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ホントだったら連載コラムの中で自分の別の連載コラムを紹介するのはほとんど御法度、禁じ手みたいなものなんだけど、“カーくる”の皆さんが「せっかくだから紹介しましょうよー」とススメてくれたので、素直にお言葉に甘えさせていたくことにして……。

御存知の方もいらっしゃるだろうけど、『カエルナラ イタリア』というイタリア車&イタ車用パーツ&グッズ&イタリア系なら実は何でもオッケの、個人売買アプリ&サイトがある。その中で月イチ連載のコラムをオープンさせていただくことになり、5月からスタートしているのだった。

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『カエルナラ イタリア』の、光栄なことにトップページに常にバナーで表示していただいているコラムのタイトルは、『人生はペペロンチーノ』。表向きは「人生、ちょっとぐらいスパイシーな風味がある方が楽しいでしょ」という意味合いで……ということにしてあるのだけど、ぶっちゃけホントは「俺の人生、何だかピリリと辛いことばっかじゃん……」というのが裏事情。まぁダブル・ミーニングみたいなものだ。

ここでは基本、イタ車とイタリアにまつわる心に映るよしなしごとを徒然なるままに書き散らかしていくことになる……というか既に書き散らかしはじめてるので、どうか皆さん、暇を持て余しちゃってどうしょうもないときなんぞに、ぜひぜひ御覧になってくだしゃんせ。

◎最新コラムをパソコン/スマホの WEB から見るならココ!

……で終わっちゃうと中身のないカレーパンを皆さんに突きつけてるような気がしないでもないので、『カエルナラ イタリア』についても少々。

今でこそコラムの仕事をいただいておつきあいさせていただいているけれど、実のところ僕は、この『カエルナラ イタリア』の存在を知って初めてアクセスしてみたときから、ひとりの単なる登録ユーザーだった。メディアに関わる仕事をしてることもあって、勝手に誌面やSNSなどで個人的に応援させていただいてもいた。というより、楽しくチェックさせていただいていた、というのが正しいか。

クルマ好きなら誰だって、中古車を探したりするときに個人売買のネットオークションとかをチェックしてるでしょう? 買う・買わないは別にして、見てるだけでも楽しいわけだし。しかもここはイタリア車、イタリア車関連のパーツやグッズ、まだ出品されてるのを見たことはないけど、オートバイや自転車などのイタリア製の乗り物や、実はイタリア関係であれば大抵のモノが OK という、イタ車好き、イタリア好きに特化したアプリ&サイトなのだ。

例えばクルマはこんな感じのモノが出品されている。

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オークションじゃないので、クルマの金額は表示されてるとおり。意外にリーズナブルで、ちょっとチェックしてみたい気分になるでしょ?

ならばパーツやグッズの方はどうかといえば、こんな感じ。

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「これホントはもっと高いよな」「これがこの値段?」「珍しいモノみっけ」な気分である。

こうした個人売買のツールって、売る側にとってはお店への売却や下取り額より大抵の場合は高く売ることができ、買う側にとっては逆にお買い得価格で手に入れられるっていうのがほぼ常識になってるわけだけど、そのうえ『カエルナラ イタリア』は、会員登録こそ必要だけど登録に関しても利用料金についても無料。出品料も手数料も全くかからない。損は何ひとつない、というのがいい。

専用のスマホ用アプリが用意されてて、アクセスすると常にニュースが更新されてたり、「チンクエチェント10万円!」とか「レア物グッズ出品キャンペーン」とか、常に何かしらオモシロイ企画が展開されてたりして、アクセスするのが楽しい。しかも運営してるのは古くからクルマ業界で活動してるちゃんとした会社のグループで、買ったクルマの登録関連や修理、運搬、買ったパーツの取りつけその他をそちらに有料ではあるけど代行してもらうこともできる。

そもそもが手放したい人と欲しい人のニーズがドンピシャなわけだし、せっかくこういう仕組みを作ってくれてるところがあるのだから、皆でそれに乗っかって皆で楽しんで皆で育てていくっていうのが正解でしょ? 多くの人が積極的に登録してバンバン売ったり買ったりを楽しんだりするようになると、これはもっともっと使い勝手がよく、便利で楽しい方向に進んでいくはず。

そんなふうに最初の段階で考えたから応援したい気持ちになったわけだし、今も同じように考えてるわけだ。

そんなこともあるので、どうせなら僕のコラムも、スマホに『カエルナラ イタリア』のアプリを落とし込んでそっちから見ていただけると、もっと嬉しい。出品されてるクルマやパーツ、グッズ類の方に飛んで、そっちも見ていただけるとさらに嬉しい。その次のステップとして、ためらいなしに利用してもらえるようになったら、もっともっと嬉しい。

◎アプリはココから手に入れてちょーだいまし!

実はすでにコラムの方では予告をしちゃってるのだけど、僕はこの『カエルナラ イタリア』を通じてクルマを買って、『カエルナラ イタリア』を通じてパーツも手に入れて、ちょっと遊んでみようと思ってる。コラムの中でその辺りもレポートしていけたらいいな、なんてことも考えてたりして。

せっかくの楽しい仕組み。これを活かすも殺すもイタ車好きである僕達次第。クルマ遊びの幅を広げるのも狭めるのも自分達次第、なのだ。だからこそ、上手くコトが運んでくれるといいな、と思ってる。

だってさぁ、ここが上手くいったら“カエルナラ フランス”とか“カエルナラ イギリス”なんてのも、もしかしたら生まれてくるかも知れないでしょ?

