プジョーが満を持して日本のミニバン市場に投入したプレミアム・7シーター 5008。
先日、カーくる編集部で
報道試乗会の様子をお伝えしましたが、今回は長時間試乗する機会に恵まれたので、改めてレポートしたいと思います。
5008には装備の違いでPremiumとCieloという2つのグレードがありますが、今回試乗したのはCielo。
ベースモデルのPremiumに対して、パノラミックガラスルーフ、ルーフレール、ヘッドアップディスプレイ、17インチアロイホイールを追加した充実の上級モデルです。
【PEUGEOT 5008 Cielo】
全長×全幅×全高:4530mm×1840mm×1645mm
ホイールベース:2725mm
車両重量:1600kg(Premium:1570kg)
乗車定員:7名
総排気量:1598cc
最高出力:156ps(115kW)/6000rpm
最大トルク:240Nm(24.5kg-m)/1400-3500rpm
変速機:6速AT
燃料消費率(JC08モード):11.7km/L
タイヤ:215/50R17(Premium:215/55R16)
希望小売価格(消費税込み):330万円(Premium:300万円)
外観はプジョーらしくモダンでスッキリした印象
フロントマスクは、同じく4桁ナンバーのクロスオーバーSUV 3008 に共通するデザイン。
そしてシンプルイズベストなリア。
全高が抑えられたサイドビューは、ワゴンとハイトミニバンの中間くらいか。
サイドに切れ込んだリアランプ。"00"が∞となり、この車が無限大の可能性を秘めていることを主張するエンブレム。
Cieloにはバイキセノンディレクショナルヘッドライトが装備される。
ステアリングの切れ角に応じて照射方向が変化し、的確にコーナーの先を照らしてくれます。
リアバンパーにはコーナーセンサーを備え後方の安全をサポートする。
ドアミラー下にはエクステリアランプがあり、夜間は足下を照らしてくれる。
Cieloには17インチアロイホイールが標準装備。
タイヤサイズは215-50-R17で、試乗車にはミシュラン プライマシーHPが装着されていました。
当初はシンプル過ぎるかな?と思っていた外観ですが、時間が経つに連れ、長く付き合うにはこのくらいがちょうど良いかもと思えてきました。
この辺は目先のインパクトばかりを追わずじっくり付き合える欧州車デザインの美徳でしょうか。
しかし一方では、センスのよいエアロパッケージなどが選べればなお嬉しいかなと日本人らしい(?)印象も浮かびました。
内装は高級すぎないプレミアム感
比較的オーソドックスな運転席周り。
大きなフロントガラスは開放感抜群。
張出したセンターコンソールでウォークスルーができないのが少し残念だが、その分ナビやエアコン、シフト操作もしやすくドライビングにも集中できる。
レザー巻きステアリングはシットリと上質な肌触りだが、グリップ部は少々太く女性には握りにくいかもしれません。
チルト&テレスコピック機能は可動範囲も大きく理想の位置に調整できる。
シンプルな2眼メーターの間に配置されるマルチファンクションディスプレイには走行距離や燃費などが表示できる。
なぜか時計の表示がどこにも見あたらず。
ヘッドアップディスプレイにはスピードメーターの他、ディスタンスアラートなども表示可能。
運転中は基本的にこのディスプレイを見ながらの運転でしたが、視線の移動も最小限なので非常に便利でした。
イグニッションオンでダッシュボードから立ち上がってくる様子もカッコイイ。
ABペダルは上から踏みこむようなポジションですが違和感はなく操作しやすい。
フットレストはもう少し奥にあった方がリラックスできそうです。
大きめのフロントシートは少し固めに感じましたが、長距離乗ってもまったく腰が痛くならず快適にドライブできました。
やはりプジョーのシートは良くできています。
ちなみに今回の試乗車はファブリックシートでしたが、Cieloにかぎりオプションでレザーシート(¥250,000)も選べます。
2列目シートは3それぞれ独立でスライド、リクライニングができます。
チャイルドシートやジュニアシートを設置してもきっちり3人座れるのが嬉しい。
3列目シートは足下、ヘッドクリアランスも少なめで長距離移動は少々厳しい。とはいえこの3列目があるのと無いのとでは、使い易さ、安心感が段違いです。
ここにも3点式のシートベルトを備えるあたりはセーフティへの力の入れようが伺えます。
そしてCieloの装備で最大の特徴でもあるパノラミックガラスルーフ。
このルーフひとつで家族とのカーライフが一層楽しいものになる予感がします。
清々しく晴れた青空、雨のシャワー、星降る夜、きらめく都会の夜景、桜並木・・・様々なシーンで喜びと感動が生まれそうです。
驚くほどの高級感はないが、質感やデザインにはやはりプレミアム感を感じます。
家族や友人と気兼ねなく使えるミニバンには、このくらいがちょうど良いかもしれません。
簡単操作で多彩なシートアレンジ
使用頻度が一番高いと思われる5人乗りモード。
この状態での荷室容量は1247L。日常のほとんどの荷物はこの状態でも積めるはず。
2列目シートをたたんだ状態なら2506L。大型ショッピングセンターで沢山買い物しても困ることは無いだろう。
さらに助手席を倒せば2.760mの室内長を利用して長尺物も収納できる。
3列目を出して7人乗りモードにするとラゲッジスペースはかなり小さくなるが、シート下にもわずかながら収納スペースがある。
もちろん片側だけ出して6人乗車+ラゲッジも可能。
各シートの可倒は難しい操作も無く、ほぼ1アクションで可能。
力もいらず普段使う奥様でも簡単にアレンジできます。
ミニバンらしく便利な装備も盛りだくさん!
