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1990年代に空前のアウトドア・ブームっていうのがあった。バブルがパーン! と弾けて、それまでの豪華なホテルでシャンパン抜いてフレンチに舌鼓を打ってみたいな脂っこい絵空事のような遊び方へのアンチテーゼのようにして、週末になると街を脱出することを決め込む人が加速度的に増えていった。ルアーやフライのフィッシング、カヌーやカヤックでの水上クルージング、テントを張って焚き火を囲んでウヰスキー、なんて具合。他にもあれこれあった気がするけど、それほどコストをかけなくてもたっぷりと週末を遊べるとあって、“野遊び” がグッと市民権を得たのだった。……僕はめんどくさがりだったから手を染めなかったけど。
 
その後しばらくして徐々に下火になっちゃった感じがあって、でも今、再びブームが静かに燃えてるみたいだ。ケータイ&スマホやインターネットの世界が加速度的に発展したことによるインドア・カルチャーが蔓延し、外に出ないのが当たり前っていう風潮まで生まれちゃってたけど、きっとそれに対するアンチテーゼみたいなもんなんだろうな、と思う。一昨年あたりからそっち方面のキーワードをあちこちで耳にするようになって、去年は気づくと知人がわりと頻繁に週末キャンプへ出掛けたり彼らからお誘いがあったりで、今もめんどくさがりなのは変わらないからバーベキューだけ参加させてもらったりはしたけど、まぁそんなふうに門外漢にもそこはかとなく実感できるほどには流行ってる。
 
そういえば古巣の“Tipo”でも──まぁいつもながら編集スタッフが遊びたいって言うのが第一なんだろうけど──何度か“エンスー車でキャンプ”ってな感じの記事を展開してきたし、ちょうど今、本屋さんに並んでる号でもキャンピングカーの小特集をやってたりする。
 
まぁ……気持ちは解るのだよね。日常にそれほど不満があるわけでもないけど、僕にだってときどきパーッ! と外に飛び出したいときっていうのはある。“ここじゃないどこか” に行きたくなるのだよね。できればその場にいるだけで気持ちが丸く穏やかーになっていくような景色の中で、ごはん食べて酒を飲んでスカッと眠ったりできたらいいなー、なんて。
 
でも、繰り返すようだけど、僕はホントにめんどくさがり。たぶん全日本めんどくさがり選手権とかがあったら、確実に上位にランキングされるほどのダメ人間だ。目的地まで延々と走るのは全然オッケというか望むところぐらいの気持ちはあるし、テーブルやイスを出したりとか簡単な料理──我ながらいつも壮絶に不味いと思う──を作ったりとかはいいにしても、複雑なテントを張ったりするぐらいならクルマの中で身体を折りたたんで眠る方がいいや、ってなぐらい……。
 
それでも気持ちのいい風景の中で美味い酒を飲んだり眠ったり……みたいなことは将来的にしてみたいのだよねぇ……なんて思ってるのは確か。
 
そんなタイミングで、このクルマの存在を知っちゃったのだ。
 
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ルノー・カングー。
 
そう、カングーなんだけどね。
 
間違いなくカングーなんだけど……。
 
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ほら、こんなふうに頭が持ち上がる。そう、これはルノー・カングーをベースにしたキャンピングカーだ。名前はポップアップ・ルーフにちなんで『カングー・ポップ』。ホワイトハウスのキャンピングカー事業部が手掛ける、かなりグッと来るスモール・キャンパーだ。
 
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カングー・ポップの最大の特徴はもちろんそのポップアップ・ルーフで、ルーフが閉じてるときにはカングーのスタイルを全く壊してないくせに、ガバッ! と開くと天井に1800mm×1020mmのベッドルームができちゃうこと。個人的にはヤローと並んで横になるのは謹んで御遠慮申し上げたいところだけど、大人ふたりが並んで眠ることはできそう。
 
でも、それだけがカングー・ポップの偉いところってわけじゃなかった。
 
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このポコッと置いてあるだけだと「何だコレ……?」としか思えないもの……。
 
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専用設計と思しきそれを、こんなふうにラゲッジ・ルームにピタリと収めると、車室内がいきなり本格的キャンピングカーに変身しちゃう。これは“マルチリビングベッド”と呼ばれる仕組み。
 
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オレンジ色のマットの下で折りたたまれていたフレームを、倒した後席のシートバックの方に伸ばして……。
 
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さらに広げて……。
 
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その上にオレンジ色のマットを敷けば、ここにも快適なベッドルームができ上がっちゃうってわけ。その気になれば4人でキャンプができちゃうのだね。
 
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で、セッティングを変えれば、こんなふうにリビングとしても使えちゃう。大人4人に対してものすごーくルーミーだとはいえないスペースだとは思うけど、キャンプみたいなときは、ちょっとした狭さってちょっとした楽しさに繋がったりもするからねー。
 
