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独特の目線でイタリア・フランスに関する出来事、物事を綴る人気コーナー
witten by Akio Lorenzo OYA
世界中
うんうんする
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イタリアの路上では、思わず笑いがこみあげる光景に日々遭遇する。
今回は、そうしたものを読者諸兄と楽しみたい。

最初は、北部パドヴァのホテル駐車場でのフォルクスワーゲンのマルチバンだ。

まずは初代タイプ2を模した2トーンカラーに目を奪われた。しかし、よく見ると最後列にお年寄りが乗っているではないか。

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2トーンカラーのフォルクスワーゲン。最後列に人影が。

「涼しい早朝とはいえ、おばあちゃんを一人で車内に残すとは、なんという奴だ」と憤慨しそうになってよく見れば、なんとエリザベス英国女王の写真ステッカーであった。
このステッカー、イタリアのものでなく輸入品であろう。イタリア版として「ベルルスコーニ元首相」ができれば、筆者などは彼を乗せてドライブしたい。

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恐れ多くも、あの方がお乗りだった。

イタリアで頻繁に見かけるジョークといえば、洗車していない車のウィンドーに指で記された“ラーヴァミ”の文字だ。Lavamiとは「私を洗って」を意味する。
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ばっちいクルマによく落書きされている「Lavami(私を洗って)」。

いっぽう、こちらは筆者が住むシエナ市街で発見したものである。いたずらか経年変化か、一部が剥がれてしまった「タクシー乗り場」標識を、誰かがサインペンで“修復”。ついでに楽しそうなドライバーと乗客まで描いてしまっている。流し営業は原則として存在せず、乗り場にいてもなかなか来ない我が街のタクシーだが、これを眺めていれば待ち時間のイライラも和らぐ。
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タクシー乗り場のサイン。オリジナル以上の“修復”が。

次は、あっぱれなディーラーである。こちらの自動車販売店では、納車するナンバープレートのフレームに店名を入れるのが長年の慣習だ。シエナのスズキ販売店は、思い切りカタカナで「スズキ」と入れてしまっている。何年も続いているところを見ると、顧客から好評なのに違いない。
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シエナのスズキ販売店によるナンバープレート用フレーム。カタカナでオシャレ感増幅。

2019年夏、イタリアで流行の兆しがあるデコレーションといえば、リアワイパーを猫の尻尾に見たてたステッカーである。作動させればフリフリしているように見えるわけだ。
雨天と渋滞はどんなドライバーにとっても憂鬱なものだが、これを見ていれば後続していても退屈しない。

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猫が尻尾をフリフリ。


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2019年初夏から繁殖中の模様。

イタリア経済の先行きは依然不透明である。イタリア統計局によると、2019年3月の失業率は10.2%で、15-24歳に限ると、その数は30.2%にまで上昇する。
倒産件数や経営危機も依然高止まりだ。日本でも知られるブランドを挙げれば、2017年末に創業160年の帽子ブランド「ボルサリーノ」が倒産。2019年に入ってからは、デザイン・コンシャスで知られるキッチングッズ・メーカー「アレッシィ」のリストラが伝えられた。

そうした社会で、路上やウィンドスクリーン越しに見るちょっとした笑いが、一服の清涼剤であることはたしかだ。同時に筆者は、たとえ既製品であっても、それを選んだ仕掛け人の性格を想像し、「経済破れても、ノリのいいイタリア人あり」と心穏やかになるのである。
ちなみに筆者のクルマも、常に前述の「ラーヴァミ」が書かれておかしくない状態である。駐車監視モード付きドライブレコーダーを装着し、どんなイタリア人が落書きしてゆくのかを記録できれば楽しいかも、と密かに考えている。

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大矢アキオ ロレンツォAkio Lorenzo OYA在イタリアジャーナリスト/コラムニスト/自動車史家。音大でヴァイオリンを専攻。日本の大学院で比較芸術学、イタリアの大学院で文化史を修める。自動車誌...
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