室内には収納が沢山あります。
センターコンソール、グローブボックス、各ドアポケット、運転席足下収納、、2列目シート足下収納。
工夫次第で色々使えそうですね。
ルームミラーには後部座席の様子を確認できるサブミラー付き。
なんとも至れり尽くせりである。
運転席、助手席の後ろにはテーブルが設置されていてピクニックには活躍します。
2列目、3列目に設置されているサンシェード。特に子供や女性を乗せたときには便利ですね。
12v電源もセンターコンソールに2カ所、ラゲッジに1カ所、計3カ所装備。
ラゲッジルームランプは取り外すと懐中電灯として使えます。
もしもの時に便利なアイディア装備!
見せかけではなく、実用性を重視した備えた装備の数々。
でも遊び心も忘れていないところがプジョーらしいですね。
ミニバンらしからぬ走りの性能
エンジンはプジョー、シトロエンの各モデルでお馴染みの1.6Lツインスクロールターボエンジン。
208や308くらいまでなら必要十分だが、さすがに5008の1.6tの車体ではいささか役不足では?と思われたが、いつも期待を裏切らないこのエンジン。
そのパワフルでフレキシブルな性能は、この5008においても遺憾なく発揮しています。
1400rpmの低回転から発揮する240Nmの最大トルクは、発進時、高速道路の追い越し加速や、ワインディングの上り坂においても力強く車体を引っ張ります。
外から聞くとちょっと気になるエンジン音も、車内で聞くとうまく遮音されており、こぎみよいビート音だけが聞こえる。
タイヤからのロードノイズが多少気になるものの、プレミアムの名に恥じない静粛性を実現しています。
組み合わされる6ATも優秀で、変速ショックもなくスムーズ。
シフトゲートにある"S"スイッチを押すとスポーツモードになりシフトタイミングが少し高回転寄りになりますが、ノーマルモードでも十分な性能を発揮するので出番は少なかった。
ブレーキは前vディスク、後ディスクと一般的なものだが、この車重を受け止めて良く効き、タッチも自然でした。
乗り心地に関しては、当初家族を乗せるミニバンにしては少し固めかと思ったのだが、しばらく乗ると”路面の状況は明確に伝わってくるのに振動や衝撃は伝わってこない”不思議な乗り心地に気付く。
コーナリングにおいてもミニバンとは思えないロールの少なさでフラットにコーナーを駆け抜けてゆき、背の高いミニバンにありがちな揺り戻しもなく安定感がある。
それでいてハードな印象は無くむしろ乗り心地は良いのだから、なんとも絶妙な脚回りであった。
今回走行した燃費は、走行距離 高速道路:約500km 一般道:約190km トータル:約690km 消費した燃料は 54.4Lで、満タン法で計算すると 12.6km/Lでした。
オンボードコンピューターの燃費計も正確でした。
メインが高速道路だったことを考えるともう少し燃費が伸びても良さそうですが、カタログ燃費の11.7km/Lは上回っているしパフォーマンスを考えれば納得の数値でしょうか。
また燃料タンク容量が60Lなので、がんばれば無給油で700km程度走れそうです。
今回、数日間をこの5008と過ごしてみて感じたのは、車としての基本性能の高さに加え、日本のミニバンにも負けない使い勝手を追求した本物のミニバンであること。
そして家族と共にこの車と過ごす心地よい時間こそ、プジョーがこの車に”プレミアム”7シーターと名付けた本当の理由ではないかと感じました。
シンプルモダンな外観にスポーティな走りと実用性を兼ね備えた5008。
家族の成長と共に長くつきあえそうな一台でした。
【PEUGEOT 5008 公式ホームページ】
http://www.peugeot.co.jp/5008-special-page/