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しかもこのマルチリビングベッド、もうひとつ仕掛けがあって、リアのゲートを開けるとスライド式のギャレーを使うこともできちゃう。簡単な煮炊きや水仕事もできるっていうのは、いいよねー。工夫次第ではもっともっと可能性を広げることができそうだし……。
 
普段は乗り味やわらかくて小回りも効くアシとして使い、週末には魔法のマルチリビングベッドを積み込んで、彼女とふたりで宿もないような特別な風景の中にエスケープ? 家族揃って大自然に近い場所でお手軽キャンプ? 使い方、さまざま。
 
僕なんてひとり者だし、クルマであっちまで走ってひと仕事したらそのまま全く別方向の違う場所に移動だとか、あるいは同じエリアに2日続けて行くだとか、そういうことも結構あるわけで、これ1台あればわざわざ自宅に戻る必要のない移動オフィス兼ビジネスホテルとしても使えるよなー。というか、日帰り温泉とか銭湯とかを上手く利用して風呂の問題さえ解決できれば、もうほとんど住めるレベル?
 
……ってなことを考えてる時点で何だかちょっと失格のような気がしないでもないけど、でもね、このカングー・ポップ、仕様その他で異なるけれど、値段は293万3200円〜457万7200円なのだとか。思ってたよりも断然現実的でしょ? こうなっちゃうと、今すぐ欲しいわけでも必要なわけでもないけど、あちこちに向かって広がっちゃうのだよねー、妄想が。
 
やばいなぁ。いつもミラフィオーリとかトリコローレに出展されてるホワイトハウスさん、実車、イベントに持ってきてくれないかなぁ……見たいなぁ……。
 
あ、そうそう。まだカングー・ポップは掲載されてないみたいだけど、ホワイトハウスさんのキャンビングカー事業部のURLを最後に記しておくので、皆さんも思いきり妄想を広げてねー。
 
◎ホワイトハウス キャンピングカー事業部
 
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僕の家にはテレビがない。

貧しいから? いやいやいやいや、テレビぐらいその気になったら買えるってば。ちっちゃいヤツ。……だから、そーゆーわけじゃなくて、全くといっていいくらい見ないのだ。以前には僕の家にもちゃーんとテレビがあったのだけど(……ちっちゃいヤツね)、ある日いきなり、スイッチを入れないどころか2年もコンセントを差し込んでないままだったことに気がついて、友達にあげちゃった。以来、年末年始におふくろの家に疎開したときに見る“紅白歌合戦”と“箱根駅伝”だけが、数少ない僕のレギュラー視聴番組となっている。

が、それでもやっぱりF1グランプリとMOTO GPだけは観戦したいわけだ。だけど、それにもテレビが必要になったりはしない。どちらもWEB経由で生放送やオンデマンド放送を楽しむことができちゃうからだ。むしろパソコンだけじゃなくてiPadやiPhoneなどのタブレット端末やスマホでも観戦できちゃうから、出張が多い僕にはかなり都合がいい。ホテルの部屋でWi-Fiの電波を拾えればしめたもの、だ。

MOTO GPについては、MOTO GPのオフィシャルサイトで年間を通して視聴できる“VIDEOPASS”に加入してる。年間料金がいくらだったか覚えてないが、1ヶ月あたり1000円台だったはずで、それでライヴ中継どころか1992年以降のレースなど40000本オーバーのアーカイヴ映像が全て見られるのだから、ちっとも高くないと思う。

F1グランプリはどうかといえば、以前はフジテレビNEXT smartというのを喜んで利用してたのだけど、シーズン開幕直前まで引っ張るだけ引っ張って月額料金を徴収しておきながら、ある日いきなりWEBだけでの有料配信はヤメるからまずは“スカパー!”だとか“J:COM”だとかに加入してナンチャラ……という継続視聴者を平然とコケにするようなことをしてくれたので、バカバカしくなって速攻で解約した。僕がフジテレビ系列の有料放送に加入することは、金輪際ないだろうと思う。

で、今はどうしてるのかといえば、2016年の夏頃からスタートした“DAZN”というヤツに加入している。「ダズン」でも「ダズーン」でもなく、なんでそうなるのかは解らないが、「ダ・ゾーン」と読むらしい。

これは月額1750円+税のスポーツ専門のライヴ&オンデマンド放送で、サッカー、バレーボール、ラグビー、バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケー、格闘技、ダーツ、野球、テニス、ゴルフ、水泳、キックボクシング、フィッシング、馬術、バトミントン、スカッシュ、馬車競技、卓球、ビリヤード、そしてモータースポーツを視聴することができる。サッカー好きの人は知ってるかも知れないけれど、何やら2017年からはJリーグの中継を独占配信するらしい。

当然ながら僕はF1グランプリの予選や決勝を生中継で観戦したり、ナマの時間帯に見られないときには見逃し配信で楽しんだりするために加入したわけだが、このDAZN、実はGP2やGP3、ポルシェ・スーパー・カップ、それにオーストラリア・スーパーカー・チャンピオンシップといった「ウソでしょ?」なコンテンツも、実は持っていたのだ。バイクの方も、スタジアム形式のAMAスーパークロス選手権やスピードウェイ世界選手権など、めちゃめちゃマニアックだ。

