イタリアの路上では、思わず笑いがこみあげる光景に日々遭遇する。 今回は、そうしたものを読者諸兄と楽しみたい。
最初は、北部パドヴァのホテル駐車場でのフォルクスワーゲンのマルチバンだ。
イタリア経済の先行きは依然不透明である。イタリア統計局によると、2019年3月の失業率は10.2%で、15-24歳に限ると、その数は30.2%にまで上昇する。 倒産件数や経営危機も依然高止まりだ。日本でも知られるブランドを挙げれば、2017年末に創業160年の帽子ブランド「ボルサリーノ」が倒産。2019年に入ってからは、デザイン・コンシャスで知られるキッチングッズ・メーカー「アレッシィ」のリストラが伝えられた。
そうした社会で、路上やウィンドスクリーン越しに見るちょっとした笑いが、一服の清涼剤であることはたしかだ。同時に筆者は、たとえ既製品であっても、それを選んだ仕掛け人の性格を想像し、「経済破れても、ノリのいいイタリア人あり」と心穏やかになるのである。 ちなみに筆者のクルマも、常に前述の「ラーヴァミ」が書かれておかしくない状態である。駐車監視モード付きドライブレコーダーを装着し、どんなイタリア人が落書きしてゆくのかを記録できれば楽しいかも、と密かに考えている。