|500Lとは
500LはFIAT500ファミリーの1つであり、2015年に日本で正規輸入車として登場した500Xよりも前の2013年から本国では発売されている。
名称の500Lの「L」は(エコ的な意味での)LIGHTやLIFESTYLE、LOVEなど、いろいろな意味を持たせているようだが、端的に言うと荷物を入れるスペースが増えた「LARGE」バージョンである。
日本には正規輸入車としてディーラーで売っていない車種なので、現在手に入れようと思うと、海外からの直接買い付けを得意とする会社にお願いしないといけない状況となっている。
日本で手に入れられないと思うと途端にどうしても欲しくなるのが人間の性(サガ)というもの。
ウイングオートはそんなオーナー達の熱い思いに応え、これまでに最も日本において500Lを多く販売している実績を持つ。
仕様選びのアドバイスからメンテナンスにおいて、独自のノウハウを持ったスタッフが対応してくれるのが心強い。
500Xの販売が開始された今、隠れがちなこの兄貴分の500Lの魅力を再度クローズアップし、500Lならではの優れた特徴や、G-techによるチューンナップでノーマルより遥かに刺激的な走りとなった特別な500Lの魅力をお伝えしようと思う。
|外観、サイズ、積載量
500ファミリーのカテゴリで言うと、500は2ドアコンパクトハッチバック。500XはSUV風のクロスオーバー。500Lはいわゆるミニバン的とも言えるのだろうか。500のデザインを踏襲しながらも、500のドア2枚に対しドアが4枚になっている上、外観のデザインも他の2車種と比べかなり四角いデザインとなっている。
このスクエアな外観は、コロンとした丸っこいデザインの500のイメージからすると、500っぽさが薄れるデザインではあるが、積載量に確実にプラスになっているメリットは大きく、500や500Xと比較して多くの荷物が搭載可能だ。
ボディサイズを500兄弟で比較してみよう。
500L 全長4140×全幅1780×全高1660mm
500 全長3545×全幅1625×全高1515mm(全長+595mm、全幅+155mm、全高+145mm)
500X 全長4250×全幅1795×全高1610mm(全長-110mm、全幅-15mm、 全高+50mm)
この数値を見てざっくり言えるのは500<500L<500Xというサイズ感であること。
そう、意外と?500Xより全長、全幅は小さいのだ。とは言え全高は500Lのが高いし、実質的な車内空間は断然500Lに軍配が上がる。トランク容量は500の185L、500Xの350Lに対し、455Lと大容量。しかも後部座席を倒せば1480Lにまで拡大する広大な荷室空間が確保できる。
家族で使うことや荷物をたくさん載せたい場合などを思うと、断然500Lだということが分かる。
しかしながらこの500L、決して大きすぎるというわけでもなく、比較する対象が500という元々小さい車だから大きさが目立つが、国産車のミニバンなどに比べたらとっても扱いやすいサイズと言える。
ちなみに500Lで買い物に行った際に隣に止まっていたトヨタのエスティマと比較してみると実はコンパクトに出来ていることが分かる。
小さすぎず、大きすぎず、絶妙なサイズ感。それが500Lなのだ。
|走行性能・フィーリング
希少モデルが故に一部のファンの間では圧倒的な人気を誇るというこの500Lだが、走りはどうだろうか。
以前インプレッションしたのはディーゼルマニュアルモデルでノーマル状態が85馬力のところ、G-techのサブコンチューンにより105馬力にアップしていた。
【参考】500L 105HPインプレッション
https://carcle.jp/UserBlogComment.aspx?UserID=3723&ArticleNo=6
500に比べてずいぶん大きなボディーではあったが、サブコン装着の105馬力のおかげもあり、十分な加速を感じることができ、必要十分ではあった。しかし今回の1台を試乗して、目から鱗が飛び出るぐらいに明確な違いを体感した。
エンジンは1.4Lマルチエアターボの140馬力のエンジンで、いわゆるアバルト500などに採用されている
エンジンがベースになっているが、それをG-techのオリジナルECUチューンで200馬力までアップしている。
それほどスペックについて詳しく聞いて借りたわけではなかったので、走り出してまずその強烈な加速に驚いた。「これが本当に500Lの加速か!?」と。
しかもこの500Lは他にもG-techによる様々なチューンが施されている。
その内容はこうだ。
ビッグタービン、ローコンプピストン、大容量インジェクター、ブレーキ・システム、キャリパー、
オリジナルキャタライザー、車高調(ノーマル比-30mm)、18インチアロイホイール225/40R18、