実はここ数ヶ月、このDAZNのモータースポーツ・コンテンツの中で、もしかしたらF1グランプリより楽しんじゃってるかもしれないモノがある。

FIA世界ラリークロス選手権、である。

ラリークロス、御存知だろうか? 簡単にいってしまえば、ターマック(舗装路)とグラベル(未舗装路)が混在するショート・サーキットを使って行われる、超スプリント・レースだ。日本ではあまり知られていなかったが、1970年代からヨーロッパを中心に開催されているそれなりの歴史を持つ競技で、2014年からはFIAによる世界タイトルのかかったトップ・カテゴリーへと格上げされている。

もうちょっと詳しく説明すると、コースは1周1kmから1.5km程度。予選は最大5台がレース形式で同時に走るタイムアタックで、周回数は4周。Q1は任意で出走が決められるけれど、Q2からQ4までは前の走行のタイム順でそれぞれ走行グループが決まり、遅いグループからタイムアタック・レースが行われる。で、参加者のそれぞれにはQ1からQ4まで速さの順に応じた規定のポイントが与えられ、Q4終了後のポイントの合算で上位12台がセミ・ファイナルに進出できる。またこの時点で16位まで規定に応じたチャンピオンシップ・ポイントが与えられる。

セミ・ファイナルに出場する12台のマシンは予選順で6台ずつの偶数チームと奇数チームに分けられ、今度はタイムではなく6周の超スプリント・レースでゴールした順位で勝負を争う。そして、それぞれのグループ上位の3台ずつが同じく6周で行われるファイナル・レースに出場できる、というわけだ。もちろんセミ・ファイナルでもファイナルでも、規定に応じたチャンピオンシップ・ポイントが与えられ、その合算でシリーズ・チャンピオンが決まる。

こんなふうにウダウダ書くと「ワケ解らん!」かも知れないけれど、まぁちょっと複雑な感じのトーナメント戦で勝者が決まる、というぐらいに思ってもらえればいいんじゃないかと思う。

で、オモシロイのはコースに関するルールだ。“1周1kmから1.5km程度のターマックとグラベルが混在するショート・サーキット”と記したけれど、コースには仕掛けがある。途中から枝分かれして遠回りもしくは近回りするためのルートが用意されるのだ。選手達はその区間を、各レースごとに必ず1回通過しなければならない。これは“ジョーカー・ラップ”と呼ばれていて、ジョーカーを経由することで遠回りの場合には何秒間かタイムロスするわけだが、通過しなければ+30秒のペナルティを喰らわされる。勝負権を失うも同然、なのである。

それをいったい何周目に、どのタイミングで消化するのか。ダンゴ状態から抜け出して前方がクリアな状態で走るために早めに消化を決めるか、後ろを引き離してから余裕で通過するか。戦略は無数にあって、ここが勝負を決める鍵になることも少なくない。

肝心のマシンはというと、最高峰の“スーパーカー”クラスは1.3tの車重に600ps、4WD化もOKで、0-100km/hは2秒たらず。プジョー208やDS3、フォード・フィエスタ、アウディS1、VWポロといった街中で見掛けるクルマ達をいかつくしたようにしか見えないけれど、中身は事実上のワークスが威信をかけて作り上げたモンスターである。

しかも、だ。

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スーパーカー・クラスのドライバーの顔ぶれが凄い! さすがは世界タイトルがかかってるだけある。世界ラリー選手権のチャンピオン経験者、ペター・ソルベルグやセバスチャン・ローブ、DTMのチャンピオン経験者、マティアス・エクストロームやティモ・シャイダー、それにジムカーナ&ラリーを経て世界中がドリフト・コントロールとエンターテインメント性でナンバー1と認めるケン・ブロックといった他のカテゴリーの一流どころと、ティミー・ハンセンやアンドレアス・バックラッド、トーマス・ヘイッキネンといった若い頃からラリークロスでウデを磨いてきた名手達のバトル。 

 

だから!


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フツーのサーキット・レースでは3ワイドだって驚きなのに、こんなふうな5ワイドなんて当たり前。
 

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コーナーの侵入ではテール・トゥ・ノーズなんて生易しいもんじゃなくて、ほとんど全車カタマリ状態。

 

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この次の瞬間にどうなるかは想像どおりで、もちろん接触上等。
 

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ジョーカーその他でクルマがバラけてきても、ドリフトしながらコンコンと接触し合ったり。

 

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前のクルマがドリフトで進路を塞げば後ろのクルマはドリフトしながらライン取りを変えて抜こうとしたり。

 

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単独走行になればタイムを削るためのこんなふうな名人芸を見ることができたり。


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たまにはこんな状態になっちゃうこともあったりして。

 
こりゃもうホント、レーシングカーを使って行われる総合格闘技みたいなもの。ルールを知らないまま見てても、思い切り興奮できちゃうと思う。……解ればなおさら楽しいけどね。