それにしても、そのうちこんなのが出品されるようになったりしたら、最高! さすがにこれはないか……。

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一度気に入ってしまうと何かのハズミでもっと気に入るモノに出逢わない限りはそればっか……という習性が、僕にはある。だから牛丼といえばヨシギューに決まってるし、中華そば食べたいと思ったら世田谷の “ふくもり” に行こうと考えるし、コーヒー豆はタンザニア、それもうちの近所にある “DUN AROMA” が焼く深煎りで、デニムといえば児島の “ハイロック” ってな具合。

そして靴はどうかというと、『ネグローニ(negroni)』のドライビングシューズばかりである。コンバースのハイカットとローカット1足ずつ、レッドウイングのブーツ1足、スーツ系に合わせる革靴2足、ビーサン3足……以外は、すべてネグローニだったりする。

今ではもうだいぶメジャーな存在になってるから御存知の方も少なくないと思うけど、ネグローニは日本が誇るドライビングシューズ専門メーカーである。僕はここの作るドライビングシューズがものすごーく気に入ってるのだ。なぜならば、まず第一にペダル操作が抜群にやりやすい。それこそ名前を聞けば「マジ?」とモータースポーツ好きの誰でも一発で判っちゃうぐらいのレーシングドライバー達やモータージャーナリスト達、自動車メーカーの開発者といったドライビングのプロにも愛用者が多いという事実から、その辺りは察していただくことができるかも知れない。

それに、普段履きをしていて疲れない。ドライビングシューズといえば海外ブランドのモノが今も主流ではあるのだが、それらは甲高幅広の多くの日本人の足には合いにくいし、それ以前に“歩く”“立ち続ける”ということを前提にしていないものも多い。でも、ネグローニの作るモノはそれらとは大きく異なっていて、日本人の足形に合わせてカタが作られ、ていねいにハンドメイドされている。だから履きやすくて歩きやすく、イコール、疲れない。

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加えて、使われている革もとても上質で、デザイン性もかなり高い。ネグローニではレザースニーカー、スリップオン、タッセルスリップオン、モンクストラップ、チャッカブーツなど、様々なタイプが用意されている。もう少し突っ込んだ話をするなら、それら定番ラインナップのほか、それぞれのタイプをベースにしてレザーの種類やカラーの組み合わせ、ステッチの糸の色、ヒモ、カシメといったディテールなどを自分の好みで仕上げてもらえるオーダーシステムもある。全てではないけれど、僕の持ってるネグローニも大抵はディテールを好みに合わせて変更してもらった “自分スペシャル” だったりする。例えば、写真のブラウンの方はお宝の中のお宝で、素材そのものが今ではほとんど手に入らないというウルトラ最上級のバッファロー革で作られている。赤い方は本来ならカカトの部分がカーボンレザーになるところを同色のバックスキンに変更してもらってる。クルマのドライビングが大好きな人間としての、ちょっとした贅沢だ。靴底が磨り減ったりしたらレストアも受け付けてもらえるから、長く使えるしね。

つい先日、僕はひさしぶりにネグローニのファクトリーに遊びに行ってきた。クルマ好きの靴製造メーカーの当主として「日本人に合った高品質なドライビングシューズを作りたい」とネグローニ・ブランドを作り上げて2014年のまさにその日に亡くなった先代の、奥様にして現社長。その跡継ぎにして現在のネグローニを牽引する息子くん。アットホームなスタッフさん達。彼ら彼女達といろんな話ができて、とっても楽しい時間を過ごすことができた……んだけどね……。

話をしながらふとオフィスを兼ねたショールームの展示物を見渡してるときに……ん? 何だコレ!?

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このタイプ、サイドの編み込みの部分って白黒のチェッカードフラッグ模様がデフォルトで、そこが同色になってるモノなんて、これまでなかったじゃん!

しかもっ!

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近頃、真っ白なシューズが気持ちの中でのマイブームになってる僕にとって、マジでビリビリ来るようなカラーのものまでできちゃってるし!

……あれ?

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こんなカタチをしたドレッシーなヤツ、あったっけ? しかも色味がめちゃめちゃ綺麗じゃん!

……ちょっと待った!

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ネグローニはスニーカー・タイプでもだいぶオトナなテイストでそこがよかったりするわけなんだけど、ここまでオトナを極めたようなデザインのヤツ、初めて見たぞ!

……ん?

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これってカタチはこれまでのスリッポンと同じに見えるけど、素材、全然違ってるでしょ。革、めちゃめちゃクオリティ高いじゃん。しかも色味は全部、やっぱり絶妙に綺麗だし……。

いったい何なんだよー。新製品のオンパレートじゃん! 見たことないヤツばっかじゃん!

……お? このシンプルなデザインのは何ぞね? 女の子好みな感じだけど……?

