サーミスタは温度調節にはなくてはならない大切な部品の一つ。だがなかなか目にすることがないため、実際にサーミスタがどんなものなのかを理解していない人も多いのではないだろうか?今回はサーミスタについて少し深く探ってみよう。
1.サーミスタとは
サーミスタ(thermistor)とは、温度変化に対して電気抵抗の変化の大きい抵抗体のことである。
この現象を利用し、温度を測定するセンサとしても利用される。
センサとしてはふつう-50℃から150℃程度までの測定に用いられる。( Wikipediaより)
自動車で言えば、サーミスタは特に車載用温度センサーで活躍している。車に使用される温度センサーにもたくさん種類があり、水温センサー、油温センサー、エアコン温度センサー、エンジン用温度センサーなど様々なセンサーで使われている。
温度を検出するセンサーにはサーミスタ以外にも熱電対、半導体センサー、測温抵抗体などがあるが、その中でもサーミスタは熱の温度によって抵抗値が変わる素子であり、安価で検出感度が高いうえに室温を中心とした温度範囲をカバーする(図1)ため、デバイスとして汎用的で非常に使いやすく幅広い用途で使われているのが特徴だ。また、様々なタイプの回路に使用されるため色々な形状のものが売られている。
※参考:RSコンポーネンツ:サーミスタ商品一覧
図1:代表的温度センサの感度 (出典:RSコンポーネンツ)
2. サーミスタの種類
サーミスタには大きPTCとNTCの二つに分けられる。
PとNは各々Positive(正)とNegative(負)を意味していて、TCはTemperature Coefficient(温度係数)の略である。温度係数が正/負のものがあり、使われる材料も異なるということだ。
温度が上昇すると抵抗値も上昇するサーミスタをPTCサーミスタといい、逆に温度が上昇すると抵抗値が下降するサーミスタをNTCサーミスタという。
それぞれ材料は、PTCはチタン酸バリウムに添加物を加えたセラミックスを用いたもの、低融点のポリマー中にカーボンブラック、ニッケル等の導電性粒子を分散させたものなどが用いられる。NTCにはマンガン、ニッケル、銅、コバルトなどを成分とする酸化物を焼成したセラミックを材料としている。
前述の通り、PTCサーミスタは特定の温度を超えると急激に抵抗値が大きくなるデジタル的な変化をする。この性質を利用して過熱時に回路を遮断したり機器を過電流から保護したりするのに用いる。
これに対してNTCサーミスタは広い温度範囲で抵抗値が一様かつ滑らかに変化する。したがって温度を値として検出して制御する用途に適している。(図 2)(RSコンポーネンツサイト引用)
図2:NTC/PTCサーミスタの代表的温度特性
PTCサーミスタはドアロックモーター、エアコンスイングモーター、ドアミラーモーター、エアバックなど幅広く使われる。
NTCサーミスタは、カーエアコン、吸気温度・エンジン冷却水温検知、エンジン潤滑油温、燃料タンク液位検知、HEV用二次電池やモーター等に使われる。
RSコンポーネンツでは自動車用のサーミスタも幅広く取り扱っていていて、即日出荷サービスなので、商品がすぐに手に入る。
自動車には必要不可欠なサーミスタをご理解いただけただろうか。自動車以外にも家電製品や空調機器等、様々なものに使われているため、いつか実際に見る日を前に知っておいて損はないだろう。