そんなわけで、もちろん他のモータースポーツもめちゃめちゃ楽しいのだけど、2017年は絶対にっ! 世界ラリークロス選手権に注目することをオススメしておきたい。

シーズンの開幕はもうちょっと先で、暫定だけど4月1-2日のバルセロナ戦から。11月までの間に全12戦でチャンピオンシップが争われる。

おそらく引き続き“DAZN”で放映されることになるだろうから、個人的には(F1もGP2も見られるわけでもあるし)有料会員になって予選からファイナルまで楽しむのがいいと思う。
 

◎DAZN
https://www.dazn.com/ja-JP/home

まぁその前に映像を見てどんなものかチェックしたいという人も多いだろうから、世界ラリークロス選手権のオフィシャル・サイトやFacebookページをクリックしまくって御覧いただくといいだろう。

◎FIA世界ラリークロス選手権オフィシャル・サイト
http://www.fiaworldrallycross.com

◎FIA世界ラリークロス選手権オフィシャルFacebookページ
https://www.facebook.com/fiaworldrallycross/?pnref=story

ってなわけで、2017年もあまり役には立たないような気もするコラムをスーパー・マイペースでポロリポロリとやっていくつもりなので、どうか呆れ果てたりしないでオツキアイのほどを。 

皆さんにとって新年が素晴らしいものになっていきますように……。

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9月23日から25日にかけて行われた、ローマ・ラリーの取材に行ってきた。mCrtことムゼオ・チンクエチェント・レーシング・チームと眞貝知志選手の初めての海外ラリーへの挑戦をベッタリくっついて追うことで、彼らが生み出すドラマを余すことなく伝えること、そして蚊帳の外からじゃなく内側から見つめてレポートすることで、ラリーというちょっとばかり解りにくいところもあるスポーツをクルマ好きの皆さんにもっと知っていただけるようにすること。
 
メディアでのレポートは、まずは僕の古巣でもある“Tipo”の10月6日発売の11月号、Tipo編集部が作った10月30日発売のムック本、“FIAT & ABARTH MAGAZINE”、それからアバルトのライフスタイル系公式WEBマガジンである“SCORPION MAGAZINE”(http://www.abarth.jp/scorpion/scorpion-plus/6554)に速報というカタチですでに掲載されているので(だけど書いてることは皆ちょっとずつ違ってるよー)、もしかしたら御覧になった方もいらっしゃるかも知れない。
 
けれど、今回の取材の大本命といえるのは、同じくTipoに3ヶ月続きの短期集中連載となるインサイド・レポート。それが11月5日発売の12月号からスタートした。ちょうどいいタイミングなので、スペースに限りのある雑誌の誌面では伝えきれなかったこと、しかもココをもうちょっと知っておくとインサイド・レポートがよりリアルに感じられることを、補足的にお伝えしようかな、と思う。
 
それは何かというと……、
 
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道、である。
 
ローマ・ラリーはイタリアのナショナル選手権の第6戦にあたる競技で、確かにローマを拠点に行われるのだが、実際のSS(=スペシャル・ステージ/速く走れば速く走るほど偉い全開タイム・アタック区間)のコースのほとんどが、ローマ近郊40〜100kmほどのところにある山岳地帯に設けられている。その山岳地帯の村と村を繋ぐ生活道路みたいなところを閉鎖して、タイム・アタックが行われるわけだ。
 
ちなみに上の写真はローマから40km少々のところに設けられた市内に最も近いSSの、それもまだ全然頂上に達してない途中から下界を撮ったモノ。中央から向かって左下の2本の線みたいなのはコースの下の方の部分である。このSSを一気に駆け上ってくる。
 
その道ってのが、なかなかのクセモノだったのだ。フツーの速度でフツーに走ってるとどうってことないっちゃーどうってことないのだけど、速度域が上がって攻め込んで走ろうと思うと、途端に違った表情を見せるのである。
 
そもそも大前提として、これはまぁイタリアだけに限ったことじゃないのだけど、道の構造が日本とは想像以上に違う。例えば高速道路の出口。日本だったら本線から出て料金所のブースへ向かうような場面だ。そういうところでは大抵の場合、道幅は広くとられているし、曲がり具合もわりとなだらかに設計されていたりするものだけど、そういう配慮はあんまりない。というか、本線から外れたらいきなり道幅が絞り込まれて狭くなったり奥に行くに従ってコーナーがギュッとキツくなってたりするのも珍しくない。一事が万事そんな感じで、つまりどういうことかといえば、道路の設計がそれほど安全に配慮したものではないってこと。
 
いや、そういう表現は正しくないか。日本の道路の設計が、世界的に見てもトップ・クラスといえるくらい安全に配慮したものになっている、というのが正しいだろう。僕も仕事柄あっちの道を走ることが少なくないのだけど、フツーに走ってて「うあ、ここ危ねえなぁ……」とか「うひゃー、飛ばしてなくてよかったー」と感じられること多々、なのである。
 
