東北トリコローレ2012の開催前日 土曜日は栃木から庄内地方を目指してロングドライブ。
今回のイベントに合わせて 本当に久しぶりにこのエリアに来れることを密かに楽しみにしていましたが
いそいそと向かった先は伝説の巨大魚 タキタロウの棲む 大鳥池。
以東岳の直下に位置する原生林に囲まれ四方から流れ込む沢水を湛えた水深68メートルの高山湖。
90年代中頃に 釣果確率が高まる頃を見計らって東北道を経由し山形道と国道112号をひた走り
登山道の泡滝ダムに車を停め 目一杯の荷物を60Lのザックに詰めこんで息も絶え絶え登山道を進み
冷水沢から源太沢出会いを抜け最後のつづら折れを喘ぎながら登って大鳥小屋を目指したのも
もうだいぶ前の話になってしまいましたが 今回はその入り口にあたる朝日屋まで向かってみました。
どんどんと奥へと進んでいくにしたがって記憶の中に残っていた風景と現実の風景がマッチしていきます。
思っていたよりも昔とあまり変わらぬ景色は 時間が止まってしまったかのように残されていました。
そして終着点の大鳥登山口 佇まいは昔のままの朝日屋に到着。
以東岳から朝日岳を縦走する登山客を迎え容れる準備なのでしょうか?中から慌しそうな声が聞こえてきます。
そんな朝日屋の直ぐ傍にあるタキタロウ館で遅い昼食を摂ります。
前に入ったのは完成間もない頃だったので さすがに老朽化している現実の姿を見ると月日の流れを感じます。
なにはともあれ蕎麦をかっこんでお腹もやっと満たされたところで併設されている資料館へ。
身の丈3尺3寸とも5尺とも云われているタキタロウ。 産卵期の鮭の雄のように大きく突き出た下顎に重なる
上顎は裂けて三つ口状で兎の如き風貌を持ち合わせ その身は赤身で美味であるとも伝えられています。
これぞ伝説の巨大魚 タキタロウ!。。。の想像模型。
内部に展示されている貴重な資料を総合すると現実的に捕獲できているのは70cm程の巨大な魚。
でもこれがタキタロウなのかもよく解らないのですが。。。
この捕獲された個体を解析した専門家の結論からすると岩魚の種類に近くアメマス系のニッコウイワナや
オショロコマに近いエゾイワナとの判断が下されています。
確かに大鳥池には白点のあるアメマスタイプと朱点の混じるニッコウイワナっぽいタイプの
二種類の岩魚がいるのを過去の釣行時に現認しています。
いままでの数度の釣行で大鳥池で釣ることができたのは35cmオーバー位までの岩魚なので
ここに展示される70cmの巨大魚は岩魚釣りの常識から考えると信じ難いくらいのBIGサイズ。
この大鳥の東に位置する大岩魚釣りの聖域 八久和でも70cmというサイズは聞いたことがありません。
いずれにしてもこの個体の倍以上あるのがタキタロウだとすると その姿形から該当するのはイトウ位しか
頭に浮かんできませんが大鳥池は山間の閉ざされた水域。
降海できる条件下ならいざしらず陸封されているイトウがそこまでの大きさに達するにはあまりにも条件が
悪すぎるような気がします。
しかもその身は赤身であるとするならば降海型の鮭・鱒類のように甲殻類を採っていないと身は赤くならない
と思われるので 池に多く生息している赤腹のイモリでも常食しているのでしょうか。。。
かくして謎のベールに包まれたタキタロウは 今なお多くの釣り人の心をグッと掴んで放さない怪魚として
周りの下世話な喧騒を他所に湖底深くでひっそりと息を潜めているのでしょう。
それではっ!