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独特の目線でイタリア・フランスに関する出来事、物事を綴る人気コーナー
witten by Akio Lorenzo OYA
世界中
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文と写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA

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ノールオート(イタリア読みではノラウト)のカンピ・ビセンツィオ店。1年ぶりに覗いてみた。


フランス系チェーン系カー用品店で、日本ではオンラインストアとして知られる「ノールオート」。筆者は2021年8月の本欄で「昼休みも閉めません! カー用品チェーンが(ついに)やってきた!」として紹介した。早いものであれから1年。新たな発見は?と再訪してみたのが、今回のリポートである。

イタリアにおける2022年8月現在のノールオート店舗数は、2022年8月現在も39と現状維持だ。新型コロナウィルス対策の営業規制が撤廃されたとはいえ、消費動向の先行き不透明な環境下では、順当な経営判断だろう。そもそも、それに匹敵する業態・規模のチェーン系カー用品店が一般的でないイタリアで、その独自性は揺るぎない。

もちろんノールオートのイタリア法人は、引き続き新規出店の可能性を模索中だ。公式サイトには「人口10万人以上を擁する市街、または15〜20km以内に人口11万人を超える地区をもつ、交通量が多い道路沿いの商業用不動産を探している」旨が記されている。
残念ながら、人口5万人級の我が街シエナに、今すぐノールオートがやってくることはなさそうだ。

芳香剤 「バンクシー」から「お役立ち」まで

ということで今回も前回同様、筆者が住むシエナから70キロメートル以上離れたフィレンツェ郊外カンピ・ビセンツィオの店を覗くことにした。到着したのは朝10時前。8時30分開店なので、整備ブースからは活気ある作業音が聞こえてくるが、ショップは平日だったため、それほど混んでいない。

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店内。左側の棚では季節柄、各種サンシェードが売られている。目玉価格の3.59ユーロ(約490円)は「バットマン」柄の側面窓用のみだった。


まずカー用品店といえば、芳香剤である。今回見つけたのは「バンクシーのグラフィティ・アート」をプリントしたペーパーフレグランスだ。ルームミラーにかけて使う。パッケージにはイタリア製で12種類のデザインがあることが記されている。イタリアでこのジャンルは、日本でも一部通販サイトで「リトルツリー」として販売されている「アルブル・マジーク」が、最強ともいえるシェアを誇っている。大きな駐車場を見渡せば、かなりの確率で、車内に木の形をした芳香剤がぶら下がっている。そうしたなかで、「俺は違うぜ」を示すのに、バンクシー柄は良い選択だろう。

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バンクシーのグラフィティ・アートをプリントしたペーパーフレグランス。2.99ユーロ(約410円)。


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参考までに。これがイタリアのペーパーフレグランス業界で圧倒的知名度と普及率を誇る「アルブル・マジーク」。


芳香剤といえば、このような新製品も。ユーモラスな形状をしているが、それだけでない。日本でも一部スーパーで見かけるコインロック式ショッピングカートを使う人の便宜を図っている。買い物に行ったとき、その都度小銭を探すべく財布をじゃらじゃらかき回すのは面倒。そこで、必要なときは、芳香剤にマグネットでくっついているトークン(硬貨の代わりを果たすメダル)を外して使える。

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「ジーノ」と名付けられたフレグランスは、ショッピングカートに使えるトークンのホルダーも兼ねている。6.95ユーロ(約950円)。

漂うプチ・フランス感

 

ノールオートのオリジナル・トーチ、つまり懐中電灯類は、いずれもスタイリッシュだ。差し色として使われているCIカラーのブルーは、イタリアで一般的に好まれる青より落ち着きが漂う。

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ノールオートのオリジナル・トーチ類。


しかし、それ以上にフランス企業らしさを感じるのは、ブレンボのブレーキ・フルードと並んで、LHM、すなわちシトロエンのハイドロ・ニューマチック系のオイルが置かれていることだ。念のため店員さんに「シトロエンに使えますね」と聞くと、そのとおりと頷いた。フランスではカー用品店だけでなく大きなスーパーマーケットでもLHMが販売されていて驚くが、イタリアではその頻度は極めて低い。それだけに、このような地方のノールオートにも常備されているのは、ある意味画期的だ。

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ブレンボ製ブレーキフルードのコーナーで。一番右がLHM。

同様にフランス系を感じさせるのは、実は「ウィンドーウォッシャー液」である。
かつてフランスで初めてウォッシャー液を補充して噴射したとき、車内まで到達する良い香りに驚いた。
イタリアのノールオートに並んでいるウォッシャー液は、どうやらフランス本国のノールオートで扱われている商品とは異なるブランドだ。だが「オレンジ」「レモン」そして「松」と、香りのバリエーションが豊富である。これならフランス帰りに、もう1ボトル余計に買って帰らなくてよい。