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と思ったら、これは某シンプル系フランス車にインスパイアされたレディスのラインで、しかも現時点ではリリースするかどうか決まってないプロトタイプ。これ、売ったらいいのに。どっちにしてもハンドメイドなんだし、ここまでデザインも仕上がってるなら、その気になればいつだって作れちゃうでしょ? 彼女がいるならプレゼントしたい靴だよなー。

……とまぁ、そんな感じに話も楽しい目も楽しい時間を過ごさせてもらい、次にお願いしたいブツも心の中でソッと決めて、とてもいい1日だった。長くおつきあいさせていただいてるからっていうこともあるけど、ここんちは皆さんホントにいい人達なのだよね。これからもずっとおつきあいさせていただきたいって感じてるのは当たり前のこと。

でも、ここの人がことが好きっていうのと、ここのドライビングシューズを使い続けたいと考える理由っていうのは、これは申し訳ないんだけど別のお話。ここんちのドライビングシューズのペダル操作のしやすさは、僕にとってはそれまで使っていた幾つかのブランドのモノをあっさり忘れさせ、のめり込ませるだけのモノを持っていて、それは今後も続いていくだろうな、と確信しているからなのだ。クルマの運転を生業にしている身として、ここはコダワリを持ちたいところ……というか執着してしまうところだ。

僕はこれまで雑誌のコラムだとかイベントのトークだとかで、ドライビングシューズについてこんなふうに説明してきた。

例えば仮に600psのクルマを走らせるとする。そして、そのクルマのスロットルペダルの踏み込みの深さが10cm、つまり100mmであると仮定する。そしたら、600ps÷100mm=6ps/mm、っていう計算が成り立つでしょ? どういうことかといえば、スロットルペダルの深さ1mmに対してエンジンのパワーは6psということだから、ペダルを1mm踏み込むと6ps、2mm踏み込むと12ps、3mm踏み込むと18ps、5mm踏み込んだら30psで10mmなら60psだ。

そしてタイヤが持ってる能力の限界ギリギリで踏ん張りながらコーナーを曲がっているとして、もしスロットルペダルをパコッと5mm踏んじゃったらどうなるだろう。……予想できるでしょ? そう、一気に30psが余分にかかったことでタイヤは一気にグリップ能力の限界を超えてズルッと滑り、はいサヨーナラ、なんてことになりかねないってわけだ。

まぁ実際にはエンジンのパワーの出方って全ての回転域で均等ってわけでもないし、クルマによってその特性も様々だし、スロットルペダルの踏み込みの深さだってもちろん様々だし、そのときに選んでいるギアがひとつ高いか低いかでも全然違うわけだから、この計算にはそれほど大きな意味あるわけでもない。ないんだけれど、でも、ここには間違いなく真実が潜んでるのだ。スロットルペダルを踏み込み過ぎちゃうことによってパワーが余分に発散され、クルマがスピン→クラッシュに陥ること、少なからずあるのである。しかもエンジンのパワーが大きくなればなるほど、本来的にはクルマの反応はシビアになっていく傾向があると考えていい。

昔、フェラーリF40にスピン→クラッシュが続出したことは“魔性のクルマ” としての伝説を彩る紛れもない事実なのだけど、そのスピンの理由はここにあるし、現代のスーパーカー達の素晴らしくよくできた電子デバイスを OFF にしてスピン→クラッシュへと陥ってしまう人がいる理由もここにある。ペダル操作の正確性については、いくら意識してもし過ぎということはないのである。

そうなると、ペダル操作を行うためのシューズというものの存在が重要になってくる。底が厚くて固いアウトドア用ブーツだとか滑りやすい革靴だとか、たまに見掛ける女性のハイヒールだとかでは、いくらデリケートな力の入れ加減を試みたとしても、それはペダルになかなか正確には伝わらない。多くの人が好むスニーカーもまずまずだとは思うけど、やはりペダル操作というものを考え抜いて作られているドライビングシューズに敵うものはない。サッカーをするときにスニーカーよりも専用スパイクの方がいい、っていうのと何ひとつ変わらないわけだ。それに正確なだけじゃなくて、正確に操作できることの気持ちよさがものすごく大きな充足感に繋がるっていうのも、僕がドライビングシューズを常日頃から履いてることの理由のひとつだ。

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そんなわけなので、僕としてはどうしてもお気に入りのネグローニをオススメしちゃうのだけど、とはいえ、どこででも買えるものじゃないのは確か。最も手っ取り早くて最も柔軟な対応をしてもらえるのは、ネグローニのファクトリー兼ショールームに足を運んじゃうことだ。そこでは全てのラインナップを見ることもフィッティングしてみることもできるし、カスタムメイドの相談にものってもらえる。素材や構造などについて説明を受けながら、実際にハンドメイドでていねいに作られてる現場を覗くこともできる。パーキングスペースだって確保されている。遠方にお住まいの方で東京への出張などのときに立ち寄りフィッティングだけして、後から WEB の通販で購入する方というのも意外と多いそうな。

日曜日がお休みだったり、スタッフが不在の日があったりするし、あるいは東京以外のイベントに出店することも少なくなくてそっちで手にとったりフィッティングしたりできるチャンスもあるから、とにかくまずは電話してあれこれ訊ねてみてちょーだいまし。気持ちよーく対応してくださるのは間違いないから。