それは単純に道の曲がり方だとか幅の大小の変化の問題。それに加えて、あっちの道は日本と較べてかなり路面のμ(=ミュー/摩擦係数)が低い。というか、これまた“日本の路面のμが高い”と表現するのが正しいだろう。つまりあっちの路面は日本と較べて基本的にタイヤのグリップが低い、滑りやすいと考えてもらっていい。その上、これだ。
 
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これはちょうど下界を見下ろす写真を撮ったコーナーなのだけど、写真の右奥の方から駆け上がってきてコーナーを抜けて左の奥の方に向かっていくまでの間で、舗装の種類が3あるのが判るだろう。つまりμが3種類で、そのたびにタイヤのグリップの仕方が変わる。晴れた日にフツーのスピードで走ってる分にはどうってことないけど、雨の日で路面がウエットだったり、あるいは速度域を上げて攻めて走ったりすると、だいぶ走りにくい。というか、たぶん結構怖い。
 
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しかも、だ。もちろんスムーズなところもあるのだけど、多くは古くから使われ続けてる生活道路がベース。荒れている箇所が多い。この写真のクルマの右側の路面を見ていただきたいのだけど、凹凸が幾つもあることが判ると思う。ここはまだどちらかといえば穏やかな方で、こうした凹凸、大きなうねり、小さなうねり、あるいはそれらの複合技(?)が絶え間なく続く道も少なくなくて、そういうところではレンタカーでフツーに走っていても上下とか斜めとかに揺さぶられて、思わず速度を落とす。勢いよく走っていこうとすると、跳んだり跳ねたりする。それは低速で曲がるコーナーだけに限ったことじゃなく、おそらく120km/hとか130km/hとかで抜けていかないと勝負にならないような高速コーナーでも一緒だったりするのだ。
 
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そのうえ、だ。この写真は地形の関係でずっと登ってるように見えるかも知れないけど、実はちょうど一番曲がってるところ辺りがボトムで、そこから先は登り、その手前までは下り。写真を撮っておけばよかったと後悔してるけど、実はここに至る直前の道は、競技中は軽く100km/hオーバーだろうと思われる高速のS字が続いてて、路面には大小のうねりが散りばめられている。
 
つまり競技車両は跳んだり跳ねたりしながらとんでもない勢いで下りのS字を抜けてきて、視界が開けたと思ったらいきなり路面のボトムで、そこを超えてサスペンションが伸びようとしてるところで逆バンク気味の激しい左ターン……だ。膝丈ぐらいの石を積み重ねたガードの向こうはいきなり崖。速度を落としきれずにまっすぐ突き進んだらそのまま綺麗さっぱり崖から落ちる、という仕組みである。
 
そんなところが山ほどある。先が見えない登り道があって、登り切ったと思ったら次の瞬間には直角にターンしてたりするようなところだって、ちっとも珍しくない。道路というものの作り方というか、道路に関する考え方みたいなものが、根本的に日本とは違ってるのだ。全てがそうだとは言わないが、日本では極力そうした危険な作りになることを避けようとしながら道路を敷いていくのが常識となっていて、海外から帰ってきて日本の道を走るたびに“ああ、やっぱ日本の道は走りやすいなぁ……”と感じたりする。
 
もちろん世界の中でも断トツ級にスムーズな日本の道にも競技で走るには固有の難しさがあるのだろうとは思うけど、少なくとも僕はあっちの山道を全開で攻めて走ってみたいとは思わない。“楽しい”よりも“恐ろしい”が先に立つぐらい戸惑うし、めちゃめちゃリスキーに感じられるからだ。
 
全日本戦では頂点級のところにいる眞貝選手とパートナーであるコドライバーの漆戸あゆみ選手も、あっちでのラリーは初めてだったわけだから、そうしたちょっと踏み込んでみないと実感として解らない路面環境には、同じように戸惑ったことだろう。それが今回のローマ・ラリーでの彼らの戦いに大きな影響を及ぼしたのだと僕は思う。
 
そんなことを意識しながら、できれば今ちょうど書店に並んでいるTipoを手にとって、インサイド・レポートのページを読んでみていただけたら嬉しい。
 
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競技当日には封鎖されてさすがにこんなふうに出てきたりはしないだろうけど、コーナーを抜けたらランボルギーニが道端にいたり、
 
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フェラーリが道を塞いでたりして、驚かされたりもした。本番のときに姿を現さないにしても、路面には彼らの糞が落ちてたりすることもあって、それを踏んでズルリと滑ってスピン→クラッシュ、なんてことだって考えられないわけじゃない。何と恐ろしいコースなことか。
 
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SSのコースを登り詰めていくと、道の両脇にこんな光景が広がっていたりする。ハイジはどこにいるんだ? ペーターはどこだ? いや、なんちゅーか……もうほとんど「ローマって言うな!」って感じである。
 
