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独特の目線でイタリア・フランスに関する出来事、物事を綴る人気コーナー
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文 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
写真 大矢麻里 Mari OYA/Akio Lorenzo OYA

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2022年5月28日、イタリア中部メンサネッロをベースに開催された「イタリアン・ルノー4ミーティング」で。

アイルランド組み立て仕様も

本欄第19回に登場したイタリア中部ポッジボンシのフランス車専門パーツショップ「デ・マルコ・パーツ」の店主、マッシモ・デ・マルコさんから「今年もやるから、遊びにおいでよ」と誘いがあった。
「今年も」とは、ルノー4(キャトル。イタリア語ではクアトロ)のミーティングである。正式名称は「イタリアン・ルノー4フェスティバル」という。

第1回は2021年9月、ルノー4誕生60周年に合わせて催され、65名のファンが参集した。
第2回である今回もマッシモさんがベースに選んだのは、前回に引き続き「メンサネッロ荘園」だった。ワイン用ブドウやオリーブの畑などに囲まれ、東京ドームの約64倍に相当する300ヘクタールを誇るホテル&レストランだ。

なお、かつてアルファ・ロメオ工場製が存在した事実などイタリアとルノー4の深い関係については、これも本欄第19回を参照いただこう。

イベントは参加予約こそ必要だが、どこから合流しても、どこで離脱しても自由という、ゆるいプログラムである。初日である5月20日金曜日は、18時にデ・マルコ・パーツ店頭に集合。19時から走行会に出発し、そのまま希望者は郊外のリストランテで夕食をとった。

翌日土曜の午前中は、一帯の自由ウォーキング散策が組まれた。
その日の午後、筆者が合流すると、メンサネッロ荘園の庭には、色とりどりのキャトルが、まるでマーブルチョコレートを撒いたかのようにパークしていた。スタイルもノーマル、ドレスアップ系、フルゴネット(バン)、そしてローダウンとさまざまである。
ファンも、キャトル一筋の人がいるかと思えば、「フォルクスワーゲン・ビートル」「フィアット・トポリーノ」などとともに、デザインが可愛いクルマのコレクションの1台として愛好している人もいる。

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フィレンツェ郊外からやってきたチヴァさんの愛車。ヴィンティッジ風グリルとアルミホイールが自慢だ。


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昨年に続いて中部マルケ州から参加したダニエレさん。「さまざまな旧車を所有してきたが、最終的に手元に残したのはキャトルだけだ」と語る。

イタリア人以外の参加者もみられた。あるオーストリア人オーナーは「今も(ルノー4を)通勤用に毎日使っていますよ」と誇らしげに教えてくれた。
遠来賞は、イギリス南部コーンウォールを発ち、プリマスからドーバー海峡を越え、片道1750キロメートルをかけて到着したブライアンさんであった。リタイア前は軍関係のエンジニアだったという彼は、「休息日1日も含めて5日間かかりました」という。「基本的に宿泊はキャンプです」。実際、後席から荷室にかけて旅道具が満載されている。「女房は暑がりなので、家に残してきました」と笑った。
右ハンドル仕様なので聞けば「これはアイルランド組み立てです」という。キャトルは1962年からダブリンでノックダウンが開始され、その後ウェクスフォードに移って1984年まで生産が行われていたのだ。


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英国から1750キロメートルを運転してきたブライアンさん。愛車はアイルランドで組み立ての1978年式右ハンドルだ。


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来場者のTシャツからもキャトル愛がひしひしと感じられる。ピサ在住のフェデリコさん&アリーチェさんもこの通り。


キャラクターにドンピシャ

夕方からは、マッシモさんの司会でアトラクションが開始された。
最初は「パーツ当てクイズ」である。10個の箱には、それぞれキャトルの部品が隠されている。参加者は手を突っ込んで、それが何かを口頭で解答する。
制限時間が決まっているので、すべての箱に手を差し入れるには1個あたり手探りできる秒数が限られる。中に入った部品は穴から覗き見できないよう、藁(わら)にまみれている。挑戦者のひとり、ダニエレさんは「思った以上に難しかった!」と感想をもらした。会場の熱気につられてはしゃぐ犬も、彼らの集中力を低下させる。それでも優勝者は10個中9個をずばり言い当てた。


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10個並んだ箱に次々と手を突っ込み、制限時間内に何の部品か当てる。熱烈キャトル・ファンといえども、それなりに難しかったようだ。

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答え合わせタイム。オーガナイザーのマッシモさんがウィンドーウォッシャー用レバーを掲げる。

続いて参加者たちは屋外に移動した。事前に「スターターを使ったゲーム」と聞いていた筆者は、船外機のようなプルスターターや、二輪車のキックスターターでエンジン始動を競うのかと勝手に考えていた。だが実際は、なんとキャトルのスターターモーターを、砲丸投げの要領でできるだけ遠くまで飛ばして距離を競うゲームだった。重さ約5キログラム。ちょっとしたダンベルと同じだ。方向を間違えてギャラリーのほうに投げてしまうチャレンジャーあり、いかにも剛力そうな男性が“ちょろい”距離しか飛ばせなかったりで、歓声が絶え間なく続いた。


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「スターターモーター投げ」。サンダルを脱いで挑戦したこの女子は、それなりに好成績を示した。

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アトラクションの後、ふたたび近郊のツーリングに出発する参加者たち。


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キャトルのメカニカル・コンポーネンツを流用しながら、より近代的な成り立ちをもつ「6」も参加した。わざと水たまりに入り、“泥んこ遊び”に興じる参加車も。


最終日である日曜日午前は走行会やドローンを使った記念撮影のあと、メンサネッロでのランチをもってフィナーレとした。3日間の参加台数は82台。参加者は約350人を数えた。

マッシモさんの企画は、シンプルでも楽しいキャトルのキャラクターにぴったりだった。それはメーカー後援イベントのように大掛かりなセットを組んだり大物ゲストを呼んだりしなくても、十分に楽しめることを示している。

ちなみに数日後、例の英国人ブライアンさんの携帯電話に連絡してみると、「まだイタリアにいますよ」と答えが返ってきた。キャトル仲間の家を訪問しては交流を楽しんでいるのだという。
2022年で生産終了後30年。今なおこのベーシックカーは、さまざまな人々に喜びをもたらしている。

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フルゴネット仕様が、お馴染みのロールを演じながらカーブを疾走する。

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自分なりの個性的なドレスアップを施した参加車も少なくなかった。
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大矢アキオ ロレンツォAkio Lorenzo OYA在イタリアジャーナリスト/コラムニスト/自動車史家。音大でヴァイオリンを専攻。日本の大学院で比較芸術学、イタリアの大学院で文化史を修める。自動車誌...
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