◎ネグローニ・リバーサイド・ファクトリー
東京都荒川区南千住8-5-9 はなみずき通り北弐番館102号
tel.03-3801-4745

◎ネグローニ・オフィシャル・ウェブサイト
 
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1990年代に空前のアウトドア・ブームっていうのがあった。バブルがパーン! と弾けて、それまでの豪華なホテルでシャンパン抜いてフレンチに舌鼓を打ってみたいな脂っこい絵空事のような遊び方へのアンチテーゼのようにして、週末になると街を脱出することを決め込む人が加速度的に増えていった。ルアーやフライのフィッシング、カヌーやカヤックでの水上クルージング、テントを張って焚き火を囲んでウヰスキー、なんて具合。他にもあれこれあった気がするけど、それほどコストをかけなくてもたっぷりと週末を遊べるとあって、“野遊び” がグッと市民権を得たのだった。……僕はめんどくさがりだったから手を染めなかったけど。
 
その後しばらくして徐々に下火になっちゃった感じがあって、でも今、再びブームが静かに燃えてるみたいだ。ケータイ&スマホやインターネットの世界が加速度的に発展したことによるインドア・カルチャーが蔓延し、外に出ないのが当たり前っていう風潮まで生まれちゃってたけど、きっとそれに対するアンチテーゼみたいなもんなんだろうな、と思う。一昨年あたりからそっち方面のキーワードをあちこちで耳にするようになって、去年は気づくと知人がわりと頻繁に週末キャンプへ出掛けたり彼らからお誘いがあったりで、今もめんどくさがりなのは変わらないからバーベキューだけ参加させてもらったりはしたけど、まぁそんなふうに門外漢にもそこはかとなく実感できるほどには流行ってる。
 
そういえば古巣の“Tipo”でも──まぁいつもながら編集スタッフが遊びたいって言うのが第一なんだろうけど──何度か“エンスー車でキャンプ”ってな感じの記事を展開してきたし、ちょうど今、本屋さんに並んでる号でもキャンピングカーの小特集をやってたりする。
 
まぁ……気持ちは解るのだよね。日常にそれほど不満があるわけでもないけど、僕にだってときどきパーッ! と外に飛び出したいときっていうのはある。“ここじゃないどこか” に行きたくなるのだよね。できればその場にいるだけで気持ちが丸く穏やかーになっていくような景色の中で、ごはん食べて酒を飲んでスカッと眠ったりできたらいいなー、なんて。
 
でも、繰り返すようだけど、僕はホントにめんどくさがり。たぶん全日本めんどくさがり選手権とかがあったら、確実に上位にランキングされるほどのダメ人間だ。目的地まで延々と走るのは全然オッケというか望むところぐらいの気持ちはあるし、テーブルやイスを出したりとか簡単な料理──我ながらいつも壮絶に不味いと思う──を作ったりとかはいいにしても、複雑なテントを張ったりするぐらいならクルマの中で身体を折りたたんで眠る方がいいや、ってなぐらい……。
 
それでも気持ちのいい風景の中で美味い酒を飲んだり眠ったり……みたいなことは将来的にしてみたいのだよねぇ……なんて思ってるのは確か。
 
そんなタイミングで、このクルマの存在を知っちゃったのだ。
 
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ルノー・カングー。
 
そう、カングーなんだけどね。
 
間違いなくカングーなんだけど……。
 
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ほら、こんなふうに頭が持ち上がる。そう、これはルノー・カングーをベースにしたキャンピングカーだ。名前はポップアップ・ルーフにちなんで『カングー・ポップ』。ホワイトハウスのキャンピングカー事業部が手掛ける、かなりグッと来るスモール・キャンパーだ。
 
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カングー・ポップの最大の特徴はもちろんそのポップアップ・ルーフで、ルーフが閉じてるときにはカングーのスタイルを全く壊してないくせに、ガバッ! と開くと天井に1800mm×1020mmのベッドルームができちゃうこと。個人的にはヤローと並んで横になるのは謹んで御遠慮申し上げたいところだけど、大人ふたりが並んで眠ることはできそう。
 
でも、それだけがカングー・ポップの偉いところってわけじゃなかった。
 
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このポコッと置いてあるだけだと「何だコレ……?」としか思えないもの……。
 
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専用設計と思しきそれを、こんなふうにラゲッジ・ルームにピタリと収めると、車室内がいきなり本格的キャンピングカーに変身しちゃう。これは“マルチリビングベッド”と呼ばれる仕組み。
 
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オレンジ色のマットの下で折りたたまれていたフレームを、倒した後席のシートバックの方に伸ばして……。
 
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さらに広げて……。
 
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その上にオレンジ色のマットを敷けば、ここにも快適なベッドルームができ上がっちゃうってわけ。その気になれば4人でキャンプができちゃうのだね。
 
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で、セッティングを変えれば、こんなふうにリビングとしても使えちゃう。大人4人に対してものすごーくルーミーだとはいえないスペースだとは思うけど、キャンプみたいなときは、ちょっとした狭さってちょっとした楽しさに繋がったりもするからねー。
 
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しかもこのマルチリビングベッド、もうひとつ仕掛けがあって、リアのゲートを開けるとスライド式のギャレーを使うこともできちゃう。簡単な煮炊きや水仕事もできるっていうのは、いいよねー。工夫次第ではもっともっと可能性を広げることができそうだし……。
 
普段は乗り味やわらかくて小回りも効くアシとして使い、週末には魔法のマルチリビングベッドを積み込んで、彼女とふたりで宿もないような特別な風景の中にエスケープ? 家族揃って大自然に近い場所でお手軽キャンプ? 使い方、さまざま。
 
僕なんてひとり者だし、クルマであっちまで走ってひと仕事したらそのまま全く別方向の違う場所に移動だとか、あるいは同じエリアに2日続けて行くだとか、そういうことも結構あるわけで、これ1台あればわざわざ自宅に戻る必要のない移動オフィス兼ビジネスホテルとしても使えるよなー。というか、日帰り温泉とか銭湯とかを上手く利用して風呂の問題さえ解決できれば、もうほとんど住めるレベル?
 