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これは競技本番の2日前、レッキ(下見走行)の途中の眞貝選手と漆戸選手。ふたりの表情にゆとりは感じられない。……そりゃそうだろう、と思う。プロだからこそ、いかに困難な局面に自分達が向かっているのかということを、実感として悟ったのである。
 
 
これは本番初日、SS4(4番目のスペシャル・ステージ)をスタートするときの、mCrtのアバルト500ラリーR3T。同じR3クラスのライバル・マシン達と較べて、明らかに遅い。すでにマシンの設計は古くなっているし、規定内で他のマシンより排気量が200cc小さくて、パワーも軽く50ps以上劣ってる。1kmあたり1秒遅い、と言われてる。いかに“ジャイアント・キラー”のアバルトといえど、勝ち目は薄い。
 
 
それでもローマ市内の歴史的建造物、労働文明宮で行われたSS1、スタジアム形式のスーパーSSでは、全日本チャンピオン経験者としての引き出しを開けまくり、ライバルから1本とって観客席を大いに湧かせたりもした。
 
その眞貝選手が、この13日の日曜日に“あいち健康の森公園”で開催される『あいちトリコローレ』にゲストとして登場してくれて、実は僕・嶋田と皆さんの前でトークをしてくれることになっている。これはもう聞かない手はないでしょー。
 
そんなわけなので、皆さんもぜひ遊びにきてちょーだいましっ。……あ。次回のTipoのインサイド・レポート、これもまた必読だよー。めちゃめちゃドラマティックな展開を、眞貝選手と漆戸選手が見せてくれたから。
 
あれやこれや、お楽しみにねー。
 
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まずは写真を見ていただくのがいいんじゃないかな? と思う。
 
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いわずと知れた、ランチア・ストラトスである。ノーマルの姿の異形といえる美しさもいいけど、ラリーで勝つために生まれてきたマシンだけに、やっぱり僕はリトラクタブル・ヘッドランプ以外にもズラリとランプ類が並べられたこの姿が一番好き。
 
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年代や参戦ラリーによって多少の違いはあるようだけど、ストラトスのライトポッド付きを正面から見ると、こんな感じ。
 
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ストラトスと較べれば活躍期間は短かったけど、同じくランチアのラリー037も“美しいラリー・マシン”の筆頭といえる1台。よく知られてるのは4連のライトポッドが堂々と備わってる顔だけど、僕は1982年辺りの初期の頃の、この少し控えめな表情が好きだったりする。
 
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これが有名な方の顔ね。記憶に間違いがなければ、参戦2年目からは補助灯ありの場合にはこのライトポッドに変わってるはず。
 
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ランチア黄金期の最後を飾るデルタ。他のイベントでは「いかにも!」なライトポッドが付くのだけど、確かアニマル・バーが必要となるサファリ・ラリー用マシンにだけはちょっと小振りのものが付くのだよね。しかもこれ、角形ランプで、このミス・マッチ感がまたちょっとビミョーにカッコよかったりする。手元に資料がないからナニだけど、これって1991年だけだったっけ……?
 
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補助灯といえば忘れちゃならないのが、アルピーヌA110。バンパーのところに付くフォグランプが左右とも外側を向いてるのは、ナイト・ステージでもドリフト前提……だから?
 
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A110がルノーのラリーでの歴史を語る上での主役なのは間違いないけど、サンク・アルピーヌとサンク・ターボも忘れちゃいけない英雄。サンク・アルピーヌもサンク・ターボの初期の頃のマシンも、仲良くシビエのランプが4つ、こんなふうにマウントされてたわけだけど……。
 
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サンク・ターボのマキシの時代になると、この顔面埋め込み型。サンクの小粋な感じは消えてなくなっちゃってるけど、ド迫力だよねぇ。
 
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ラリー・カーとして忘れちゃならないミニ・クーパー。この“33EJB”はかの有名な1964年モンテカルロ・ラリー優勝車だけど、補助灯、何と頭の上にまで取り付けられてたりする。もともと灯火類が明るい時代じゃなかったから、ナイト・ステージ、怖かったんだろうねぇ……。
 
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こっちはナロー・ポルシェの1965年モンテカルロ・ラリー出場車。フロント・フードとバンパーの下に追加されてるだけじゃなくて、やっぱりルーフにも備わってる。そういう時代だったのだねぇ。
 
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後年になると911にもちゃんとしたライトポッドがマウントされるようになるわけで、これは1981年のサンレモ・ラリーでワルター・ロールのドライブで最後まで優勝争いを繰り広げた911SC……をポルシェ・ミュージアムがレストアしたヒストリック・ラリー用マシン。もちろんヒストリック・ラリーも、ドライバーはロールさん。ポルシェ911って、意外やライトポッドが似合うのだよねぇ。ロールさんのファンとしてはチョー悶絶モノな1台。
 
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もっと光を! と念じたくなるのは、何もラリーに限ったことじゃない。ル・マンをはじめとする24時間耐久レースも、もちろんそう。ちなみにこれは雨上がりのル・マン、サルテ・サーキットの情景。真っ暗でランプの光が路面に反射してるよね。この先頭のノーズの真ん中からビームを発してるマシンは何かというと……。
 
