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witten by 嶋田智之
世界中
うんうんする
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まずは写真を見ていただくのがいいんじゃないかな? と思う。
 
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いわずと知れた、ランチア・ストラトスである。ノーマルの姿の異形といえる美しさもいいけど、ラリーで勝つために生まれてきたマシンだけに、やっぱり僕はリトラクタブル・ヘッドランプ以外にもズラリとランプ類が並べられたこの姿が一番好き。
 
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年代や参戦ラリーによって多少の違いはあるようだけど、ストラトスのライトポッド付きを正面から見ると、こんな感じ。
 
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ストラトスと較べれば活躍期間は短かったけど、同じくランチアのラリー037も“美しいラリー・マシン”の筆頭といえる1台。よく知られてるのは4連のライトポッドが堂々と備わってる顔だけど、僕は1982年辺りの初期の頃の、この少し控えめな表情が好きだったりする。
 
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これが有名な方の顔ね。記憶に間違いがなければ、参戦2年目からは補助灯ありの場合にはこのライトポッドに変わってるはず。
 
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ランチア黄金期の最後を飾るデルタ。他のイベントでは「いかにも!」なライトポッドが付くのだけど、確かアニマル・バーが必要となるサファリ・ラリー用マシンにだけはちょっと小振りのものが付くのだよね。しかもこれ、角形ランプで、このミス・マッチ感がまたちょっとビミョーにカッコよかったりする。手元に資料がないからナニだけど、これって1991年だけだったっけ……?
 
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補助灯といえば忘れちゃならないのが、アルピーヌA110。バンパーのところに付くフォグランプが左右とも外側を向いてるのは、ナイト・ステージでもドリフト前提……だから?
 
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A110がルノーのラリーでの歴史を語る上での主役なのは間違いないけど、サンク・アルピーヌとサンク・ターボも忘れちゃいけない英雄。サンク・アルピーヌもサンク・ターボの初期の頃のマシンも、仲良くシビエのランプが4つ、こんなふうにマウントされてたわけだけど……。
 
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サンク・ターボのマキシの時代になると、この顔面埋め込み型。サンクの小粋な感じは消えてなくなっちゃってるけど、ド迫力だよねぇ。
 
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ラリー・カーとして忘れちゃならないミニ・クーパー。この“33EJB”はかの有名な1964年モンテカルロ・ラリー優勝車だけど、補助灯、何と頭の上にまで取り付けられてたりする。もともと灯火類が明るい時代じゃなかったから、ナイト・ステージ、怖かったんだろうねぇ……。
 
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こっちはナロー・ポルシェの1965年モンテカルロ・ラリー出場車。フロント・フードとバンパーの下に追加されてるだけじゃなくて、やっぱりルーフにも備わってる。そういう時代だったのだねぇ。
 
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後年になると911にもちゃんとしたライトポッドがマウントされるようになるわけで、これは1981年のサンレモ・ラリーでワルター・ロールのドライブで最後まで優勝争いを繰り広げた911SC……をポルシェ・ミュージアムがレストアしたヒストリック・ラリー用マシン。もちろんヒストリック・ラリーも、ドライバーはロールさん。ポルシェ911って、意外やライトポッドが似合うのだよねぇ。ロールさんのファンとしてはチョー悶絶モノな1台。
 
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もっと光を! と念じたくなるのは、何もラリーに限ったことじゃない。ル・マンをはじめとする24時間耐久レースも、もちろんそう。ちなみにこれは雨上がりのル・マン、サルテ・サーキットの情景。真っ暗でランプの光が路面に反射してるよね。この先頭のノーズの真ん中からビームを発してるマシンは何かというと……。
 
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アストンマーティンのヴァンテージ。アストンのアイコンともいうべきフロント・グリルの奥に、2つの補助灯をマウントしている。近頃のGTマシンではノーズ埋め込み型が主流なのだけど、明るいときには市販モデルと表情をほぼ同じくするアストンのやり方は、過剰感をよしとしない“らしさ”に溢れていて、とても好ましく感じられる。
 
