話題はかつて所有していたというベレットGT type R(写真は会場の同型車)に始まりましたが、「雰囲気はイタリア車っぽいが、乗り味は英国車」と、クルマ好きならではのコメントに感心しきり。そう言われれば、(どっちの発売が早いかなどは関係なしに)雰囲気は何となく段付きアルファロメオを思い起こさせるものがありますね。
クルマ好きになった原体験を振り返り、母親がレーサー好きであったこと、小1で映画グランプリを観て刺激を受けたこと、ミッキーカーチスなどのミュージシャン且つレーサーが周りにいたことなどを語ってくれました。またクルマは、スタイルやデザイン、そして乗っている人がどのように見えるかを重視しているとのことで、クルマをどのように位置付けるかがライフスタイルを決める軸にもなりそうです。
さらに現在はレースにも参戦し、漆黒の510ブルーバード(安東アナも大好き)で活躍しており、今年はスケジュールを見直してレースの合間にライブを行うことを宣言してくれました。 最後に今後欲しいクルマを問われると、セリカXX2800GT、初代シルビアを揚げてくれ、ベレットの他の思い入れのあるクルマは、VWタイプⅢノッチバック(グラナダレッド)であることも語ってくれました。 安東アナとの掛け合いは、楽しくて仕方がないという様子で、あっという間の40分でした。
もともと親和性の高い音楽とクルマを、ここまで昇華させてくれた横山 剣。クルマ視点で横山 剣を追いかけると、懐かしさだけではなくこれからのクルマ人生の在り方が見えてきそうです。 補足ですが、この後にNostalgic 2days AWARDが開催され、横山 剣が選んだクルマはトヨタ1600GT。1969年のレースでスカイライン2000GT-Rを抑えて1着入線も、走路妨害で幻の優勝となった経緯を選定理由として述べてくれました。
さて会場を見渡すと、まずは今回のイメージ車でもあるいすゞ117クーペが鎮座。横山 剣が好きだと公言するいすゞはその他ベレットが展示されていましたが、80年代のジェミニは見かけることが無く、ちょっと残念でした。
マツダは、1970年の東京モーターショーで公開された貴重なRX500やコスモスポーツのプロトタイプが展示されており、当時のロータリーエンジンにかける熱意を感じ取ることができました。ただ、全体から見るとロータリー車はちょっと少なく、絶版となってしまった今、ロータリーエンジンの維持の難しさを感じた次第です。 その他の気になった展示車は以下の写真をご覧ください。
カワサキ・マッハⅢやスズキGTサンパチといった往年の二輪車も展示されていました。
また、パーツを見てまわるのも楽しいものです。昨今はヘッドを改造し、点火系をダイレクトイグニションコイルに変更するのが流行りなのでしょうか? 今回の展示を見て感じたのは、箱スカやフェアレディZは人気があるせいか、価格高騰がとんでもなく、円安の今、海外のバイヤーをターゲットにしたプライスなのでは?と勘ぐってしまったくらいです。もちろん商売なので値付けは自由ですが、貴重な日本のクルマが海外に流出するのはちょっと寂しい気がします。 このイベントは、どちらかと言うと国産旧車にフォーカスしていますが、いすゞ117クーペやピアッツァ、そして今回のAWARDに選出されたスズキ・フロンテクーペやスバル・アルシオーネSVXは、いずれもジウジアーロが関与したデザインです。国産車でイタリアのデザインに乗れるというのも、旧車の醍醐味かもしれません。
最近「昭和」というキーワードがひとつの文化として盛り上がりをみせています。このイベントがターゲットとしているNostalgicなクルマはまさしく昭和。DOHCがスポーツカーの代名詞であったり、キャブレターからインジェクションへの変革があったり、またバブル景気といった時代背景からコストをかけたクルマが造られたりと、令和の今では考えられない車種が誕生してきました。そのようなクルマを懐かしむ世代だけではなく、新鮮に感じる世代が生まれているのも確かです。衝突安全性の制約のないデザインをかっこいいと感じたり、エンジンをかけて走り出すまでの様々な儀式を楽しいと感じたりしているのです。 今回のイベントは、国土交通省などの「自動車整備士の人材確保・育成への取り組み」に賛同して、神奈川県立工業高校生及び横浜市立中学生は入場無料としておりましたが、(その取り組みはとても良いですが)もっと裾野を広げるために、思い切って18歳未満は入場無料といった施策を打つのはいかがでしょう?自動車文化は徐々に醸成されつつありますが、次世代に上手くバトンを渡すこともクルマ好きの使命であると感じた次第です。