空気抵抗を減らす鍵は車体底面と車体背面の流れ
大きな流線形と細いピアノ線の空気抵抗は殆どが同じだそうです。砲弾型の空気抵抗係数Cd値は流線形のCdt値の約10倍、その違いを作っているのは車体背面の空気の流れと負圧です。
航空機の形は流線形の組み合わせで今はもう飛ばなくなってしまったジャンボジェットの空気抵抗は直径1mの円盤と同じだと昔先輩から教えられました。
現在の航空機で減らそうとしているのは翼端から発生する渦流による抵抗を減らすことです。最近の飛行機は翼端が上側に跳ね上がる形状が特徴的なウィンレットと呼ばれるものが取り付いています。
航空機が発生させる渦の画像を検索すると想像を超える渦が発生しています。大型の航空機が発生するこの渦流によって小型機が墜落してしまったこともあります。
車も同じように車体の後方に長い渦を引きずりながら走っています
ハッチバックの車の後ろに伸ばすような形をしたテールゲートスポイラーとかルーフスポイラーと呼ばれるエアロパーツは正に車体背面に巻き込む渦の発生を押さえるものです。こんなものを取り付けても効果あるのかなと思っていましたが、ダウンフォースを増すためのものというより車体背面の渦流の発生を押さえて空気の流れをスムーズにするためのものでした。
しかし、これだけでは車体背面の圧力が低くなることは防げません。シュミレーション画像だと車体背面の下側の圧力が低くなっているのが分かります。特にバンパーの上側付近が一番空気の流れが悪く圧力が低くなっています。
この画像を見て試してみたのがハッチバックドアの下側とバンパーの上側の隙間から空気を吹き出すことと車体の下側を通過してくるっ空気の流れを車体背面の中央に向かって跳ね上がるように向きを変える大型の整流板です。
まず車体底面を覆っているカバーから空気が内側に取り込まれるようにカバーを浮き上がらせます。
そして、ハッチのシールの外側に沿って穴をあけることによりバンパーとハッチドアの隙間から内側に取り込んだ内側に取り込んだ空気が圧力が低くなっている車体背面に吸い出されるようにしてみました。
下の写真のようにシールを取り外してバンパーの上側に連続的に穴をあけました。穴はシールの外側なのでバンパーの内側が汚れるだけで車内に汚れや雨水が侵入することはありません。シールを取り付けると穴は目立たなくなります。)
車体の底面から取り込まれた空気はバンパーの内側を通ってハッチドアの下側とバンパーの隙間から車体背面に吸い出されます。
更に車体の下側の空気の流れを整流しながら車体背面の真ん中に向けて空気が跳ね上がるように板を使って整流板を自作して取り付けてみました。平面の板なのでダウンフォースを大きくするという目的よりも車体背面に積極的に空気を送り込もうとするものです。
最近の車に装備されるようになったリヤのディフーザーとはちょっと目的が違いバンパーとウィングの間の隙間を通った空気の流れを向きをかえるのが目的です。ウィングの外側に沿って流れる空気はディフーザーと同じような効果が期待できます。
私は勝手にリヤアンダーウィングと名づけました。
跳ね上げ角度を大きくしすぎると板に沿ってきれいに空気が流れにくくなってしまうので角度調整は微妙です。最初は角度を大きくしすぎて空気の流れが悪くなってしまいダウンフォースが感じられなくなってしまいました。角度を少し小さくしたらダウンフォースが戻ってきて車体の安定性が増しました。
少しの角度変化で全然走りが変わりました。やはり空気はきれいに流さないと駄目だと再認識させられました。
バンパーの上側の穴とアンダーフロアウィングによって狙う空気の流れはこんな感じです。
シュミレーション画像に組み込むとこんな感じです。
この空気の流れは空気の壁となって
空気の流れは車体の後ろ側にトランクを持つを持つセダンタイプに近づくはずです。この空気の流れを作ることによって抵抗感の無いすっきりした走りになりました。
今回試したことでバンパーの上側とハッチドアとの隙間から空気を抜くという考え方はハッチバックやミニバンの空気抵抗を大幅に減らしてくることを実感できました。
リヤアンダーウィングの効果も確認できましたが、それには車体の下側を通る空気の流れがいいか悪いかでその印象も大きく変わることも同時に感じました。