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アストンマーティンのヴァンテージ。アストンのアイコンともいうべきフロント・グリルの奥に、2つの補助灯をマウントしている。近頃のGTマシンではノーズ埋め込み型が主流なのだけど、明るいときには市販モデルと表情をほぼ同じくするアストンのやり方は、過剰感をよしとしない“らしさ”に溢れていて、とても好ましく感じられる。
 
──というわけで、補助灯マシンの写真を並べてるわりには補助灯のブランドの解説があるわけでもマシンの詳細に触れてるわけでもない、どっちかといえばチャラいことばっかり書いていて、あんたはいったい何がいいたいのだ? とお思いの方もおられることだろう。いや、僕がいいたいことは、ただひとつ。
 
ちゃんとヘッドランプつけて走ってくれよぉ……。
 
そりゃ夜になって暗くなったらスイッチをオンにするのだろうけど、そういうことじゃなくて、最低限、台風の影響でドシャ降りだったりゴリラ芸雨だったりで視界がものすごーく悪化してる状況の中を走るのだったら、真っ昼間でもランプのスイッチは躊躇わずに入れてくれってば。
 
先日、台風の影響でバケツの底というより風呂の底でも抜けたかのような雨に見舞われた、仄暗い夕方の東京都目黒区のはずれでのこと。スモールランプすら点けてないクルマが直進してきてることに気づかず、スモールランプすら点けてないクルマが脇道からノタノタと出てきて、クルマ同士の接触はギリギリでまぬがれたものの、出てきたクルマを避けた直進車両が電信柱にボコッ! とバンパーをぶつけるという軽めの事故があった。
 
で、その電信柱の陰に、僕がいたというわけだ。傘が役立たずでグショ濡れになりながら歩いてて、何となーく道路の流れを見る癖がついてるおかげで「あれ? やばいかなぁ……」と、念のために電信柱の陰に待避してたのだ。電信柱がなかったら、ハネられてたかも知れない。
 
ふたりのオヤジは濡れネズミになりながら「あんたが悪い」と互いに罵り合ってたけど、僕にいわせればどっちもどっち。あのコンディションでランプを点けてない時点で、同じ穴のオヤジ、だ。歩いてたのが動きのゆっくりなお年寄りだとか恐れを知らないお子ちゃまだったら、大変なことになってたかも知れないんだぞコノヤロー、である。
 
視界不良で見えにくいなら見えにくいなりの運転をするべきだし、自分が見えにくかったら相手だって見えにくいわけで、ならばせめて自分を周囲に認識させる手段をとるべき。仮に雨降りじゃなくても、街が暗くなってきたと感じたら、遠慮なしにランプを点けるべき。……でしょ?
 
というか、近頃はデイライトが備わってるクルマも増えてるけど、もーさぁ、そういうのに関わらず常時点灯でいいじゃん。明るい真っ昼間だって、周りにランプをつけてるクルマがいれば判りやすいでしょ? 立場を変えれば、自分がランプをつけてれば他車に「俺はここにいるぞー!」ってのを判ってもらいやすい、ってことでしょ? 自分では絶対にクラッシュなんかしないって決めてたって、他車から突っ込まれるのを避けるのはなかなか難しい、でしょ? だったら突っ込まれる可能性を少しでも減らすため、ちゃんと自己主張をしておく方がいいに決まってる。
 
スイッチを入れるだけでそれが可能になるランプ類っていうのは、立派な“アクティヴ・セーフティ”装置のひとつ、なのだ。
 
スウェーデンでは、確か1970年代の終わり頃には、常時点灯が義務づけられてたはず。その他の北欧諸国やカナダなども、義務化されたのは早かった。僕は10年ちょっと前だったと思うけど、イタリアを走ってるときに周りのクルマのほとんどがランプを点けてるのを見て、日本に帰ってきてからも真似してる。24時間365日、常時点灯である。最初はカッコつけみたいなところも、なきにしもあらずだったかも知れないけど。
 
ともあれ、ヘッドランプは暗いところを照らすためだけのものじゃなく、この先まだまだ続く自分の未来をも照らすものなのだ。
 
……え? 補助灯? ライトポッド? いやぁ……それはねぇ、ただ単にカッコイイよなぁと思って。だって、こんな説教じみた話だけ聞かされたって、おもしろくないでしょ? サービスですサービス。ふはははは (^o^)
 


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witten by 嶋田智之
世界中
うんうんする
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隣のオヤジがジープを買って、そろそろ1年が経つ。
 
住んで10年が経ったマンションに隣接するオヤジの家の駐車場には、僕が引っ越してきたときにはすでに中古だった某日本メーカーのミニバンが収まっていて、途中からもうちょっと新しい中古のミニバンに替わったのだけど、どちらのときも滅多にクルマが出動することはなく、洗車されることもなく埃をかぶり、玄関横にくり抜かれるように設けられてるその空間の中は、いつ見てもショボくれた感じだった。
 
