懐かしい写真が出て来たのでPCの壁紙に、ルノーR21t メーカーが自らカタログでフレンチロケットを自称していたヴァンテアン ターボ ! 。15年前の写真です。当時すでに10年選手でしたから、オーナーズクラブで売ります見つけて30万円お腹に抱えて岐阜まで試乗&購入に夜行で行ったものでした。
当時の私のHPに書いていたのが以下のものです。
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2003.05.31 -------フレンチロケット-------
5月25日の「めいほうラテンミーティング」に行ってきました。フランス車よりもイタリア車のほうが多い印象です。ショップの出店はアルファ用品ばっかり。車がないので夜行列車の「ムーンライトながら」で岐阜の近くまで行って、そこで拾ってもらいました。実はその方が今回の車のオ−ナ−の方。アコードとワゴンRとフレンチロケット?を所有されています。実はこれからバルケッタに乗るそうで、今回オーナーズクラブで譲ってもいいよとのお話があり、渡りに船ととびつきました。
車は元祖フレンチロケット(メーカーカタログで自ら名乗った)のルノーR21ターボです。21はフランス読みでヴァンテアンです。既に生産は終了して、後継車種がラグナです。そのラグナもラグナ2に変わって最近日本にも正規輸入が始まってTV−CMを御覧になった方も多いのではないでしょうか。
御覧のような非常にボクシーなセダンです。ノーマルタイプは2.0Lのファミリーセダン、日本で言えばコロナとかブルーバードのような存在(横幅広いからマキシマの方が近いかな)。
しかしターボモデルは別物、オールアルミの2.0Lエンジンにターボがついて170HPなんですが、昔風のドッカンタ−ボと言われています。Ph3ではだいぶ大人しくなっていますが、それでもフレンチロケット健在です。ターボモデルはフロント、サイド、リヤにスカ−トは付くしトランクの上に標準でウイング付きです。子供の絵の自動車の様な形ですが以外と空気抵抗少なく高速で伸びると言われています。カタログの最高速度は227km/h、日本の自動車雑誌の試乗で230km/hを記録したとの逸話もあります。
そうは言っても91年型で93年初登録、既に118,000kmを走行しています。10年以上たったフランス車は配管、配線類が劣化してくるのは604やBXで経験済みです。めいほうラテンミーティングに同乗して多治見近くまで往復、それから試乗した感じでは、とても10年前11万キロ走行とは思えないグッドコンディション。その場でお金を渡して、鎌倉まで乗って帰ってきました。帰りの高速道路も快適に走ります。
前オ−ナ−の方がカ−用品ショップのオーナーであるために購入してから1年で相当手を加えてコンディションが改善されたみたいです。その前の最初のオ−ナ−の方も大事に(適度に走らせながら)乗っていたようで信じられないくらい安心状態です。中古車屋から購入したらとてもこんな素敵な状態の車は買えなかったでしょう。
実は車を譲ってもらった翌日にオーナーズクラブ推奨の整備工場に挨拶がてら行って、試乗してもらって、さらにエンジンルーム&下回りチェックしてもらいました。グッドコンディション&しばらく手を入れる必要無いそうです。パワステポンプからのオイルにじみも当座は手を入れる必要なしといわれました。試乗して加速もするし、まっすぐ走るし、ブレ−キ効くしと驚かれていましたが、他の車の状態がしのばれます。オーナーズクラブで推奨整備工場で存分に手が入っている車は大丈夫らしいですが、乗りっぱなしで10年経過だとマトモに走らない車になってしまうみたいです。
ボンネットはBMWのような逆アリゲータータイプ、これだけで嬉しくなったりします。エンジンル−ムとってもきれいです。こんなR21ターボは珍しいでしょう。タワーバーは苦労して装着されています。ストラットマウント周辺にスペースがないのでストラットタワ−前方に付いています。驚きなのはタイヤとエンジンの位置関係です。このオーバーハングではリヤ(フロント)エンジンのようです。車軸の前にエンジンとび出しています。縦置きFFだからミッションとデフの位置を考えるとしようがないとも言えますが... 。
サイドシルが異様に深いのが写真で分かるでしょうか? 。ドアのボディサイドへの重なり方も特徴的です。前席も後席も皮シートです、さらに足元まで広々なのが伝わりますでしょうか。
