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さあいこう   光の彼方、闇の向こうへ
witten by オイヤス
世界中
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さて、よく晴れた休日だ
ガレージの中ではルガーノさん、いてもたってもいられぬよう
「はやくいこうよ。」

時計の針は午前11時まであとすこし
ずいぶんとゆっくりとした出発だな
冷たい空気が頬に心地いい


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遠くの山は群青色に映え、そのまた向こうに雪山が連なる
今日はどこまでいけるだろう
ちょっとそこまで、あてもない旅が始まる
ボクはそっとアクセルを踏みこんだ

突然だけど、イタフラ車にはとても惹かれる
そしてなぜか気配を感じてしまうもの
「あっ、MITOだ!」
圏央道を八王子方面へすこし走ったところで、イタリアンポップに抜かれた


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思わず追いかけてしまいそうなくらい、カワイイけど
意識してると思われても何だし、ストーカーと勘違いされるのは不本意だ
ここは、ぐっとこらえて見送ることに
「バイバイ、MITO。」

直後、遥か前方に大きなイタリアンジェラートが現れた、富士山だ
雪を抱いたその姿は、見事にアイスクリームの様相
さすがだ、どんな姿もすばらしい

ここでルガーノさん、なんとなく富士山へ向かう気になったよう
上り坂をものともせず、ぐんぐん進む
そして中央道から富士五湖方面へ....

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ところで、富士吉田といえば「うどん」
高速を降り、R138沿いの「権七」で遅お昼をとる
おすすめの「かきあげ天ぷら¥650」を注文した
素朴な中に、懐かしさを感じる味だ
なんとサービスのおでん付き
なによりお店の人柄が温かくて、うれしくなる


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気持ちもおなかも満たされて、そろりと走りだす
しばらくいくと、森の中に水族館を見つけた
「富士湧水の里水族館」の空飛ぶ魚たちにしばし見とれる


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森をぬけ、懐かしさがこみ上げてきた
いくどとなく訪れるが、飽きることのない場所
お気に入りの此処にたどり着いた

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山肌がだいだいに染まる夕暮れどき
なんだか贅沢な時を感じるルガーノさんとボク
山奥の湖に夕闇せまり、まもなく太陽が目を閉じる

そういえば、あのときは朝だった
山が目を覚まし、立ち上るモヤの中
鏡のような水面を滑るように船を進めたものだ


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ルガーノさんに富士山注入、おじさんのフレームインにもめげたりはしないさ

さぁここで、旅のおともを紹介しよう
まずは、欧州のサーキットをならした「ステッカー君」
かなりやりそうだ
当時、黄色のレーシングタイプもあったっけ。買っておけばよかった、後悔なんとやら

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お次は「ブラッキーCC」幌全開!
寒さをものともしない潔さがステキ


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そして最後は「ルシアン・クー」。なんと優雅な出で立ちだろう
ディテールの処理も申し分ない
今にも走り出しそうな躍動感さえある

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富士の神々しさをしばし堪能したボクたちは
「ステッカー君」の希望もあり
一路、レーサーの聖地「富士スピードウェイ」へ

この頃には陽はとっぷりと暮れ落ちていたが
サーキットあたりには、ただならぬ気配が漂っている
会場へ向かう車の流れに思わず乗って、たどり着いたはメインスタンド裏の駐車場
おじさんにおいでおいでされるままに一度は駐車するも
慌てふためきUターンした

明日のイベントか何かのため、彼らはここで一夜を明かすだろうか
あとからあとからやってくる車の群れをやり過ごし
ボクらは山を下っていった

やがてボクらは小田原、藤沢、横浜と
R1号を箱根マラソンのごとく走り継いで
なぜだか大手町をめざす

家路はあさっての方向だけど、遠回りして帰ろうとルガーノさん
12時にタワーの明かりがフッと消えて
何となく旅の終わりを告げているよう

でも、家に着いたのは3時過ぎ
ちょっとした旅のつもりが、550kmのロングドライブとなってしまった
それでも腰は痛くない
まったくたいしたシートだぜ、ルガーノさん


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休日は特別じゃない
普段着のボクたちは
どこいくあてもなく
気ままな時を過ごしている

それにしてもきれいな青だ
果てなく広がる12月の空に
なにもかも吸い込まれてしまいそうさ

「どこまでもいけるよ」
ルガーノさんはいつもよりゴキゲンだ
「あおるなよ、キミらしくない」
高鳴る思いを押さえつつ、ボクは答える

いつもはしとやかに、街を流す
あくまでもジェントルに、そしてしなやかに
でも今日は違ったキミが、いる

V6の鼓動が、右足からジンジン伝わる
グゥロロロローン
低くうなり声をあげ、大きく息を吸い込むと
ボクをシートに押しあてる

このまま飛んでいってしまいそうだ
ボクと green arrow jet plane  は、どこまでも、どこまでも
果てしない空の大海原を裂き
いくつもの雲の波間をすりぬけて

どれくらい走っただろう
車を止め、冬枯れの木立に降り立ち、手のひらの汗を拭う
街にほど近いこの山の手は、まだまだ多くの自然を残している
ボクらのお気に入りのこの場所からは
遠く、雪をかぶった山なみが見える

やがて空が黄金色に染まると
あたりの空気が冷たくなった

バタンとドアを閉める
ウィンドウガラスがシュッと音を立てる
ルガーノさんの細やかな仕草
その一つひとつが、とても好きだ
心地よいサウンドとともに
ボクのココロにしみ込んでいく


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遠く憧れていた虹との運命的な出会い。楽しい日々、その思いをアーカイブしていきます。
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