……ってなことを考えてる時点で何だかちょっと失格のような気がしないでもないけど、でもね、このカングー・ポップ、仕様その他で異なるけれど、値段は293万3200円〜457万7200円なのだとか。思ってたよりも断然現実的でしょ? こうなっちゃうと、今すぐ欲しいわけでも必要なわけでもないけど、あちこちに向かって広がっちゃうのだよねー、妄想が。
 
やばいなぁ。いつもミラフィオーリとかトリコローレに出展されてるホワイトハウスさん、実車、イベントに持ってきてくれないかなぁ……見たいなぁ……。
 
あ、そうそう。まだカングー・ポップは掲載されてないみたいだけど、ホワイトハウスさんのキャンビングカー事業部のURLを最後に記しておくので、皆さんも思いきり妄想を広げてねー。
 
◎ホワイトハウス キャンピングカー事業部
 
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僕の家にはテレビがない。

貧しいから? いやいやいやいや、テレビぐらいその気になったら買えるってば。ちっちゃいヤツ。……だから、そーゆーわけじゃなくて、全くといっていいくらい見ないのだ。以前には僕の家にもちゃーんとテレビがあったのだけど(……ちっちゃいヤツね)、ある日いきなり、スイッチを入れないどころか2年もコンセントを差し込んでないままだったことに気がついて、友達にあげちゃった。以来、年末年始におふくろの家に疎開したときに見る“紅白歌合戦”と“箱根駅伝”だけが、数少ない僕のレギュラー視聴番組となっている。

が、それでもやっぱりF1グランプリとMOTO GPだけは観戦したいわけだ。だけど、それにもテレビが必要になったりはしない。どちらもWEB経由で生放送やオンデマンド放送を楽しむことができちゃうからだ。むしろパソコンだけじゃなくてiPadやiPhoneなどのタブレット端末やスマホでも観戦できちゃうから、出張が多い僕にはかなり都合がいい。ホテルの部屋でWi-Fiの電波を拾えればしめたもの、だ。

MOTO GPについては、MOTO GPのオフィシャルサイトで年間を通して視聴できる“VIDEOPASS”に加入してる。年間料金がいくらだったか覚えてないが、1ヶ月あたり1000円台だったはずで、それでライヴ中継どころか1992年以降のレースなど40000本オーバーのアーカイヴ映像が全て見られるのだから、ちっとも高くないと思う。

F1グランプリはどうかといえば、以前はフジテレビNEXT smartというのを喜んで利用してたのだけど、シーズン開幕直前まで引っ張るだけ引っ張って月額料金を徴収しておきながら、ある日いきなりWEBだけでの有料配信はヤメるからまずは“スカパー!”だとか“J:COM”だとかに加入してナンチャラ……という継続視聴者を平然とコケにするようなことをしてくれたので、バカバカしくなって速攻で解約した。僕がフジテレビ系列の有料放送に加入することは、金輪際ないだろうと思う。

で、今はどうしてるのかといえば、2016年の夏頃からスタートした“DAZN”というヤツに加入している。「ダズン」でも「ダズーン」でもなく、なんでそうなるのかは解らないが、「ダ・ゾーン」と読むらしい。

これは月額1750円+税のスポーツ専門のライヴ&オンデマンド放送で、サッカー、バレーボール、ラグビー、バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケー、格闘技、ダーツ、野球、テニス、ゴルフ、水泳、キックボクシング、フィッシング、馬術、バトミントン、スカッシュ、馬車競技、卓球、ビリヤード、そしてモータースポーツを視聴することができる。サッカー好きの人は知ってるかも知れないけれど、何やら2017年からはJリーグの中継を独占配信するらしい。

当然ながら僕はF1グランプリの予選や決勝を生中継で観戦したり、ナマの時間帯に見られないときには見逃し配信で楽しんだりするために加入したわけだが、このDAZN、実はGP2やGP3、ポルシェ・スーパー・カップ、それにオーストラリア・スーパーカー・チャンピオンシップといった「ウソでしょ?」なコンテンツも、実は持っていたのだ。バイクの方も、スタジアム形式のAMAスーパークロス選手権やスピードウェイ世界選手権など、めちゃめちゃマニアックだ。

実はここ数ヶ月、このDAZNのモータースポーツ・コンテンツの中で、もしかしたらF1グランプリより楽しんじゃってるかもしれないモノがある。

FIA世界ラリークロス選手権、である。

ラリークロス、御存知だろうか? 簡単にいってしまえば、ターマック(舗装路)とグラベル(未舗装路)が混在するショート・サーキットを使って行われる、超スプリント・レースだ。日本ではあまり知られていなかったが、1970年代からヨーロッパを中心に開催されているそれなりの歴史を持つ競技で、2014年からはFIAによる世界タイトルのかかったトップ・カテゴリーへと格上げされている。