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ウィンドーウォッシャー液の数々。「オレンジ」や「レモン」の香りが並ぶ。


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ブルーは松の香り。ちなみに、ほぼ全商品に虫取り効果が謳われているのは、高速走行すると小さな羽虫が付着してしまうヨーロッパならではだ。

光る新&珍アイディア

アイディア商品もあった。「セーフ(Saphe)」は、スマートフォンアプリ連携型のスピード取締機アラームである。一般的なレーダー探知機とは異なり、本体に取締機の電波を受信する機能は無い。スマートフォンで受信したデータベースのGPS位置情報をもとにしている。別の見方をすれば、日本で「GPS搭載モデル」として販売されているものから、電波受信機能を省いて小型化したものといえる。本体はスマートフォン・アプリとブルートゥース接続して使用する。データベースは全ヨーロッパの取締機10万基をカバーしているが、サブスクリプションの類は永久に不要だ。

その1機種「セーフ・ワン・プラス」は、重量僅か24グラムで、バッテリーは約2年交換不要という。本体には、ユーザー自身が新たに発見したレーダーの位置だけでなく、事故発生場所やブラインドコーナーなど危険区間をデータセンターに通報・送信できるボタンが備えられている。いわばドライバー同士で“助け合い”ができるというわけだ。

 

姉妹品の「セーフMC」は、二輪車用ヘルメットの内側に貼り付ける方式だ。こちらには送信ボタンは無い。
調べてみると、セーフは2015年にデンマークで創業、現在の従業員は25名というスタートアップ企業である。不要な機能を極限まで削ぎ落とし、簡単かつシンプルなデザインにしたところに好感がもてる。なお、セーフの商品は通販でも購入可能だが、ノールオートのチェーンは、数少ないリアル店舗として同社の商品を扱っている。

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左は二輪車用の「セーフMC」で31.95ユーロ(約4400円)、右が四輪車用の「セーフ・ワン・プラス」で39.95ユーロ(約5500円)。




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ハイテクとは対極に位置するものの、アイディア商品も目にすることができた。イタリアの有名カー用品ブランド「マフラ」による車内用洗剤である。スプレーで洗剤を噴射したあと、真上に付いたブラシで、そのままシートをゴシゴシできる。
メーカーによる説明動画によれば、「バケツやクロス、スポンジなど不要。これ一本でオーケー」が売りである。


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「マフラ」社の「フラッシュ」は、ブラシが付いた車内用洗浄剤。「アルカンターラにも使用可」と記されている。

それ、何だかわかってます?

探訪はまだまだ続く。ある商品棚の片隅に、あのMOMO DESIGNのダッシュボード・トレイを見つけた。この種のものからすると格段にスタイリッシュで質感も高いが、包装のヤレ方からして、売れ残ってしまったのだろう。価格も通常価格9.95ユーロ(約1400円)のところ、5.99ユーロ(約820円)までディスカウントされている。

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MOMO DESIGNのダッシュボード・トレイ。

筆者が個人的に好感を抱いた商品は汎用ホイールカバー(ホイールキャップ)のコーナーにあった。ずばり「WRC(世界ラリー選手権)」ブランドである。無く子も黙るラリーの最高峰と“鉄チン”用カバーのミスマッチが素晴らしい。それも在庫あり商品が13インチ用というのが可愛いではないか。

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「WRC」ホイールカバーは4枚で24.95ユーロ(約3400円)。

ミスマッチといえば、WRC以上に、とんでもないものが筆者の目に飛び込んだ。シフトノブ用カバーの横に掛かっていたキーホルダーだ。どう見ても「日本の初心者マーク」である。ただし、パッケージにその説明はまったく無い。イタリア北部フェラーラの企業が製造する「S-Racing」という商品シリーズのひとつだ。昔、北米の日本料理店で、おしながきに位牌を使っていたという話には及ばないが、「初心者」と「レーシング」という、ちがうってば感にしばらく笑いが止まらなくなった筆者であった。

 

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日本で何のサインか知って購入するイタリア人ユーザーは、限りなく少ないだろう。6.95ユーロのところ、4.99ユーロ(約680円)にて特売中。

 



前回のノルオート店舗訪問レポートはこちらからご覧ください。


大矢アキオのアウトモービレ! カンタービレ! —伊仏を中心に路上クルマ風景をつれづれなるままに— 第24回昼休みも閉めません! カー用品チェーンが(ついに)やってきた!”
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大矢アキオ ロレンツォAkio Lorenzo OYA在イタリアジャーナリスト/コラムニスト/自動車史家。音大でヴァイオリンを専攻。日本の大学院で比較芸術学、イタリアの大学院で文化史を修める。自動車誌...
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