今年のJAIA(日本自動車輸入組合)の試乗会は、カーくる編集部としては過去最高にハードな試乗会となってしまいました。
試乗記のライターが実質4名で、なんと1人あたり4台~6台のレポートを担当する事になったんです。
いや~、これって結構辛い事なんです。
JAIAの試乗会と聞いて「色々なインポートカーが乗れていい機会じゃないですか!」と言って頂ける方はたくさんいらっしゃるんですが、そりゃぁ「遊びだったら」楽しいわけですよ。
そりゃ僕らはこうしてカーくるで作業してるわけですからもちろん車は好きです。その中でも輸入車が特に。って言っても日本車が嫌いなわけではありませんので弁明しておきますが。。。
と、前置きはそれぐらいで、今年も大磯ロングビーチにやってきたわけです。はい。
そして今回、編集部「I /アイ」がレポートさせて頂く1台目はなんとポルシェです。
そう。ドイツのアレですよアレ。僕ら車好きにとっては夢の車のポルシェです。
しかも今回レポートさせて頂く事になったのは・・・なんと憧れのポルシェ911 タルガ4 GTS!
ポルシェの中でもデザイン、性能、パッケージングが全て自分の夢の形になった一台がタルガです!
ボタン1つでルーフを格納すればオープンドライブまで楽しめて、屋根がある分荷物もちゃんと積めちゃって、しかも911の速さはまったくスポイルされていないというモデルがタルガなんです!
あぅぁぁ、憧れのポルシェに試乗となると心の準備が!緊張が!・・・という間もなくやってきましたポルシェ 911 タルガ4 GTSの試乗の時間が。
しかもカーくるメンバーによる試乗車両ローテーションの関係でいきなり西湘バイパスのパーキングエリアからスタート。色々な意味で泣ける~。
今まで色々な車達を試乗して来ましたが、ポルシェのステアリングを握るのはかなり久しぶりだったりしました。
実は初代ボクスター(986型)以来なのです・・・カーくる編集部にいてどんだけポルシェに縁が無いんだ?っていう感じですが、かえってポルシェを初体験みたいな感覚でレポートできるかもしれないから結果オーライ?
この10年で如何にポルシェが進化したのか?をさっそく堪能させて頂きましたのでここからはちゃんとインプレッションを!
まずはガッチリとホールド具合の良いシートに腰を下ろすと・・・ちょっと圧迫感を感じる。
ポルシェという車の持つ雰囲気に飲まれているのか?それともただの緊張か?はたまた15年前と比べると色々と増えた操作系のスイッチに気圧されたのか?
近年、ポルシェのアイコンになっているコンソールセンターの時計。
この時計すら、デザインと機能が融合していて大変視認性が良い。
そしてなんと言ってもこのドアノブ!
デザインにも質感にも、ちょっとした作りこみにも拘らずポルシェの拘りが感じられるのが嬉しい。
オルガンタイプで重めのアクセルを踏み込めば低回転から迫力のある音と振動が背中側から響いてくる。
どれほどのパワーがかかるか想像もつかず、慎重に右足に力を込めて
西湘バイパス本車線に合流、そして加速!
すると「これが最新のポルシェの加速か!」と一瞬で理解させてくれるようなGが体にかかってくる。
みるみるうちに左右の流れる背景に視力が追いついてこなくなり、前走の車輌との車間が狭くなる。
あっ!前の車きっとビックリしてるな。ゴメンね。とちょっと反省しながら右足に込める力を抜いて周りの流れに合わせた速度に戻す。
一般道なんかでタルガ4 GTSの本領を発揮させるようなスピードまで踏みこめるはずもないけれど、少し走り出したところでパワー・ボディ合成・操縦性・足回りのセッティングが全て高次元でバランスされている事を直感的に理解できる。
しかも特筆すべきはサスペンションの滑らかな動きで、西湘バイパスと一般道で快適な走りを満喫する事ができた。
試乗途中でわざと荒れた路面部分を走ってみたが、ロードインフォメーションの伝え方も必要にして十分。
タルガということで、カブリオレよりは合成が増している事もこの乗り心地に寄与していることは間違いないが、これほどまで快適とは。
なるほどね。乗ってみればどうしてこのような価格帯のポルシェが日本国内で、そして世界でバンバン売れているのかもよく理解できた。
他のメーカーだってスポーツカーはたくさん作っている。でも、このポルシェの最新の911は格別だ。
最新のポルシェはそりゃ価格だって他のメーカーの車に対して一枚も二枚も上手だけど、それを納得させるだけのアドバンスを頭と体と・・・そしてハートで感じられた。
ほんの短い時間の試乗だったけれど、もうこれ以上無いというぐらいポルシェの出来の良さを知ってしまった。
イタリアの跳ね馬や猛牛のような官能的な高揚感には包まれることはないかもしれない。
いや、決してそんな同質の高揚感は味わえない。
でも、最新にして最高の工業製品・・・工業製品というと色気を感じられないけれど、ポルシェは色気じゃない!
ドイツのエンジニアやマイスターの物造りに支えられ、完成度がこの領域にまで踏み込んだ最新のポルシェ。
まずは車好きの皆さんには試乗する機会をぜひ作って欲しい。
えっ?ポルシェを持っている友人がいない?だから試乗出来ない?
ディーラーも敷居が高くて近寄りがたい?
いや、もちろんそんな事分かってる。
でも、何とかして最新のポルシェを是非体験して欲しい。
あなたにとって、それだけの価値はあるはずだから
ポルシェ 911 タルガ4 GTS
<主要諸元>
全長×全幅×全高:4,528×1,852×1,291mm
ホイールベース:2,450mm
車両重量:1,605kg
エンジン種類:3リッター水平対向6 DOHC 24バルブ ターボ
排気量:2,981cc
最高出力:450ps(331kW)/6500rpm
最大トルク:550Nm(56.1kgm)/2150-5000rpm
トランスミッション:7段AT
駆動方式:4輪駆動
燃料消費率(JC08モード走行):8.7 L/100 km
メーカー希望小売価格:2,154万円(消費税込)