昨年11月から4ヶ月に及んだ406CoupeのAT修理に関する報告です。
4ヶ月ぶりにCoupe帰還
*経 緯
①11月17日
シフトアップ時にギクシャク感が発生。(新車から13年目・走行距離94,000Km)
②11月18日
自宅を出て10m程でエンスト、再始動と同時にATから異音(大きい)が発生。
レッカーでO自動車へ搬出・OH開始。(上記ギクシャクから10km程で!)
③12月26日
修理完了との事で引取りに・・・・・。
異音の原因はコンバーターシャフトのメタルの焼付きで、中古のコンバーターに交換したとのこと。
引取ろうとしたところ、アイドリングでカタカタという異音に気付く。
『昨日までは出ていなかった・・・・もう一度調べる』とのことで、仕方なく電車で帰ることに。
④ 2月11日
修理完了との事で再度引取りに・・・・・。
『カタカタ音の原因は不明、焼付いたメタルの破片がバルブボディー内で悪さをしていた可能性があり、
バルブボディーを《良い中古品》に交換しました』 とのこと。
ここから不信感が高まった・・・バルブボディーもOHで分解しているのに言っていることがおかしい。
更に次の一言が完全な不信に変わった
『このCoupeは3速へのシフトアップが早いですね・・・まあ個体差もありますからね』 と仰るので
「速度信号で変速は決まるので個体差はありません! 早かったというのは壊れる前の状態!」と言うと
『まあ暫く乗って様子を見てくださいよ』
仕方なく《良い中古品》とやらのバルブボディーの費用4万円を含め合計54万(レッカー費用7万含む)
を支払い帰路につく。
工場を出てすぐに気付いた変速マナーの悪さ!3速に早く入るというよりもギクシャクしながら入る。
すぐに首都高だったのでそのまま走ることに・・・・ロックアップの状態は異常無し。
一般道に出たらまたギクシャク・・・・ついにATフォルト。(ここまでの走行60Km)
電源をリセットし、一度はATフォルトをリセットできたがすぐに再発。
O自動車に連絡するも午後から翌々日までお休み!自分でレッカーを手配しまたもや電車で帰る破目に。
⑤ 2月14日
O自動車にOHの内容について以下の質問をした。
a.御社のOHの定義を教えてほしい。特に消耗部品に関して
b.メタルの破片がバルブボディー内で・・・と言われたが、バルブボディーもOHした筈ではないか?
c.OHは洗浄だけではなくチェックボール等も交換するのではないのか?
バルブボディーOHキット(1万円程)は使っていないのか?
d.《良い中古品》のバルブボディーは、述べ35万Km走った4HP20の経験からすると最悪で、壊れる前の
今回のCoupeの症状と同じだが、OHした中古品なのか?
以上の問いに関する回答は『洗浄だけ・・・わからないのでメカニックに聞いて連絡します』とのこと。
しかし連絡がこない!
⑥ 2月16日
連絡が無いのでこちらから連絡すると『メカニックから連絡させる』とのことで10分後に連絡が入った。
a.洗浄がメインで不具合部品があれば材料屋から仕入れる。
b.バルブボディーは洗浄のみで消耗品は交換していない。
OHキットは(存在することを)知らない。
c.カタカタ音は品番違いのバルブボディーを仮につけたら収まったので、4HP20の中古を探した。
やはり《良い中古品》とやらは、本当の意味で中古でした。
「私のバルブボディーをOHキットを使って組みなおしてください」と伝え電話を切った。
その後窓口に電話して「OHキットがわからなければ私が取寄せる」と伝えた。
夕方 メールでOHキットを確認できたので発注した旨の連絡があった。
⑦ 3月10日
3度目の引取りに・・・異音無し・変速マナー良し・ロックアップも良し! というかこれが壊れる
前の状態だったと再認識した。
《良い中古品》のバルボディー代金 4万円も返却いただいた。
*ま と め
Coupeと新車から12年の間、大した故障もなく幸せな日々を過してきましたが、今回のトラブルは
単純に機械が壊れたではなく、心が壊されそうになったトラブルでした。
以下に私なりの考察というか想いを記します。
A.ギクシャク感の原因
これはもう誰が何と言おうと バルブボックスの問題だと考えます。
永年の使用でスラッジの堆積や内部部品の劣化が原因ですが、ちゃんとしたOHで改善できると思います。
これが バルブボディーOHキット(取外したものですが、やはり何となく劣化しています)
B.メタル焼付きの原因
神様の仕業(運)! 本来メタルベアリングは油膜の保持ができていれば焼付かないのですが・・・
想像ですがギクシャクした時に、せん断方向に大きな応力がかかったのかもしれません。
4HP20の場合、大きな異音が出たらこのメタルの損傷だと考えてよいと思います。
C.O自動車について
直ったので良しとしますが、正直なところ期待が大きすぎて現実とのギャップに驚きました。
今回の事があって私はZFのマニュアルをGoogle和訳を酷使し200ページ程の内容を理解しましたが
ユーザー側もしっかりお勉強しなければいけないという教訓をえました。
何の躊躇もなく交換されているオイルポンプですが、ZFのマニュアルによると
[車両の寿命を通して交換しないように設計されている]と記されています。
考えてみればギヤポンプですから歯と歯の間はATFがいっぱい詰まって摩耗は少ないんのでしょう。
私の場合はメタルが焼付き、オイルポンプ側のメタル保持部が傷がついたから?かもしれませんが、
再利用できたかもしれません。
*全国の4HP20搭載車のオーナー様へ
シフトアップ時にギクシャクを感じたら早めにOHをされると良いと思います。
予算があればフルOHですが、走行距離もまだそれ程ならバルブボディーのみのOHで良いのでは
と思います。新品のバルブボディーは37万円程しますから、OHという選択が賢明かと思います。
バルブボディーを専門にOHをされている所もあるので、参考にされると良いと思います。
PS
余談ですが、ミッションやバルブボディーはOHで綺麗になりますが、コンバーターはOHできません。
コンバーターの側面は溶接で閉じられており、内部のタービンやロックアップ用のライニングの交換が
できないのです。
本格的にOHする場合はこの溶接部分を旋盤で切り開け、OH後に溶接でまた塞ぐのですが、最近は
この仕事を請け負ってくれるところが減ってしまったようです。
私のコンバータもメタル焼付きで中古品に替わってしまったのですが、きっと《良い中古品》だろう
と中を想像しないようにしています。