──というわけで、補助灯マシンの写真を並べてるわりには補助灯のブランドの解説があるわけでもマシンの詳細に触れてるわけでもない、どっちかといえばチャラいことばっかり書いていて、あんたはいったい何がいいたいのだ? とお思いの方もおられることだろう。いや、僕がいいたいことは、ただひとつ。
 
ちゃんとヘッドランプつけて走ってくれよぉ……。
 
そりゃ夜になって暗くなったらスイッチをオンにするのだろうけど、そういうことじゃなくて、最低限、台風の影響でドシャ降りだったりゴリラ芸雨だったりで視界がものすごーく悪化してる状況の中を走るのだったら、真っ昼間でもランプのスイッチは躊躇わずに入れてくれってば。
 
先日、台風の影響でバケツの底というより風呂の底でも抜けたかのような雨に見舞われた、仄暗い夕方の東京都目黒区のはずれでのこと。スモールランプすら点けてないクルマが直進してきてることに気づかず、スモールランプすら点けてないクルマが脇道からノタノタと出てきて、クルマ同士の接触はギリギリでまぬがれたものの、出てきたクルマを避けた直進車両が電信柱にボコッ! とバンパーをぶつけるという軽めの事故があった。
 
で、その電信柱の陰に、僕がいたというわけだ。傘が役立たずでグショ濡れになりながら歩いてて、何となーく道路の流れを見る癖がついてるおかげで「あれ? やばいかなぁ……」と、念のために電信柱の陰に待避してたのだ。電信柱がなかったら、ハネられてたかも知れない。
 
ふたりのオヤジは濡れネズミになりながら「あんたが悪い」と互いに罵り合ってたけど、僕にいわせればどっちもどっち。あのコンディションでランプを点けてない時点で、同じ穴のオヤジ、だ。歩いてたのが動きのゆっくりなお年寄りだとか恐れを知らないお子ちゃまだったら、大変なことになってたかも知れないんだぞコノヤロー、である。
 
視界不良で見えにくいなら見えにくいなりの運転をするべきだし、自分が見えにくかったら相手だって見えにくいわけで、ならばせめて自分を周囲に認識させる手段をとるべき。仮に雨降りじゃなくても、街が暗くなってきたと感じたら、遠慮なしにランプを点けるべき。……でしょ?
 
というか、近頃はデイライトが備わってるクルマも増えてるけど、もーさぁ、そういうのに関わらず常時点灯でいいじゃん。明るい真っ昼間だって、周りにランプをつけてるクルマがいれば判りやすいでしょ? 立場を変えれば、自分がランプをつけてれば他車に「俺はここにいるぞー!」ってのを判ってもらいやすい、ってことでしょ? 自分では絶対にクラッシュなんかしないって決めてたって、他車から突っ込まれるのを避けるのはなかなか難しい、でしょ? だったら突っ込まれる可能性を少しでも減らすため、ちゃんと自己主張をしておく方がいいに決まってる。
 
スイッチを入れるだけでそれが可能になるランプ類っていうのは、立派な“アクティヴ・セーフティ”装置のひとつ、なのだ。
 
スウェーデンでは、確か1970年代の終わり頃には、常時点灯が義務づけられてたはず。その他の北欧諸国やカナダなども、義務化されたのは早かった。僕は10年ちょっと前だったと思うけど、イタリアを走ってるときに周りのクルマのほとんどがランプを点けてるのを見て、日本に帰ってきてからも真似してる。24時間365日、常時点灯である。最初はカッコつけみたいなところも、なきにしもあらずだったかも知れないけど。
 
ともあれ、ヘッドランプは暗いところを照らすためだけのものじゃなく、この先まだまだ続く自分の未来をも照らすものなのだ。
 
……え? 補助灯? ライトポッド? いやぁ……それはねぇ、ただ単にカッコイイよなぁと思って。だって、こんな説教じみた話だけ聞かされたって、おもしろくないでしょ? サービスですサービス。ふはははは (^o^)
 


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