トランクは広大です。シトローエンのCXみたいなとてつもない奥行きです。さらに後席倒して全面トランクスルーになります。そんなことしなくてもゴルフバックが5個入りそうです。
ヘッドレスト面白いです、運転席と助手席で角度が違う分かるでしょうか、それぞれ自由に角度設定できます。
後席快適です。前席がスポーツシートでそれなりに固めのホールドのいい形状になっているの対して、後席はふっかりした革シートです。家庭の革ソファーよりもよっぽど快適です。自分で運転するよりもショーファードリブンが快適そうです。これって604以来です。
珍しいのは前席の取り付け方です。座席中央に2本並んだレールに乗っかっています。普通はこのレールの間隔がもっと広いものです。このおかげで後席の足元広々で、さらにつま先にも何も当たりません。(ただこれって後席床にモノを落とすとブレーキで運転席足元まで転がってきそうです。ブレ−キベダルの下にモノが挟まる事故が起きそうでちょっと不安、なにか対策を講じようと考えてます)。
最初に車に乗り込むとバカラ仕様(昔のルノーの本革仕様はこう呼ばれました)に嬉しくなります。ただ運転始めると、最初に驚くのはハンドルがメ−カー標準にしては小径なことです。力の入れ具合が普段の車と異なります。さらにハンドルが4cmほど体の中心から車体中心側にオフセットしていることに違和感を感じます。内側に向いているのではなく直進方向で偏芯しています。でもこれは慣れの問題で2日で馴染みます。(もっとも岐阜から鎌倉までの陸送には腕も指もつりました)。
車はパワーのある普通の車といった感じが第一印象です。インパネの雰囲気は80年代のルノー高級車そのものです(ミッテラン大統領が乗っていた25と雰囲気そっくりです)。
実際に運転するとさらに感動もの! 。乗り心地はフランス的なスポーツモデル。低速ではそれなりにごつごつしてしまうのは高速まで出るモデルのトレードオフ条件ですね。コーナリングは自然です、今までのルノー(トゥインゴとメガーヌカブリオレ)がアンダーが強かったの嘘みたいです。パワーがあるのでコ−ナ−出口に向かって加速しながら抜け出していきます。本格的なコーナリングテストはこれからじっくりと探っていきます。タイヤ(ステーションワゴン用タイヤのトランパス装着)の問題もありますし、じっくり限界を見極めていきます。
街乗りで1500〜2500rpm程度で軽くアクセルに足を乗せている状態だと普通の2.0Lモデルのようです。(ただし、ゆっくり発進は多少難しい)。しかし3000rpm超えるとブ−ストがかかり、猛烈な加速が始まります。4000rpmを超える頃から目が付いていきません。しかもこの時の路面が荒れていると腕力でハンドル押さえ付けないとどこに吹っ飛んでいくか分かりません。信号発進で全力加速したとたん隣の車線のフライングしているトラックの脇に突っ込みそうになりました。
また高速道路でシフトダウンしないで5速のまま全力加速に移ると、最初はブ−スト計の針が動きます。ブ−ストかかると今度はタコメ−ターの針が動きだし、3500rpmから猛烈な加速が始まります。スピードが上がっても加速は衰えること知りません。
実際にブ−スト計の針を見ているとアクセル開度にちょっと遅れて反応します。ターボなんだな〜と実感する(喜びとして)瞬間です。ペースが上がって3500rpm以上で走っている時にはターボのレスポンスは素早く、NAエンジンと大差ありません。パワーのないNAエンジンよりよほどレスポンスがいいと言えるでしょう。とにかく今までは追い越しが不可能だった短い直線とか登りでの追い越し加速の素晴らしさは全く別世界に突入したようです「ニュ−ワ−ルドにようこそ!」。
実際には2.0Lにブースト最大0.9barですから3800ccのエンジンを搭載した重量1,500kgの車に乗っているわけです。楽しいはずです。(注:その後カタログデータを調べるとラグナ2の3.0L-V6モデルがほぼ同じ性能&車重みたいですね、追い越し加速はどっちが速いのか? 。)
ブレーキ面白い程まともに効きます。ABSも丁度いいレベルで作動します。トゥインゴとメガーヌカブリオレを手放す最大の要因だったブレ−キ関係の特性が普通の車的なのは助かります。ただしフェロードのパッドは効きますが、ダストはいっぱい出ます。さらにブレ−キ音がけっこう鳴り響きます。最後の停止寸前の音は運転している本人は気になりませんが同乗者にはうるさい可能性が高いと思われます。これはゆっくりのブレ−キの時の引きずり音が一番大きいからなおさら難しい問題ですね。運転の仕方で対処するのも... 。
