ヤフオクで見つけた916の中期型、左ハンドルのMT、電動オープン。
魅力的とは思いつつ、出品者は東京足立区、落札したら5日以内に取りに行く必要あり、登録抹消車なので自分で車検をとらないといけない、そして電動オープン幌が不調で手動オープン車であること。
様々なハードルがありました。
とはいえ、同程度のSpiderで販売店がつけるプライスタグより全然安いこと、そしてこの左のMTというグレードが稀有であることで、とりあえずは入札に参加してみたところ、他に応札する人もなく、あっさり落札。
さて困ったぞと。
取りに行くにもどうしたらよいか分からない。
ネットで調べてみると、車検切れの車を走らせるには仮ナンバーを自治体から借りていかねばならないとのこと。
急遽、落札翌日に自治体に行き、仮ナンバーをもらい、その足で新幹線で東京足立区までSpiderを引き取りに行きました。
対面したSpiderに感動している暇もなく、支払いを済ませ、仮ナンバーを装着し、自走で帰途につきます。
現状渡しですので車がどのような状態かも分からず、非常に神経ピリピリしながらのドライブ。
しかも、高速道路走行中、エンジンチェックランプが点灯。 帰ってきて
タイヤガーデン岐南さんでオイル交換をしたところ、やばいくらいにオイルが入っていなかったようでした。オイル交換したらチェックランプは消え、まずはホッとしました。その際に分かったことですが、ボンネットを開けるワイヤーが伸びきっていて、まずボンネットが一人では開かないこと、ボンネットダンパーも逝ってまして、棒で支えないとボンネットが開かないということでした。
しかし仮ナンバーを借りている数日の間に自走で車検まで取らねばなりません。
翌日には陸運局へ赴き、車検を受けます。
とはいえ、車検など自分で受けたこともないので、陸運局の人に聞きながらの書類作成をするのですが、これがまた書類の種類が多く、手間取りました。挙句、車検のラインに並ぶには原則予約が必要とのことで、この日は受けられないかと焦りましたが、何とかお願いして受けさせてもらいました。
とそこでまた気が付いたことに、そう言えば全く整備らしいことをしていないので、果たして車検に通るものなのかという不安が出てきました。
しかしすでに車検待ちの列に並んでしまったわけで、今更引き返すわけにも行きません。
天に運を任せ、車検を受けます。
まずはライトの点灯、方向指示器などが作動するかどうかをチェックされます。これはクリア。後日談ですが、車検を受けた翌日、ライトの球切れで点かなくなりました。
次にボンネットを開けてエンジンの形式番号を確認します。
あ、ボンネット開かないんだったと気が付いて焦りましたが、ボンネットのオープンワイヤーを引くのと同時に試験官にボンネットをグッと開けてもらったらなんとか開きました。
ボンネットを開けたらエンジン形式番号を見ますが、エンジンルームも黒く煤けていて、ちっとも形式番号が確認できません。何せ並行輸入車であることは間違いないので、ここもかなり焦りましたが、この試験官、たまたまですが昔916に乗っていたとのことで、形式番号を刻印してあるところがだいたい見当がつくそうでしたので、そこのあたりの煤をマイナスドライバーで削って発見してくれました。
てなわけで挙げだすとキリがありませんが、数々の奇跡のおかげで何とか車検をパスしました。
今思えば、良く通ったものだと感心します。笑
そんなわけで、車のナンバーを取得したわけですが、今思えば希望ナンバーにしておけば良かったなと。そんな精神的な余裕は無かったのですが。
ナンバーを取り、自走できるようにはなったのですが、これまでの過程において、やはり一度登録抹消している期間があるせいか、様々な部分に劣化が見えることで、これはきちんとした整備を行わないと安心して乗れないなという結論に達しました。
916の整備、しかもかなり面倒な修繕などもあることが容易に想像できましたので、正規ディーラーよりもプロのショップさんに診てもらうのが一番良いと感じていましたが、カーくるがお付き合いがあるのが基本的に正規ディーラーさんばかりでしたので、どこにしたものかと考えて思いついたのが、以前カーくるびわ湖グラツィエサンデーのイベントでお世話になった
滋賀のアルファロメオ専門店ベネフィットさんです。
愛知県のプロショップさんでイタフラの整備をしているお店は確かにいくつか知ってはいましたが、とりわけこちらの代表の岡部さんの人柄の良さが僕は好きで、電話でこのSpiderの面倒な状況を相談したところ、即答で引き受けてくれると回答をいただいたので、車検の翌日にはお預けしました。
これが2014年の11月のお話しで、そこから数か月に亘る修繕の始まりでもありました。
旧車にお乗りの方から見たらこの言葉は相応しくないかもしれませんが、普通の、ちょっと車が好きな人の代表として、今回の一連のこの修繕の過程を、今の綺麗な状態までもっていってくれたすべての人へのリスペクトを込めて「レストア」と呼ばせてもらおうと思っています。
今後数回に分けて、このSpiderの復活レポートをお届けしたいと思っております。