来月に控えたF1GPの開幕。
続々とニューマシンが発表され、テストが繰り返されていますが、今年は空力面のレギュレーションがかなり変わったために、それで失うダウンフォースを補うアイデアが出てきてますね。
あまり表面的に見えない部分では、昨年登場したブロウンディフューザーの効果を向上させるための排気レイアウトですが、その辺りはまだシークレットな要素でベールに包まれています。
表から見てビックリ仰天だったのは、マクラーレンのサイドポッド形状でしょう。
L字型と言うかU字型と言うか、とってもユニークな形状をしています。
一昨年まで存在した追加フィンの類の効果を補うアイデアなのでしょうか。
それと、トロロッソのサイドポッド形状も驚いたのと、どっかで見たような…と。
これは、90年代にフェラーリがF92Aというマシンでやって大失敗した形状です。
サイドポッドの下部の絞り込みはここ数年のトレンドでしたが、それをさらに過激にしたのがトロロッソのサイドポッドです。
よく見れば、完全にフロアから分離しています。
フェラーリがF92Aでトライしたのとは若干考え方が違うようにも見えますが、トロロッソの冒険が上手くいくかは今後を見守るしかないでしょう。
ここ30年ほどはダウンフォースをいかに得るかの試行錯誤が繰り返されましたが、それ以前は単純にドラッグを抑えることを追求していた時期もありました。
有名なタイレルP34のフロント2軸の6輪車はまさにそれでしたが、それとは違うアプローチでリア2軸の6輪車をあのウイリアムズがトライしてました。
テストで走行したものの、レースには投入されませんでした。
なぜなら、レギュレーションで4輪までと決められてしまったからでして…。
F1は葉巻き型から始まり、前後に巨大なウイングを追加するだけのもの、ロータスが開発してあっという間に広まったウイングカーの後に、あまりに速くなり過ぎたことに警笛を鳴らす意味で、フラットボトムが導入。
そうすると、今までサイドポッド内のウイングで得ていたダウンフォースが無くなり、それをどう補うかが各チーム間でのアイデア合戦になりました。
そこで生まれたのが、トールマン(今のルノーの前身チーム)のヘンな格好のマシン。
フロントウイング(?)内にラジエータを置き、そこを通る空気の流れでダウンフォースを得ると言うアイデア。
そして、サイドポッド後方に巨大なウイングを取り付けた、お世辞にもカッコイイとは思えぬマシン。
デザイナーは、後にフェラーリなどで活躍したロリー・バーンでしたが、彼はこの後方の巨大なウイングをボディワークの一部であり、ウイングでは無いと言い張りました。
その一方で、フラットボトム化で生まれたのが、極小サイドポッドのマシン。
これまた鬼才ゴードン・マーレイ作のブラバムのマシンで、後退角が付いたフロントウイングが特徴で、上から見るとまるで“イカ”のようなデザインでした。
その後、年月が経つとデザインがだいたい固まり、似たり寄ったりなマシンだらけになりました。
まあ、レギュレーションが大きく変わらない場合は、速いマシンのデザインを真似するのが通例になりますから、それはウイングカーの時もそうでしたしね。
その後、あのアイルトン・セナの事故死後、ステップドボトムが導入。
マシン下面で得ていたダウンフォースはまた減少することに。
そうすると、今度はマシン上面のデザインでどうにかしようということで、色んなアイデアが出てくるわけで、そのひとつがマクラーレンの通称“チョンマゲウイング”です。
インダクションポッド後方に小さなウイングを付け、わずかでもダウンフォースを得ようと言うアイデアですが、これはレギュレーションの盲点を突いたものでしたが、思ったほどダウンフォースが得られなかったようで、あっという間に消滅。
ほぼ同時期に出てきて、他のチームも真似したのがティレルのXウイングです。
コクピット脇にステーを立てて、そこに小型ウイングを付けたものですが、これもマクラーレン同様にレギュレーションの隙を突いたアイデアでした。
しかし、クラッシュ時の安全性が問題になり、禁止になりました。
その他には、ステップドボトム対策で、ウイリアムズが採用した通称“セイウチノーズ”なんていうのも。
これは途中で普通のノーズに変わってしまたんで、恐らく効果は???だったのでしょう。
このように、過去にも効果があったのかなかったのかイマイチ不明なアイデアがありましたが、今後も見る者を驚かせる奇抜なデザインのF1マシンが出てくるかも知れませんし、我々もそれを楽しみにしたいです。
だって、全部同じようなマシンじゃつまらないじゃないですか(笑)