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独特の目線でイタリア・フランスに関する出来事、物事を綴る人気コーナー
witten by Akio Lorenzo OYA
世界中
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大矢アキオ Akio Lorenzo OYA 
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター

 2018年7月12日付のオートモティヴ・ニュース・ヨーロッパ電子版は、フランスのDSオートモビルズが、「DS4」「DS5」の生産を年内で打ち切る予定であることを伝えた。
DSオートモビルズのイヴ・ボンヌフォンCEOによると、DS4はミュールーズの工場で、DS5はソショーの工場で、すでにそれぞれ生産を終了しているという。

 DSブランドのセールスは好調とはいえなかった。主要市場と位置づけた中国での販売は振わなかった。前述のサイトの昨年2017年6月9日版によれば、2017年1-4月の中国・東南アジア販売台数は、前年比で67%も減少した。

 ヨーロッパもしかりだ。2018年1-5月の販売は、DS3、DS4そしてDS5とも軒並み前年を下回った。DS7クロスバックの好調でブランド全体の販売台数こそ20,758台を数えたが、前年比で僅か204台のプラスに留まった(データはJATOダイナミクス調べ)。
参考までに、同じプレミアムのメルセデス・ベンツは同じ期間に、Aクラスだけで58,742台の販売を記録している。

 DSオートモビルズは、DS7クロスバックの販売に引き続き力を入れるという。同時に、2018年10月のパリ・モーターショーでは新型車を投入するとみられている。

 現在ヨーロッパでDSの販売ネットワークは、国ごとによってやや複雑だ。
フランスの場合、DS3、DS4、DS5は、地域によってはシトロエン販売店でも買える。いっぽうDS7クロスバックは「DSストア」「DSサロン」と呼ばれる専売店のみでの取り扱いだ。
イタリアでは、DSは原則として「DSストア」のみでの販売である。ボクが住むシエナは県庁所在地であるものの、目下56km離れたフィレンツェまで行かないとDSストアがない。
参考までに街なかでの“体感値”を記せば、パリでこそDSは頻繁に見かける。だが、ひとたびフランスの地方都市に移動すると、目にする頻度は一気に減る。イタリアに至ると、1日運転していても1度すれ違うかどうか、といった感じである。

 DSオートモビルズは、近い将来DSストアのみでの販売に集中させる方針というが、これが吉とでるかどうかは、しばらく予断を許さないだろう。

 いっぽう今なお前途模索中のDSに対して、ここのところ見るからに好調なのが、プジョーやルノーのフラッグシップである。

 たとえばルノー・タリスマンは、2018年1-5月に8670台、プジョー508も6118台をヨーロッパで販売している。

 背景にあるのは、近年普及目覚ましいUBERをはじめとするライドシェアリングであることは間違いない。とくにプジョー508は、収益性やメインテナンス費用の少なさから、UBERドライバーとして登録する人向けの推奨車種の1台として挙げられている。

 実際にパリでライドシェアを依頼すると、頻繁に当たるようになった。

 2018年3月のジュネーヴ・モーターショーで公開された2代目が508の名前を踏襲したのは先代が人気であった証であろう。同時に、広い開口部のハッチバックを与えられているのは、ライドシェア需要を意識したものであることが容易に想像できる。

 2000年頃を境として、ヨーロッパでDセグメントは、メルセデス・ベンツCクラス、アウディA4といったドイツ系ブランドの独壇場だった。その牙城がようやく切り崩され始めたのだ。

 ヨーロッパ中どの都市に行っても、メインストリートにはZARAとH&M、そしてスターバックスがあって、やってくるライドシェア車はドイツ車・・・というモノトーンな生活は、意外にもフランスの高級車が変えてくれるかもしれない。

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プジョー508。パリきっての観光地・オペラ座前で。


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パリ・オルリー空港のライドシェア駐車場で。
ルノー・タリスマン(手前)。生産は韓国のルノー・サムスンが担当している。


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プジョー508SW(ステーションワゴン)を操るライドシェアのドライバー。


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アグレッシヴなデザインを与えられた2代目プジョー508。
2018年3月、ジュネーヴ・モーターショーにて。


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ドイツ車の牙城ともいえるカテゴリーを切り崩せるか? パリ「自由の炎」付近で。


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ルノー・ヴェルサティス(2002-2009)。
フランスならではの高級車を目指しながら、市場の充分な理解が得られず消えていった。
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大矢アキオ ロレンツォAkio Lorenzo OYA在イタリアジャーナリスト/コラムニスト/自動車史家。音大でヴァイオリンを専攻。日本の大学院で比較芸術学、イタリアの大学院で文化史を修める。自動車誌...
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