そして最高出力:200ps/5380rpm 、最大トルク:340Nm/2890rpm
これは紛れもなく500Lアバルトである。
1速から2速へシフトアップしていくと、2,500回転から加速度がグッと増し、そのまま3,500回転まで一気に盛り上がる。そして3速も3,000回転あたりの盛り上がりと伸びが何とも言えず楽しく、鋭くそしてドラマチックにこれぞ、ザ・イタリア産といったような走りを魅せてくる。
500Lはそのパッケージから、荷物が乗る、ファミリーカーのようなことを想像される人も多いかもしれない。
しかしこのG-techバージョンは、500Lの利点はそのままに、印象としてはアバルト595と同等の加速感を感じた。それもそのはず、よくスペックを比較してみると1.4のアバルトと同じエンジン、そして595アバルトが180馬力に対して、これは200馬力と言うことで、595よりもむしろ速い「500Lアバルト」なのである。
走りの磨きはエンジンチューンだけにとどまらず、足回りは大径ホイールに加え車高調により30mm車高を落とし、ノーマルで感じた足回りのふらつきも無い。またブレーキシステムも変わっているため、ブレーキも非常に良く利き、熱い走りにも頼ることのできるストッピングパワーが備わった1台になっている。
6速マニュアルであること、レスポンスの鋭いエンジンなどのおかげで、とにかく運転するのが楽しく、大ぶりなボディーを感じさせない走りを実現していた。
癒し系な見た目と裏腹に、十分ドライバーズカーとしての実力を備わっている。
マニュアルの車でありながらシフトアップのタイミングをディスプレイに表示して教えてくれるというのも良い。
運転に慣れない人も、自己流で乗っている人にも、シフトアップ、ダウンのタイミングが分かるのは非常に参考になるし、何となく、そのこと自体が攻略的な要素を含んでいて、運転の楽しさが上がる効果があるように感じた。
|秀逸なインターフェース
次に感じた事はとにかく運転に対する操作性が良いこと。手と足に優しいこと。
特にクラッチの軽さは特筆すべきもので、必要な踏力はごく僅か。筆者が今乗っている2代目PANDA4×4と比較しても断然軽い。
決してPANDAのクラッチが重いというわけではないが、比べると圧倒的にソフトで、クラッチ操作が楽に感じた。左足が疲れずに済むのは長距離ドライブや渋滞時の運転も助かる。
そしてクラッチのストロークが深いため、つながるポイントも分かりやすく、このクラッチなら、マニュアルミッション初心者でも運転がし易いと思う。
シフトは大きめの四角い、でもカドが取れて「触り心地の良い」シフトノブで、手にどっしりと馴染み、かつ素材も樹脂で出来ているため、直射日光が当たってノブが熱い!という事態は無い。
サイドブレーキもどうしてこんなに大きいの?と疑問に思うくらいの大きさで、限りなく間違いが起こりにくい形状となっている。
ハンドルも含め、3代目PANDAで採用されたスクエアークルという、四角く、それでいてカドが取れたデザインは、安定感があり、見ている者を安心させる効果もあると個人的には思う。
シートに関しても、座った感触はソフトで座り心地が良く、かといって柔らかすぎず、長距離でも疲れにくいシートになっている。
黒と赤のツートンの色使いや、またメーター周りなども見やすくかつオシャレにデザインされていて、運転していて目に飛び込んでくるのはおしゃれで上質な空間であり、運転手や家族などの同乗者の満足度を上げることに貢献することになるだろう。
|経済性・利便性
走行性能面だけではなく、燃費性能も優れていてこそ現代の車である。
新車なので総走行距離はまだ短く、今の段階で平均燃費を語ることは難しいが、燃費を測るディスプレイ
を見た時点では、リッター100km走るのに必要な燃料量は7.1Lだった。という事は1リッターあたり約14.2kmの燃費性能だと言える。
これは維持する面でも非常にプラスに働く部分だと思う。
利便性に関しても、トランク内は2つのゾーンに分けることができるようにトレイが中段に入っているため、スペース効率よく使えそうだ。
ハッチを閉める取っ手に関しても、きちんと成型された取っ手がついていたのは嬉しかった。500は革製の取っ手で、正直扱いづらい。
たくさんの荷物を載せることを想定し、考えた上の商品造りがなされていることを感じた。
|総評
この1台は、いいとこ取りの商品だ。アバルトに乗りたいが、荷物も載せたい。荷物が載って家族が載せられて、家族の要望をも満たす最高の解決方法がこの500Lだ。
ウィングオートは日本一の500Lの品揃えだと思うので、ぜひ興味を持たれた方は名古屋ショールーム、ヨーロピアンショールームに足を運んで、実際に見てみるとその良さが伝わると思う。
実際にハンドルを握って走ってみると、さらに欲しくなること間違いないと思う。やっぱりイタリア車は左のマニュアルが一番だと筆者は思う。