もうちょっと詳しく説明すると、コースは1周1kmから1.5km程度。予選は最大5台がレース形式で同時に走るタイムアタックで、周回数は4周。Q1は任意で出走が決められるけれど、Q2からQ4までは前の走行のタイム順でそれぞれ走行グループが決まり、遅いグループからタイムアタック・レースが行われる。で、参加者のそれぞれにはQ1からQ4まで速さの順に応じた規定のポイントが与えられ、Q4終了後のポイントの合算で上位12台がセミ・ファイナルに進出できる。またこの時点で16位まで規定に応じたチャンピオンシップ・ポイントが与えられる。

セミ・ファイナルに出場する12台のマシンは予選順で6台ずつの偶数チームと奇数チームに分けられ、今度はタイムではなく6周の超スプリント・レースでゴールした順位で勝負を争う。そして、それぞれのグループ上位の3台ずつが同じく6周で行われるファイナル・レースに出場できる、というわけだ。もちろんセミ・ファイナルでもファイナルでも、規定に応じたチャンピオンシップ・ポイントが与えられ、その合算でシリーズ・チャンピオンが決まる。

こんなふうにウダウダ書くと「ワケ解らん!」かも知れないけれど、まぁちょっと複雑な感じのトーナメント戦で勝者が決まる、というぐらいに思ってもらえればいいんじゃないかと思う。

で、オモシロイのはコースに関するルールだ。“1周1kmから1.5km程度のターマックとグラベルが混在するショート・サーキット”と記したけれど、コースには仕掛けがある。途中から枝分かれして遠回りもしくは近回りするためのルートが用意されるのだ。選手達はその区間を、各レースごとに必ず1回通過しなければならない。これは“ジョーカー・ラップ”と呼ばれていて、ジョーカーを経由することで遠回りの場合には何秒間かタイムロスするわけだが、通過しなければ+30秒のペナルティを喰らわされる。勝負権を失うも同然、なのである。

それをいったい何周目に、どのタイミングで消化するのか。ダンゴ状態から抜け出して前方がクリアな状態で走るために早めに消化を決めるか、後ろを引き離してから余裕で通過するか。戦略は無数にあって、ここが勝負を決める鍵になることも少なくない。

肝心のマシンはというと、最高峰の“スーパーカー”クラスは1.3tの車重に600ps、4WD化もOKで、0-100km/hは2秒たらず。プジョー208やDS3、フォード・フィエスタ、アウディS1、VWポロといった街中で見掛けるクルマ達をいかつくしたようにしか見えないけれど、中身は事実上のワークスが威信をかけて作り上げたモンスターである。

しかも、だ。

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スーパーカー・クラスのドライバーの顔ぶれが凄い! さすがは世界タイトルがかかってるだけある。世界ラリー選手権のチャンピオン経験者、ペター・ソルベルグやセバスチャン・ローブ、DTMのチャンピオン経験者、マティアス・エクストロームやティモ・シャイダー、それにジムカーナ&ラリーを経て世界中がドリフト・コントロールとエンターテインメント性でナンバー1と認めるケン・ブロックといった他のカテゴリーの一流どころと、ティミー・ハンセンやアンドレアス・バックラッド、トーマス・ヘイッキネンといった若い頃からラリークロスでウデを磨いてきた名手達のバトル。 

 

だから!


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フツーのサーキット・レースでは3ワイドだって驚きなのに、こんなふうな5ワイドなんて当たり前。
 

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コーナーの侵入ではテール・トゥ・ノーズなんて生易しいもんじゃなくて、ほとんど全車カタマリ状態。

 

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この次の瞬間にどうなるかは想像どおりで、もちろん接触上等。
 

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ジョーカーその他でクルマがバラけてきても、ドリフトしながらコンコンと接触し合ったり。

 

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前のクルマがドリフトで進路を塞げば後ろのクルマはドリフトしながらライン取りを変えて抜こうとしたり。

 

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単独走行になればタイムを削るためのこんなふうな名人芸を見ることができたり。


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たまにはこんな状態になっちゃうこともあったりして。

 
こりゃもうホント、レーシングカーを使って行われる総合格闘技みたいなもの。ルールを知らないまま見てても、思い切り興奮できちゃうと思う。……解ればなおさら楽しいけどね。

そんなわけで、もちろん他のモータースポーツもめちゃめちゃ楽しいのだけど、2017年は絶対にっ! 世界ラリークロス選手権に注目することをオススメしておきたい。

シーズンの開幕はもうちょっと先で、暫定だけど4月1-2日のバルセロナ戦から。11月までの間に全12戦でチャンピオンシップが争われる。

おそらく引き続き“DAZN”で放映されることになるだろうから、個人的には(F1もGP2も見られるわけでもあるし)有料会員になって予選からファイナルまで楽しむのがいいと思う。
 

◎DAZN
https://www.dazn.com/ja-JP/home

まぁその前に映像を見てどんなものかチェックしたいという人も多いだろうから、世界ラリークロス選手権のオフィシャル・サイトやFacebookページをクリックしまくって御覧いただくといいだろう。

