直噴エンジンはカーボンが溜まりやすい?
最近よく聞く話です。
欧州車のダウンサイジングターボは今も主力エンジンとして販売されています。
2019年の欧州市場新車販売トップ10は以下の通り
1.VW GOLF
2.Renault Clio
3.VW Polo
4.FORD Fiesta
5.VW Tiguan
6.Peugeot 208
7.Dacia Sandero
8.Renault Captur
9.FORD Focus
10.SKODA OCTAVIA
ほぼすべての車に直噴エンジンがラインナップされています。
小さいエンジンで大きな出力を得ることができるのも直噴エンジンのメリットです。
直噴エンジンのカーボン発生・堆積の原因についていくつか考えてみました。
1.オイル消費
直接燃料を燃焼室に噴射する直噴エンジンでは高圧で燃料を噴射するため通常ピストンリングとシリンダー間の潤滑をする目的のエンジンオイルの一部を燃焼室に引き込み、燃焼室でオイルが燃えます。
2.燃料希釈による密閉性の低下
高圧で燃料を噴射する直噴エンジンでは燃料の一部が燃えずに残り、クランクケース内のエンジンオイルに混ざることでエンジンオイルの粘度を低下させます。
この燃料希釈により粘度が低下したエンジンオイルでは密閉性が保てず不完全燃焼を起こします。
3.LSPI=低速プレイグニッション
エンジンオイルに含まれるカルシウム分が熱を持ち自然着火することで点火タイミングがずれ不完全燃焼を起こしカーボンを発生させる。
先日Blogでも書きましたが、直噴エンジンでのLSPIが今後のACEA規格やAPI規格に盛り込まれる予定ですので、欧州・アメリカ共に直噴エンジンのLSPIについては大きな問題として認識しているのでしょう。
http://unilopal.jp/blog/archives/4194
直噴エンジンにおけるエンジンオイルの役割としては
潤滑性よりも密閉性・清浄性が重視されるように思われます。
上記にあげたカーボン・スラッジの発生については一部エンジンオイルでリスクを減らすことができます。
密閉性をあげることでオイル消費を抑え、燃料希釈にも強くなります。
指定より固めの粘度のオイルを使ったりするのはこのためでしょう。
しかし指定粘度からかけ離れた粘度のオイルを使用すると、アイドリングが不安定になったり、高回転がまわりにくくなる可能性がありますのであまりお勧めしません。
同じ粘度のオイルでもそれぞれのオイルの油膜の強さで密閉性の保持は変わりますので、指定粘度もしくは指定粘度より少し固めの粘度で油膜の強いオイルが良いと思います。
油膜の強いオイルで密閉性を上げたとしてもオイル消費・燃料希釈は完全には防げません。抑制することはできますが。
発生したカーボン・スラッジを洗い流す清浄性が求められます。
最近の欧州車の純正オイルがガソリンエンジンでもACEA C規格が求められるのはこのためだと思われます。
元々クリーンディーゼル向け規格であるACEA C規格では一定の清浄性が求められるため、直噴ガソリンエンジンでも有効です。
シリンダ内のカーボンの堆積についてはエンジンオイルの清浄作用により
ある程度洗い流すことは可能です。
直噴エンジンのカーボンについて、エンジンオイルでは防げない箇所があります。
インテークバルブ周辺のカーボンです。
直噴エンジンでは直接燃料を燃焼室に噴射されるためインテークバルブを燃料が通りません。エンジンオイルだけでなく燃料による清浄作用がありますが、燃料が通らないため一旦溜まったカーボンは洗浄されません。
どんなに良いオイルを使用してもこの部分については防ぎきれないのが現状です。
定期的に高回転まで回すことで多少の堆積を防ぐことはできますが、一旦溜まったものについてはなかなか落ちません。
定期的なメンテナンスとしてインテークバルブの洗浄をお勧めします。
残念ながらUnil opalにはそのような商品がありませんので、他社製品を使ってください。
ユニルオパールオイル取扱店のアールエスウーノさんのウェブサイトでこんな記事がありました。
http://rsuno.com/5230
良いオイルを使用したからと言ってすべてのリスクが回避できるわけではありません。オイルで防げない問題もありますので、みなさんのご参考になれば幸いです。