蒲田で逃走犯の人相,車の所有者を確認した忍込は,捕まえられるか失尾した方が安全か判断が微妙だったが,思い切って追尾を打ち切って良かったと思った。あの手の逃走犯は,通常の交通違反や,意識希薄で内張りはがしやカッターナイフを持ち歩く銃刀法違反とは違い,特殊な犯罪者は強引で無茶苦茶な逃走をする事がしばしばと言っては控えめすぎる程横行しており,地域警ら,交通安全の観点から,追尾は早めに打ち切る方がよい事がある。忍込は21世紀に来て,若者らはアメリカの執行活動を知り,日本の警察はあまちょろいと言うが,忍込はキャリア制度の無いアメリカも特有の課題は山積して居ると考えて居た。
それに,日本の警察は追尾は打ち切って市民から頼り無く思われたとしても,大袈裟では無く世界一くらいの検挙率は日本の警察の評価が外国の同業者から高い理由だ。追尾打ち切りも,検挙が可能な場合は市民の安全,地域の治安維持の観点から早めに打ち切る様にして居る。微妙で精神的に過酷な中で,確実ながらも冷静な追尾打ち切り判断は,今日の地域機動警らの中で,ある意味,職質の技術なのだった。