昨年、第3世代へとモデルチェンジしたスマート。
試乗会では2人乗りのフォーツー、4人乗りのフォーフォー共に用意されていたが、試乗の機会が得られたのは2人乗りのフォーツー。今回のモデルチェンジではボディはもちろんエンジン、トランスミッションも刷新され全面的に改良された。
ボディサイズは先代に比べ全長で35mm、全幅は105mm、全高は5mmそれぞれ大きくなっている。中でも全幅は1665mmとなり、日本車だとトヨタ パッソ、日産 マーチ、スズキ イグニス等のコンパクトカークラスと同等となった。先代同様、特徴的なツートーンカラーを纏ったエクステリアはポップでカジュアルな印象を与え、日常成果の中でも鮮やかに映える。
このラバオレンジのボディーカラーを選ぶとインテリアもツートーンカラーとなる。
全体的にはプラスチッキーだが、本革巻きステアリング、シートやダッシュボードに張られたメッシュ状のファブリックなど普段触れるところや目につくところに上質な素材を使い、楽しくて居心地の良い空間となっている。
さらに装備面でもレインセンサー付きワイパー、オートヘッドライト、オートエアコンなどが標準装備され快適な室内空間にも配慮された。
ラゲッジも通常状態で260Lを確保しており、日常の買い物程度はもちろん、2人分の一泊二日旅行程度の荷物ならなんとかなりそうだ。上下分割式のテールゲートで使い勝手も良さそう。
ポップなデザインとは対照的に、中身のボディ剛性はかなりがっしりしており内装の軋みなども皆無。
このボディサイズにして車重は940kgと決して軽くはないが、その重量が幸いしてか先代までの少々硬くバタつく印象だった足回りは比較的どっしりと落ち着いたものになっている。ホイールベースは先代から10mm延長されたに過ぎないが、高速走行時の直進安定性の向上やピッチング方向の動きも穏やかになり、このショートホイールベースでも不安なく巡行できた。それでいてハンドリングに関してはRRらしい軽快さを感じるから、街乗りだけでなく積極的にドライブを楽しみに行きたくなる。さらに最小回転半径は先代の4.2mから3.3mと大幅に小さくなり、小回り抜群で狭い路地やパーキングスペースでも取り回しで苦労することはないだろう。
エンジンは先代からキャリーオーバーされた1.0Lの3気筒NAと、ルノーが開発した0.9Lの3気筒ターボが用意されているが、現在日本に入ってきているのはフォーツー、フォーフォー共に1.0Lの3気筒NAのみとなっている。これをリアのラゲッシ下に搭載しRRとしている。
サウンドはいかにも3気筒という少々安っぽい音がしているが、車の性格上それほど気にはならなかった。それよりもリアからエンジン音が聞こえるという非日常に少しワクワクさせられる。
NAということで絶対的な力強さはないものの、日常生活プラスアルファ程度の使い方であればなんら不満はない。また新開発の6速ツインクラッチATが搭載されたこともドライバビリティを大きく向上させている。先代までのシングルクラッチAT独特なギクシャク感も無くなり誰でもスムーズにドライビングすることが可能。さらに多段化されたことでエンジンの美味しいところをうまく使えるメリットも感じられた。
初代から小粋で扱いやすいというコンセプトはそのままに、中身は現代的な車の水準まで大きく進化させた新型スマート。カジュアルでリーズナブルだが中身はそれなりという印象だった”スウォッチ”から、スタイリッシュな外観に最新の技術を詰め込んだ”スマートウォッチ”のように進化したといったところであろうか。(…ちょっと無理があるな)
今後はターボモデルや本国で発表されたカブリオレ、ブラバスも投入が予想され、ますます広がるスマートワールドから目が離せなくなりそうだ。
スマート フォーツー エディション1
主要諸元
全長×全幅×全高:2,755×1,665×1,545mm
ホイールベース:1,875mm
車両重量:940kg
エンジン種類: 直列3気筒DOHC
排気量:998cc
最高出力:52kW(71ps)/6,000rpm
最大トルク:91Nm(9.3kgm)/2,850rpm
トランスミッション:6速ディアルクラッチトランスミッション
駆動方式:後輪駆動(RR)
燃料消費率(JC08モード走行):21.9km/L
メーカー希望小売価格:199万円(消費税込)
スマート公式サイト:
http://www.smart-j.com/
スマート フォーツー公式サイト:
http://www.smart-j.com/fortwo/edit1.html
メルセデス最大級のV220と最小のスマートフォーツー。