スポーツモデルだからかブレーキとクラッチのペダルアームが大きくコの字型断面をしています。当然剛性もバッチリです。強いブレーキングで(弾性的に)曲がるブレーキペダルアームが多い中、心理的に安心度合いがアップします。
サンル−フは動きませんが、サンシェードを開けると室内明るくなります。窓全開で走るととっても気持ちいいです。日傘をさしたカブリオレ気分です。
80年代ルノーは今程グロ−バリゼ−ションが進んでいなくて、随所にフランス臭が残っています。リヤクォーターピラ−に付いている室内ランプはスイッチがなくて横に捻ると灯るようになっています。ダッシュボードの各種スイッチもプッシュではなく首振りで操作したりします。
ただABSがありながら全くエアバックがないのはちょっと不安です。
オンボ−ドコンピュ−ターは搭載されています。平均燃費や平均速度、外気温が出るのは助かります。しかもトリップメーターは機械式が付いているのでなおさら便利。でも燃料系をデジタル表示で切り替えちゃうのはいかがなものか、さすがにこれは今のメガ−ヌなんかは機械式燃料計に戻ってます。
油温計(訂正→油圧計)が始動時に油残量計になるのは便利。水温&油温(訂正→油圧)とも走行中に頻繁に上下します。特に油温(訂正→油圧)は加減速の度に変わるくらいです。もっとも危険域には入らないので安心なのですが、タ−ボモデルの常としていつも油温(訂正→油圧)には注目です。(訂正です、油圧計でした、油圧が回転数で変動するのは当たり前、でも水温もけっこう変化します)
平均燃費は高速道路を流して12km/L程度、渋滞含みの街乗りで9km/L位です。回さなければ燃費は思ってた以上に良好です。当然ハイオク指定です。マフラーはノ−マルですがそれなりの音量みたい。しかもエンジン始動時にアクセルに全く触れなくてもインジェクションの設定で多めにガスを吸い込むためでしょうけど一旦2000rpmまで回転上がって始動して徐々に回転が落ちてきます。これが駐車場だとけっこううるさい。
トータルで考えると外観はシックな4ドアセダンしかも内装は本革のバカラ仕様で5人ちゃんと乗って旅行ができる車でありながら、羊の皮を被った狼どころかフレンチロケットと呼ばれるルノー・ヴァンテアンターボ、非常に好みの車に巡り会った感触です。これで新車があれば文句ないのですが... 。末永く付合っていきたいのですが、いつまで元気でいられることやら、メンテナンス費用が膨大にならないことを祈ってます。
追伸:色はNOIR NACREと呼ばれる黒、しかも前オーナーがエンブレムやらドアノブのメッキも黒塗装、さらにリヤはスモークシールド。確かにとっても熱くなるからスモークシールドは必需品っぽいです。でも、さっそくカラスと呼ばれています。しかもルノーを知らない人には旧々マーク2や旧アコードに間違われるのにエアロ+ウイングが付いているし左ハンドルでも逆輸入の族車みたいに思われる可能性大です。早く全塗装でタンポポ復帰したいものです。そうそうOPEN復帰は当分先になりそうです。
左ハンドルのマニュアルはトゥインゴで経験済みですが、R21ターボはけっこう難しそうです。ギヤ鳴りさせたり、エンストも経験してます。うまい運転ができるようになるのはいつのことやら(^^; 。
2003.10.18 -------加速中毒-------
加速中毒ってなんだろうと思うでしょうが、ドッカーンターボに乗っているとアクセラレートジャンキーになりつつあります。
加速が楽しいと思ったのは4輪(当時既にラリーしていたけど)ではなく2輪が最初でした。レーサーレプリカの最初だったスズキのRG250Γに乗った時の2速からの加速は全力加速をすると視界が一瞬喪失する程の加速感。2速で加速中は周りの風景が消えます。3速になると前方が見えてきます(^^) 。もちろん、加速は慣れの問題ですから次第に加速していても周りの状況は把握できるようになるのですが視野狭窄が起きているのは事実です。
4輪だと中学生に成りたての頃に乗せてもらったナローポルシェ(確か2.2Lのタルガトップ?)でシートに押し付けられるかのような加速を味わったのが最初かもしれません。
長らくフランス車に乗り続けていると加速という言葉すら忘れます。高速道路の上り坂でスロットを床にべた踏みしていてもみるみるスピードが落ちるのは当たり前。近所の上り坂など上がりきれるか不安になるほど。平地でも前進する時にはアクセルべた踏みが当然な世界が普通です。夏場の一番の加速はターボスイッチーと叫びながらエアコンを切ることだったりします。
