仕事の合間を見ながら描いた『クアドリフォリオ』。
これが完成するには半年以上の時間を要した。
勿論仕事最優先であるから仕方ないのだが、ここまで時間がかかったのには『手を抜きたくない』という大前提があった。
常々、教え子には
「手を抜くな!たとえまだまだ稚拙な絵やストーリーでも手を抜いた作品は見ればわかる」
と説いてきた。
それは自分に言い聞かせているのである。「このコマこれでいいや~」となるとすべてを台無しにする・・・。
後に編集さんに『パイロット版』と呼ばれるようになる、この時描いた『クアドリフォリオ』は当時の自分なりに100%を出した・・・。
07年10月末、デザイン専門学校に講談社の編集2名が来られた。
生徒の青田買いが目的なのだが、そんな中、自分は
「生徒の作品をすべて見た後でかまいませんから自分の作品を見てください!」
と、先生という立場もわきまえず、図々しくも見てもらうことになった。
編集さんが一通り生徒の作品を見る。
色よい返事をもらう者、辛らつな批評を受ける者、悲喜交々の中、最後に『クアドリフォリオ』を見てもらう。
BOBA:「生徒は新人の入団テストですが、自分はトライアウトのつもりです!」
編集さんは苦笑していましたが、作品を読んで開口一番こう言った。
「いいですねぇ!うまいですね~!」
内容に関して突っ込みどころが無かったわけではないので、自信が無かった自分はその言葉に安心した。
と同時に次の展開が気になった。
編集さん:「この作品、コピーして持ち帰っていいですか?」
BOBA:「は、はい!!ありがとうございます!!」
編:「すぐにリアクションできるかはわかりませんが検討させていただきますね」
まずは一次選考をクリア!
が、その後1ヶ月ほど音沙汰無し・・・。
なんだ・・・やはり社交辞令か・・・と思っていた頃突然見知らぬ電話番号から携帯が鳴る。
03・・・東京??
その電話は双葉社のSと名乗る編集からの電話だった。
Sさん:「BOBAさんの作品、講談社の方から見せて頂きました。結構出版社って横のつながりがありまして・・・BOBAさんの凄く良かったです!!つきましてはこの作品を連載させていただけませんか??」
BOBA:「え!?れ、連載!?は、はい!喜んで!」
Sさん:「ありがとうございます!それでは近日中に別件で関西に出張がありますのでその足で広島に行きます!詳しい話はそこでしましょう!」
BOBA:「!!わ、わかりました!お待ちしております!」
・・・・正直驚いた。パイロット版そのものを読み切りで掲載の話でも凄いのにまさかいきなり連載??
F3からF3000を飛ばしてF1に乗ったA・セナの気分・・・ちと大袈裟??
でもそれぐらい嬉しかった。
数日後、双葉社のSさんが広島に来られた・・・
次回『いよいよ創刊・・・!?』に続く