◎FIA世界ラリークロス選手権オフィシャル・サイト
http://www.fiaworldrallycross.com

◎FIA世界ラリークロス選手権オフィシャルFacebookページ
https://www.facebook.com/fiaworldrallycross/?pnref=story

ってなわけで、2017年もあまり役には立たないような気もするコラムをスーパー・マイペースでポロリポロリとやっていくつもりなので、どうか呆れ果てたりしないでオツキアイのほどを。 

皆さんにとって新年が素晴らしいものになっていきますように……。

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9月23日から25日にかけて行われた、ローマ・ラリーの取材に行ってきた。mCrtことムゼオ・チンクエチェント・レーシング・チームと眞貝知志選手の初めての海外ラリーへの挑戦をベッタリくっついて追うことで、彼らが生み出すドラマを余すことなく伝えること、そして蚊帳の外からじゃなく内側から見つめてレポートすることで、ラリーというちょっとばかり解りにくいところもあるスポーツをクルマ好きの皆さんにもっと知っていただけるようにすること。
 
メディアでのレポートは、まずは僕の古巣でもある“Tipo”の10月6日発売の11月号、Tipo編集部が作った10月30日発売のムック本、“FIAT & ABARTH MAGAZINE”、それからアバルトのライフスタイル系公式WEBマガジンである“SCORPION MAGAZINE”(http://www.abarth.jp/scorpion/scorpion-plus/6554)に速報というカタチですでに掲載されているので(だけど書いてることは皆ちょっとずつ違ってるよー)、もしかしたら御覧になった方もいらっしゃるかも知れない。
 
けれど、今回の取材の大本命といえるのは、同じくTipoに3ヶ月続きの短期集中連載となるインサイド・レポート。それが11月5日発売の12月号からスタートした。ちょうどいいタイミングなので、スペースに限りのある雑誌の誌面では伝えきれなかったこと、しかもココをもうちょっと知っておくとインサイド・レポートがよりリアルに感じられることを、補足的にお伝えしようかな、と思う。
 
それは何かというと……、
 
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道、である。
 
ローマ・ラリーはイタリアのナショナル選手権の第6戦にあたる競技で、確かにローマを拠点に行われるのだが、実際のSS(=スペシャル・ステージ/速く走れば速く走るほど偉い全開タイム・アタック区間)のコースのほとんどが、ローマ近郊40〜100kmほどのところにある山岳地帯に設けられている。その山岳地帯の村と村を繋ぐ生活道路みたいなところを閉鎖して、タイム・アタックが行われるわけだ。
 
ちなみに上の写真はローマから40km少々のところに設けられた市内に最も近いSSの、それもまだ全然頂上に達してない途中から下界を撮ったモノ。中央から向かって左下の2本の線みたいなのはコースの下の方の部分である。このSSを一気に駆け上ってくる。
 
その道ってのが、なかなかのクセモノだったのだ。フツーの速度でフツーに走ってるとどうってことないっちゃーどうってことないのだけど、速度域が上がって攻め込んで走ろうと思うと、途端に違った表情を見せるのである。
 
そもそも大前提として、これはまぁイタリアだけに限ったことじゃないのだけど、道の構造が日本とは想像以上に違う。例えば高速道路の出口。日本だったら本線から出て料金所のブースへ向かうような場面だ。そういうところでは大抵の場合、道幅は広くとられているし、曲がり具合もわりとなだらかに設計されていたりするものだけど、そういう配慮はあんまりない。というか、本線から外れたらいきなり道幅が絞り込まれて狭くなったり奥に行くに従ってコーナーがギュッとキツくなってたりするのも珍しくない。一事が万事そんな感じで、つまりどういうことかといえば、道路の設計がそれほど安全に配慮したものではないってこと。
 
いや、そういう表現は正しくないか。日本の道路の設計が、世界的に見てもトップ・クラスといえるくらい安全に配慮したものになっている、というのが正しいだろう。僕も仕事柄あっちの道を走ることが少なくないのだけど、フツーに走ってて「うあ、ここ危ねえなぁ……」とか「うひゃー、飛ばしてなくてよかったー」と感じられること多々、なのである。
 
それは単純に道の曲がり方だとか幅の大小の変化の問題。それに加えて、あっちの道は日本と較べてかなり路面のμ(=ミュー/摩擦係数)が低い。というか、これまた“日本の路面のμが高い”と表現するのが正しいだろう。つまりあっちの路面は日本と較べて基本的にタイヤのグリップが低い、滑りやすいと考えてもらっていい。その上、これだ。
 
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これはちょうど下界を見下ろす写真を撮ったコーナーなのだけど、写真の右奥の方から駆け上がってきてコーナーを抜けて左の奥の方に向かっていくまでの間で、舗装の種類が3あるのが判るだろう。つまりμが3種類で、そのたびにタイヤのグリップの仕方が変わる。晴れた日にフツーのスピードで走ってる分にはどうってことないけど、雨の日で路面がウエットだったり、あるいは速度域を上げて攻めて走ったりすると、だいぶ走りにくい。というか、たぶん結構怖い。
 