確立されていない車体下部の空気の流れの考え方
現在のレーシングカーの多くが車体底面の空気の流れで大きなダウンフォースが得られないように
フラットボトムに規制されています。そのためできるだけ空気が入り込まないようにしてリヤディフーザーで吸い出すことで車体底面の圧力を下げることで何とかダウンフォースを得ようとしています。
ダウンフォースの多くは何枚も重ね合わせた大きなウィングによって得ています。しかし、本来一番大きなダウンフォースを得られるのは車体全体を翼を上下逆さまにした形状にすることです。現在ウィングカーが許されているのはインディカーくらいのものです。
F1より空力が優れているインディカー
その違いは一目瞭然でF1の複雑で大きなウィングに比べインディカーのウィングはとてもすっきりしています。車体の形状が作り出すウィング効果はF1カーの複雑な形状をしたウィングと同等かそれ以上のダウンフォースを得られるのです。
タイヤのグリップ力だけに頼って曲がろうとするからダウンフォースが重視される
車はタイヤで曲がる乗り物だという考え方は車が発明されて以来100年以上変わっていませんが、世の中の常識は違います。世の中の常識は上体の動きと足元の動きをバランスさせながら曲がることが当たり前です。バランスを取るためにしていることの代表的なものが内側に傾けることです。もう一つはスキーのように足元を外側に押し出すことによって上体を内側にスライドさせることです。
このことによって上体と足元が進みたい方向を一致させバランスをながら曲がっています。上体と足元の動きのバランスを取りながら曲がることは世の中では当たり前のことなのですが、車だけはこの常識に反した曲がり方を100年以上変えることなく、慣性力でそのまま真っすぐ進みたい車体をタイヤのグリップ力で強引に内側に引っ張りこむような曲がり方をしてきました。
車もバランスを取りながら曲がるという考え方に変えればカーブを曲がるのにタイヤの大きなサイドフォースに頼る必要が無くなります。現在の車は空気抵抗を減らすより
ダウンフォースを大きくすることが優先されています。
一番大きなダウンフォースを得られるのは実は車体の形状で車体の下側を流れる空気の量を多くして流速を速めることです。そして車体背面にできる渦流と負圧領域を小さくすることです。
その理想的な形は流線形であることは誰でも知っていることですが、市販車の車の外形を流線形にするのは無理だと思っている人が殆どです。
しかし、空気の流れを流線形に近づけるだけならそれは意外と難しいことではありません。空気の通路を作ることで四角い車体の中に流線形に近い空気の流れを作り出すことができます。車体の外側を通過する空気の流れを流線形に近づけることは大変ですが、流れの一部を車体の内部に引き込んで通過させれば流線形に誓う流れができ上ります。そのイメージが下の図です。
このように車体の内側を通せば流線形の集まりになり外形はそのままで流線形の流れができ上ります。ホイールとホイールハウスから空気を吸い込み斜め後方に向きを変えながら車体中央に集めて車体背面に排出するという考え方は正にこのイメージにぴったりな空気の流れになります。
車体底面にこの空気の流れを作り出せば車体の空気抵抗が減り、ダウンフォースが増えることになります。そのために必要なものは車体底部の整流板です。基本的にはヨットの帆を流れる空気をイメージして整流します。そのことで空気をスムーズに流し流速を速めることができます。
車体底部の中央に集まる空気の流れの流速を速めれば周囲の空気の流れも内側に引きずられ車体底部を通過する空気の量も増えます。その空気を車体平面の負圧になる部分に直接供給すれば負圧領域が無くなり渦の発生も弱まります。
実際にその考えが正しいのかどうか検証するためにホイールハウスに使った整流板と同じものをV字型にして車体底面に取り付けてみました。本来はきれいな弧を描くように湾曲を付けるべきなのですが、とりあえず簡単な方法として真っすぐなまま取り付けました。
結果はやはり大きな効果がありました。しかし、取り付け方を少し変えるだけでその効果は大きく違ってしまうのも事実でした。度の取り付け方がベストなのか現状では確信を持てる状況ではありませんが大きな効果があることは
