”RennSport”特集後編になりま~す。
まずは、それまでクラス優勝に甘んじてきたポルシェに、初のワールドチャンピョンシップを
もたらした
”908”です。
展示車は
”908 LH Coupe”
LHは”ラング・ヘック”ドイツ語でロングテールの意味です。
この通りリヤ・オーバーハングに”PORSCHE”のロゴ入りストライプが書けるほど長いです。
エンジンは、68年からの排気量制限規定(フォード・シャパラル閉めだし規定)を受け、
新開発された3リッターのフラット8を搭載。
見慣れない車ですが、
”909 BergSpyder”です。
Berg=山という意味のとおり、ポルシェのヒルクライム専用レーサーです。
このBergSpyder、アルミ製のスペースフレームの採用や、上り坂での前軸の荷重減少を
防ぐレイアウト変更(ギヤボックスをリヤオーバーハングから、エンジンと後輪の間に
レイアウトしドライバー位置を前進させる)など、ヒルクライムならではの成り立ちで、
なかなか面白いです。
あと、”ベルクスパイダー”って響きがカッコよ過ぎ!
ちょっとフルカウルミニ四駆みたいだけど・・(^_^;)
そして、ポルシェのヒストリックレースカーとしては、”栄光のルマン”の影響で知名度の高い
”917”です。展示車は、’70年のLe Mansでポルシェに念願の初総合優勝をもたらした、
ポルシェ・オーストリア・ザルツブルグの917K。
この個体は、おそらく
917-023だと思われます。一時期、松田コレクションの所有で
御殿場のポルシェ博物館にあったこともある個体です。
松田コレクションがこの917-023を入手した時のエピソードとして、
アメリカのコレクターから、当初ジョン・ワイアチームにデリバリされた917-026として
購入するも、後からレストア時にシャシNo.プレートを取り違えて付けられていることが
判明し、023であることが分かったという記事を読んだことがあります。
事実、松田コレクションの917Kは、最初ガルフカラー(ジョン・ワイア仕様)だったのが、
後にこのザルツブルグカラーに戻されていましたね。
917は、このザルツブルグの023以外にも、多数展示されていました。
”917 PA Spyder”
詳細は不明ですが、6~7.2リッターのフラット16を搭載と説明にあるため、
Can-Am車両開発の実験用に造られたテストカーと思われます。
”917KH Coupe”
カラーリングからジョンワイアの917-035(015リビルド車)かな・・・
”917LH Coupe”
’70年にザルツブルグ、’71年にマルティニからLe Mans参戦するも
共にリタイアの917-042。
”917/20”通称”Pig”とも”Pink Pig”とも言われる、
ボディ全体に豚肉の部位が書かれている特徴的な917です。
こんなカラーリングですが、エントリーはマルティニからです。
マルティニ側がこのカラーリングを気に入らず、一切マルティニのロゴを
入れるなと言ったとか言わないとか(^_^;)
”917KH Coupe”
一見、普通の917Kですが、’71年のLe Mans優勝車(917-053)です。
この053、まさに
隠れワークスの真髄で、なんと他の917がアルミフレームなのに
対して、シャシNo.051~053のみが
マグネシウム製フレームを使用していました。
軽くなった分バランスウエイトを使い重量配分を最適化、操縦性の向上は
著しかったそうです。
グループCカーの代表格ともいえる
”962C”です。
展示車は’87年のLe Mans優勝車。
これは’82年の
”956”を使ったダウンフォースを判りやすく?伝える展示(^_^;)
理論上321.4km/hで天井に張りつくほどのダウンフォースが生まれるということか。
公式まで書いてあるところが、ドイツらしいが肝心のCa値の求め方が知りたい!!
Ca値以外は、空気抵抗の式と同じです(^_^;)
’96年の
911GT1です。
962C以来のワークス体制でLe Mans参戦するも、前年ポルシェが
チーム・ヨーストに売却したWSC-95(TWR製シャシ+962Cエンジン)に
優勝を持っていかれるという、何とも皮肉な結果に・・・
ちなみにこのカラーリングは、スポンサーの”Mobil”のロゴから
デジタル処理で作り出した模様だそうです。
一見、993のように見えるヘッドライトも全く別物ですね。
”’98 911GT1”です。
’97年も’96年同様に、ヨーストに優勝をさらわれたポルシェ・ワークスが
’98年に念願の総合優勝をこの車で獲得しました(^_^;)
こちらはまだ記憶に新しい
”RS Spyder”です。
’05年登場のLMP2カーで、アメリカのLe Mansシリーズでは上位クラスの
アウディをも脅かしたRS Spyder。
3.4リッター V8を搭載。
このエンジンは、コンセプトモデル918Spyder・918RSRに
使われるなど今後の展開が気になりますね。
最後に911を2台。
”911 Carrera RSR”
タルガフローリオにワールドタイトルが賭けられた最後の年’73年に出場し
クラス優勝を成し遂げます。
”911SC Safari”
’78年にサファリ・ラリーに出場したSCです。
911といえば車高を下げたサーキットトラック仕様が一般的ですが、
SCにしろSCRSにしろ、オフロード用に車高を上げた911、
僕はかなり好きです。
ドイツ国内ラリーでは、いまだに911GT3などで出ているエントラントもいるみたいです。
ポルシェ社史からレーシングヒストリーまで、ポルシェの世界を存分に堪能できる
ポルシェミュージアムのレポート、いかがでしたか?
是非、お近くにお立ち寄りの際は寄ってみてください。
車好きなら、出る頃にはポルシェ好きになっていることでしょう(^_^;)
はじめからクライマックス的な今回の旅ですが、ご心配なく。次の博物館もクライマックスです(^_^;)