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しかも、だ。もちろんスムーズなところもあるのだけど、多くは古くから使われ続けてる生活道路がベース。荒れている箇所が多い。この写真のクルマの右側の路面を見ていただきたいのだけど、凹凸が幾つもあることが判ると思う。ここはまだどちらかといえば穏やかな方で、こうした凹凸、大きなうねり、小さなうねり、あるいはそれらの複合技(?)が絶え間なく続く道も少なくなくて、そういうところではレンタカーでフツーに走っていても上下とか斜めとかに揺さぶられて、思わず速度を落とす。勢いよく走っていこうとすると、跳んだり跳ねたりする。それは低速で曲がるコーナーだけに限ったことじゃなく、おそらく120km/hとか130km/hとかで抜けていかないと勝負にならないような高速コーナーでも一緒だったりするのだ。
 
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そのうえ、だ。この写真は地形の関係でずっと登ってるように見えるかも知れないけど、実はちょうど一番曲がってるところ辺りがボトムで、そこから先は登り、その手前までは下り。写真を撮っておけばよかったと後悔してるけど、実はここに至る直前の道は、競技中は軽く100km/hオーバーだろうと思われる高速のS字が続いてて、路面には大小のうねりが散りばめられている。
 
つまり競技車両は跳んだり跳ねたりしながらとんでもない勢いで下りのS字を抜けてきて、視界が開けたと思ったらいきなり路面のボトムで、そこを超えてサスペンションが伸びようとしてるところで逆バンク気味の激しい左ターン……だ。膝丈ぐらいの石を積み重ねたガードの向こうはいきなり崖。速度を落としきれずにまっすぐ突き進んだらそのまま綺麗さっぱり崖から落ちる、という仕組みである。
 
そんなところが山ほどある。先が見えない登り道があって、登り切ったと思ったら次の瞬間には直角にターンしてたりするようなところだって、ちっとも珍しくない。道路というものの作り方というか、道路に関する考え方みたいなものが、根本的に日本とは違ってるのだ。全てがそうだとは言わないが、日本では極力そうした危険な作りになることを避けようとしながら道路を敷いていくのが常識となっていて、海外から帰ってきて日本の道を走るたびに“ああ、やっぱ日本の道は走りやすいなぁ……”と感じたりする。
 
もちろん世界の中でも断トツ級にスムーズな日本の道にも競技で走るには固有の難しさがあるのだろうとは思うけど、少なくとも僕はあっちの山道を全開で攻めて走ってみたいとは思わない。“楽しい”よりも“恐ろしい”が先に立つぐらい戸惑うし、めちゃめちゃリスキーに感じられるからだ。
 
全日本戦では頂点級のところにいる眞貝選手とパートナーであるコドライバーの漆戸あゆみ選手も、あっちでのラリーは初めてだったわけだから、そうしたちょっと踏み込んでみないと実感として解らない路面環境には、同じように戸惑ったことだろう。それが今回のローマ・ラリーでの彼らの戦いに大きな影響を及ぼしたのだと僕は思う。
 
そんなことを意識しながら、できれば今ちょうど書店に並んでいるTipoを手にとって、インサイド・レポートのページを読んでみていただけたら嬉しい。
 
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競技当日には封鎖されてさすがにこんなふうに出てきたりはしないだろうけど、コーナーを抜けたらランボルギーニが道端にいたり、
 
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フェラーリが道を塞いでたりして、驚かされたりもした。本番のときに姿を現さないにしても、路面には彼らの糞が落ちてたりすることもあって、それを踏んでズルリと滑ってスピン→クラッシュ、なんてことだって考えられないわけじゃない。何と恐ろしいコースなことか。
 
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SSのコースを登り詰めていくと、道の両脇にこんな光景が広がっていたりする。ハイジはどこにいるんだ? ペーターはどこだ? いや、なんちゅーか……もうほとんど「ローマって言うな!」って感じである。
 
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これは競技本番の2日前、レッキ(下見走行)の途中の眞貝選手と漆戸選手。ふたりの表情にゆとりは感じられない。……そりゃそうだろう、と思う。プロだからこそ、いかに困難な局面に自分達が向かっているのかということを、実感として悟ったのである。
 
 
これは本番初日、SS4(4番目のスペシャル・ステージ)をスタートするときの、mCrtのアバルト500ラリーR3T。同じR3クラスのライバル・マシン達と較べて、明らかに遅い。すでにマシンの設計は古くなっているし、規定内で他のマシンより排気量が200cc小さくて、パワーも軽く50ps以上劣ってる。1kmあたり1秒遅い、と言われてる。いかに“ジャイアント・キラー”のアバルトといえど、勝ち目は薄い。
 
 
それでもローマ市内の歴史的建造物、労働文明宮で行われたSS1、スタジアム形式のスーパーSSでは、全日本チャンピオン経験者としての引き出しを開けまくり、ライバルから1本とって観客席を大いに湧かせたりもした。
 
その眞貝選手が、この13日の日曜日に“あいち健康の森公園”で開催される『あいちトリコローレ』にゲストとして登場してくれて、実は僕・嶋田と皆さんの前でトークをしてくれることになっている。これはもう聞かない手はないでしょー。
 
そんなわけなので、皆さんもぜひ遊びにきてちょーだいましっ。……あ。次回のTipoのインサイド・レポート、これもまた必読だよー。めちゃめちゃドラマティックな展開を、眞貝選手と漆戸選手が見せてくれたから。
 
あれやこれや、お楽しみにねー。
 
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