加速だけでなく実際の最高スピードもプジョー604が180km程度、シトローエンBXが160KM程度、ルノートゥインゴが160km以下、メガーヌカブリオレが幌閉めて200km未満、幌開けて185km程度といった所です。つまりは絶望的にアンダーパワーということです。でも大きな車体に小さなエンジン、限られたパワーを振り絞って走り回るのがフランス車の粋というものです。
しかしながらヴァンテアンのターボ(R21t)は別物、有り余るパワーという訳ではないのですが、豊富なトルクでグィーンと加速していきます。春先の購入直後は1〜2速の加速で目が付いて行かないと感じていたものの、夏場には加速に慣れてきちゃったと思っていました。そうなるとアラも気になり出します。それが秋が始まり外気温が25℃を下回り始めたこの時期、加速が戻ってきました。またグーンと加速し始めるのです。
2段式のインタークーラーを装備しているにも関わらず、日本の猛暑に充填(圧縮)効率が落ちていたようで、秋の到来とともに加速感が戻ってきました。さすがに最初の頃にように目が付いて行かない事態は避け得ていますが、加速感に脳内麻薬が増えるのか快感指数が上昇中です。
意味もなく加速してしまっている自分に気がつきます。
さて加速による快感って実際には何なんでしょうね? 。体が感じるG(グラビティ)の変化もあるのでしょうけど、無重力(落下状態)や浮遊感覚が慣れると快感なのは重力井戸からの解放という意味で快感を感じるのは納得できそうです。しかしプラス方向でのG変化を快感と感じるのは本当はおかしいのでしょう。
もう一つは視覚の喪失や視野狭窄などのダウン系の症状が脳に快感を感じさせている可能性。これは麻薬の効果そのものでしょうからきっと楽しくても不思議ではありません。子どもが自分の首絞めて遊んだり、柔道の締め技で落とされる時に多幸感を感じるのと同次元でしょう。
逆にスピードアップの感覚器からの異常入力に脳が対応していることもあるのかもしれません、こっちは興奮系の麻薬効果に近いものがあるのかもしれません。
どちらにしろ加速中毒というのは脳内麻薬的な物理処方なのかもしれないなと思うこの頃です。
当然のことながら逆側の減速中毒もありそうです。ただ減速はなかなか爽快感(陶酔感)を感じないことが多いのも事実。一つにはブレーキングが目的の時ってパニックだったり、ぎりぎりまでコーナーに迫っていたりドキドキもので危機に直面している時が多いせいでしょう。高速道路などで目の前に障害物がない状態で最高速度からのブレーキングなどができれば陶酔しているのかもしれません。
またブレーキの強化はなかなか難しいこともあります、パッドから始まってローター、キャリパー、ホース、マスターシリンダーと交換していくことになるのでしょう。さらには最近はABSで勝手にリリースされてしますから最悪です。(タイヤは当然最初に強化)
もうひとつブレーキで陶酔感がない原因の一つはブレーキペダルを力を入れて踏んでいることもあるでしょう。加速がスロットルペダルに軽く足を乗せているのに対してブレーキはそれなりに力を入れていますし、シートに体を預けることのできる加速と違ってブレーキでは足、腰、腹筋、腕そして首にまで筋肉が緊張した状態で行われているので脳の陶酔感を感じる余裕がないのかもしれません。
では横方向のG、つまりコーナリングはどうでしょう。これもブレーキングと同様です。テストコースの定常円旋回でスロットル一定、カウンター一定で安定している時には陶酔する可能性もあります。でもあまり強いGがかかる程ではないでしょう。だとするとそれ程の陶酔感にはならないかも。
上下方向のG変化ではどうでしょうか? 。最近はあまりしなくなりましたが、ラリーしていた頃はジャンプは当たりまえ。飛び出す時に普通に走っている時とさほど変わりませんが落ちている時には無重力(それは大袈裟)になり浮遊感があるのは事実。慣れると楽しいのもありますが、実際には着地に備えて身構えてしまっています。だからあまり陶酔という感じではないです。もちろん何十mものジャンプすればまた別でしょう。
となると、やはり楽しいには加速ということになりそうです。フラットな路面でどこまでも邪魔されずに強烈な加速を味わえたらどれほど楽しいのでしょう? 。しかしロケットの発射の時の加速って快感につながっているとは思えなさそうです。つまりは速い車程度の軽い加速度がいいのでしょうね。