アウトレーヴさんでマトラ ムレーナ売りだしています。よかったら見てください。
一昨年の夏休みに来たマトラ ムレーナでした。来たときはひどかった、現状販売だったけど、ブレーキの効きが大甘で、4輪ともタイヤ銘柄がバラバラだし。その後に旧いクルマでは、お約束の冷却水パイプ割れでローダーに乗って。さらにリザーバータンクも割れたのを補修して使っていたので真鍮で作り変えてもらった。
なんとかFBMには間に合って完調で車山から上高地まで走り回ったものでした。35年前の車でも普通に足として使えるかと思っていたら、水温上昇でリザーバータンク作り直しとかもあって、最近はクラッチ切れなくなってマスターシリンダーのオーバーホールとかもありましたし、電磁燃料ポンプのご臨終で出先で帰れなくなったりも。
幸いにも秘密工場がマトラのパーツリストの部品を見てプジョーのパーツで使えるとか、ルノーのパーツと一緒だとか判断してくださるので、助かっています。さらにマトラ友の会のメンバーで自分で整備するのに予備パーツを持っている人がとりあえずパーツを貸してくださり、本来なら半年待ちとかなりそうなところを2〜3日で修理上がってくる(次回海外パーツ取り寄せ時に追加発注)。皆んなの協力で普段使い出来るようになってました。本当に感謝です。
マトラ購入しての最初FBMでマトラ友の会が結成されて、初めて4台のマトラが一緒に並んで話題になりました。その後もFTP他でマトラが集まる機会を何度も得られて、日本でのマトラ認知も上がった来ました。ムレーナだけでなく、M530もジェットも(最近はバゲーラ輸入された方も出て来ました)。
そしてマトラ友の会主催でランデブーフレンチレトロというイベント開催まで行えるようになりました。旧いフランス車の集まりが広がって来ています。
さてマトラ ムレーナですが正式名称はタルボマトラ ムレーナです。ムレーナはフランス語でウツボとか? 、なんでって思いますね。マトラシムカ バゲーラの後継機種で横並び3座ミッドシップというのは一緒ですね。バゲーラは4輪ともトーションバースプリングですが、ムレーナは2.2 エンジンを積むためにはリヤスプリングはコイルに変えられています。
オリジナルフレームにFRPボディとの珍しい形態ですね。リヤエンジンよりもリヤ荷重が重くて、タイヤショップでリフトで持ち上げて前輪外すとひっくり返りそうになります。乗り方はリヤエンジンのアルピーヌA610と一緒の感じですが、アルピーヌほどステアリングが鋭敏ではないけど、それでも普通の車よりはウルトラクイック。パワーはないけど車重が軽いので山道では60〜100km/h程度でもパワーかけていれば後輪を流してカウンターステア当てて立ち上がって行く感じで走れます。
流石に旧い車なのと204km/hの最高速度でちょうど6000rpmになる5速マニュアルミッションの設定ですから、高速道路の100km/h巡行は3000rpmというちょうどトルクの谷間でちょっといけてません、煩いし。で、結局にムレーナ乗りは80km/h 2500rpm程度で静かにゴロゴロ流すか、4000rpm以上に速度帯を上げてしまってかっとんで行くかになります。ツインキャブの2.2Sの方々は特にかっ飛ぶようです(^^; 。
フロントエンドが尖っていて薄いので現在の歩行者安全対策のデザインでは絶対にできないようなエクステリアなので貴重ですね。リトラクタブルライトも。
室内はシトロエンのような特殊な一本バーのステアリングです。アルピーヌよりは全高高めですが、それでも今時の車の横に並ぶと低い車ですから降りる時にはサイドシルに手をついて立ちがるようになります。
乗車姿勢はスポーツカーそのもので足を前に投げ出して乗るのですが、シートは80年代までのフランス車そのものでフカフカです。足回りもスポーツカーのギチギチではなくてフランス車のロールする足周りを固めた感じで、乗り心地はフランス車でハンドリングはピュアスポーツカーです。
運転しているとスポーツカーそのものですが、80年代初頭の車ですから。絶対性能はその程度です。ポルシェが空冷の930でSで最高速度が225km/h、フェラーリが308や512BBの時代ですね。
絶対性能はたしたことありませんが、乗っていて体感的に楽しいスポーツカーであることは事実。ただキャブレターなので、寒いときはチェークを引くし、スイッチ入れて燃料ポンプのコトコト鳴るのを聞いて、アクセルパタパタと加速ポンプを動かしてからエンジン始動の儀式的な部分も残っています。
当時の車としては横3座なので幅広だったけれども、現代からみれば普通のサイズで前後は極端に切り詰められていて、レイアウト的にはストラトスのようです。Aピラーの微妙に曲がっているデザインとかはフランス車的ですね。というかどこから見てもフランス的かも。
マトラってフランスの航空宇宙産業の会社というかミサイルメーカーです、ドゴール大統領から依頼でモータースポーツ進出。1969年にはジャッキー・スチュワートをF1チャンピオンに(エンジンはDFV)してますし、1972年73年74年の3年連続ルマン24時間優勝(このときはエンジンも自製V12)のコンストラクターです。製造技術に関しては当時のF1や耐久レースの参加者の水準を遥かに超えていたと言われています。性能は図面(設計)によりますが、図面指定通りの正確な工作精度で出来上がったり、当時のFRP技術の遥かに上をいく仕上がりと固さだったと。アルピーヌがA310までの頃とルノーV6T(GTA)からA610につながる時代のマトラからFRP製造技術が伝えられた以降では全く精度も剛性も違うと言われています。
フランスのモータースポーツを考えるとマトラとアルピーヌは決して忘れられないものです。