間違いありません。
とんぼの羽根のしくみを利用
こんなアングル材を取り付けても抵抗になるだけでだけで何の効果もなさそうに見えますがこれがあるとないとでは運転した時の印象が全く変わります。とんぼの羽根の構造を知っていますか。トンボの翅は葉っぱの葉脈のようなものに薄い透明な膜が貼られたような構造をしています。しかも表面は細かな凹凸があり凸凹です。実はこの薄っぺらなでこぼこした構造が流線形に近い空気の流れをつくりだしています。
表面の細かな凸凹が小さな渦を発生させ、その小さな渦が空気の壁となって羽根に沿って流れる空気は流線形に沿うような空気の流れを作り出し翼型に負けない揚力を発生させます。
小さな渦を発生させて空気の流れをコントロールする技術はボルテックスジェネレーターやストレーキなどでも使われる技術でアングル材を使った整流板も整流板に沿って空気をきれいに流すという考え方ときれいな流れないときに生じる渦流を利用して空気の壁を作るという両方の考え方を利用しています。
車体の底面でダウンフォースを発生させようと考えると車体の底面はフラットよりわずかに中央が膨らませ路面との隙間を狭くした方がいいはずです。車体底面にV字型の整流板を取り付けると空気の流れは車体底部に沿う空気の流れは中央に集められられる流れと整流板を乗り越えてそのまま後方に流ていく2つの流れができます。
整流板を乗り越える時小さな渦流が発生して空気の流れは下側に盛り上がりながら後方に流れていくはずです。そうなればそれが空気の壁となって車体底面に沿って画られる空気も下側に押され車体底面と路面の隙間が狭くなったような効果が生まれるのではないかと期待しました。
車を横から見たイメージもボンネットの中を流れる空気を増やして車体底面に導き、車体背面の下側からだけでなくのバンパーの上からも排出するようにすれば流線形に近い空気の流れができ上ります。車体底面はとんぼの羽根の考え方を取り入れればパネルで覆う必要はありません。整流板で小さな渦流を発生させて
空気の壁を作れば最低地上高を確保しながら流線形に近い空気の流れを作り出せます。
流線形の抵抗が何故少ないのか、それは流線形の上側と下側を流れる空気のバランスが取れているから上下の空気の流れが後端でスムーズに合流できるからです。スムーズに合流できるから渦流も発生しないし負圧にもならないのです。
車体の内側を流れを流線形にするいう考え方に変えれば外見はどんなデザインでもきれいに空気を流すことができるようになります。自然の流れだけでそれを達成するのはいろいろな制約ができてしまいますが強制的に空気の流れを作り出してしまえばその制約から解放されます。
それを可能にしてくれるのがホイールとホイールハウスに取り付ける整流板です。ホイールの内側に羽根のような整流板を取り付ければジェットエンジンのファンブレードのように空気を吸い込んで新たな空気の流れが作り出されます。
そしてヨットの考え方を使えばその空気の流れを推進力に変えることもできるのです。
ホイールはタイヤに駆動力を伝えるだけでなく新たな風の流れを作り出す送風ファンとして期のさせることができるのです。そしてその風の力を利用して空気抵抗を減らし車体を望む方向に動かす推進力を得ることができます。
この風の力を利用して車体を曲がりたい方向に動かしてやれば車体とタイヤの動きのバランスが取れて今までとは全く曲がり方ができるようになります。
いろいろ整流板を試してきましたが、びっくりするような効果があることは間違いありません。空気の流れは目に見えないのでその流れをイメージするのが難しいですが、きれいに流すという考え方を基本にいろいろ試していけば望む結果は近づいてきます。
最初はよくわからなくてもイメージで取り付け効果が足りなかったら整流板を追加するということを繰り返せば効果ははっきりしてきます。
いろいろ試していくうちに車の走りはすっきりしていきます。カーブもこんなに簡単に曲がれたのかと思うはずです。バランスを取って曲がることがこんなに快適なことだったと思うはずです。
ホイールハウス、ホイール、車体底面の整流板そしてプリロードの順番で試すのがお勧めです。
是非試してみてください。