出掛けや帰り際にときどきバッタリ会う隣のオヤジも、ショボくれた感じだった。いや、ルックスがどうとか、そういう話じゃない。挨拶をしても目を合わすことなく下を向いてボソボソと言葉のようなモノをこぼすだけ、雰囲気にもパリッとしたところはどこにもなく、笑顔というものを見たことがない。お子ちゃまと一緒にいても関心があるのかないのか、お子ちゃまの言葉にもあまり機嫌がいいとは思えないような受け答えをする感じ。そんなだからお子ちゃまの方も見事に元気がなく、オヤジ同様に疲れ切ってるのか諦め切ってるのか、ちょっと陰性な匂いのするショボくれた小学生といった印象だった。
 
だから隣のオヤジの駐車場に、黒いジープ・ラングラーが停められてるのを発見したとき、僕は腰が抜けるほどビックリしたのだった。だって、隣のオヤジとラングラーのイメージが、あまりにも結びつかなかったから……。
 
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だが、驚くのは早かった。あれから1年が経とうとしてる今、僕はあれやこれやを思い出して、しみじみと驚いている。
 
まず、オヤジは笑うようになった。あんた笑い方を知ってたの? という感じで最初のうちはちょっと不気味だったが、笑顔を浮かべるのを見掛けるようになった。スーパーマーケットの売り場に並んでるサカナのような印象は、全くしなくなった。
 
駐車場が空になることが多くなった。きっとミニバンだった頃と違って、オヤジはクルマに乗って出ることが好きになったのだ。
 
オヤジがクルマを洗ってるところも、比較的しばしば目撃するようになった。おそらく2週間に1回とかのペースで洗ってる。バケツとホースで、ていねいに手洗いしてる。いったいどこを走ってきたのか、ときどき泥だらけになった車体を洗ってることもある。
 
そうしたときのオヤジは別人かと思うくらいにニコやかで、楽しそうで、ちょっとばかり快活だ。こっちが挨拶をする前にハリのある声が飛んできて、面食らったこともある。
 
オヤジがそんなだから、お子ちゃまもどこかの家の子と交換したのかと思うくらい明るくなった。オヤジにホイールの洗い方を教わりながら、キャッキャッと声をあげて笑ってる。家族で出掛けて帰ってきたときなんて、助手席から降りたかと思ったら特徴的なフェンダーをポンポンと叩き、ヤケに誇らしげな表情でクルマを見つめてた。
 
オヤジがお洒落になった。ヨレヨレのジャージで外に出てくることがなくなった。というか、オヤジ一家全員がお洒落になった感じで、週末にはアウトドアっぽい雰囲気の服に身を包んで総出でどこかに行ったりしてる。オヤジ以上に陰が薄かった奥さんも、意外やかわいらしい雰囲気のママだったことが判るくらいに明るい振る舞いだ。そういえば家の中から笑い声が外に聞こえてくるようにもなっている。
 
同じ隣のオヤジ一家とは、とても思えない。まるで宇宙人に家族全員が乗っ取られて別人格になるSF映画みたいな、ホントに驚くべき変わりようなのだ。しかもそれは、全てここ1年以内のお話。隣のオヤジがジープを買ってからの変化なのである。
 
クルマには、そういうチカラが、間違いなくあるのだ。人の心を変え、表情を変え、暮らしを変え、生き方を変え、人生そのものを素晴らしい方向へと導いてくれるチカラが、間違いなくあるのだ。
 
クルマのメディアに関わる人間として、僕はそうしたクルマの持つ幸福なチカラを、もっとちゃんと伝えていかなきゃいけないのだな、とあらためて思った。数値化できない領域だし“心のカタチ”というのはとても伝えるのが難しいものだし、受け手としても基準や指標がない分だけ理解しにくいものなのかも知れないけれど、それを押してでも僕達は伝える努力を惜しんではいけないのだな、と思う。
 
今回は、基本はあんぽんたんではあるけれどときとしてマジメにモノを考えることもある、という証として──。
 
そんなわけなので、今度の日曜日に愛知県のモリコロパークで開催される『ミラフィオーリ』のトークでは、その反動でマジメじゃない方向に弾けます。竹岡 圭ちゃんをミチヅレにして。
 
皆さん、覚悟しといてくださいねー。っていうか、遊びに来てくれないとダメですよー。
 
◎イベントの概要はこっちこっち。 → http://goo.gl/2xtkxf
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嶋田智之【tomoyuki.shimada】
エンスー自動車雑誌『Tipo』の編集長やスーパーカー専門誌『ROSSO』の総編集長を務めた後、フリーランスとして独立。「クルマ」と「ヒト」を仕事の柱として、モノ書き/編集者として活躍中。カーくるではお馴染みのイベント「ミラフィオーリ」「トリコローレ」などでゲストMCを務め、親しみのあるざっくばらんな語り口調の「居酒屋系自動車トーク」が人気。
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