パワートレーンのダウンサイジング化による環境性能向上は、プレミアムカーメーカーといえど無視できない潮流となっています。
今回試乗したジャガー XF 2.0 Premium Luxury においてもその名から想像する通り2.0L直列4気筒ターボエンジンが搭載されたモデル。時代の流れとはいえジャガーに4気筒エンジンが搭載されるという のはいささかカルチャーショックを受けますが、逆にその4気筒エンジンに興味が湧くのも車好きの性でしょうか。
早速エンジンをスタートさせると、期待通りの4気筒サウンド…ではなく振動も少なく静粛性に優れた上質なフィールのアイドリング。ボディ側の遮音性能の高 さも大きいと思いますが、プレミアムカーにマッチした素性の良いエンジンであることが伺えます。ちなみにこのエンジンはフォード製のエコブーストエンジン で、レンジローバー イヴォーク等にも搭載されています。
走り出してもその滑らかなフィールが陰ることはなく、ターボ独特なネガティブな面は感じさせず強力なトルク性能だけをうまく引き出して、低速時はもとより中速域からでもミドル級ボディをストレスなく加速させます。
アクセルを踏み込んだ時のサウンドはやはり4気筒を感じさせるものがありますが、それが車格に合わないとか耳障りだとかの印象は全くなく、むしろ軽快感やスポーティなイメージがドライビングを楽しませてくれます。
また旧型の6速ATから進化した8速ATが非常に滑らかかつ賢く、このエンジンと合わせ車全体の完成度をより高くしているのを感じました。
ただ”Luxury”と謳っている割には少し硬く感じる乗り心地に違和感を感じましたが、試乗後によくよく確認するとオプションの20インチホイールが装 着されていました。スポーティなイメージのジャガーですが、この車の全体的なバランスとしては標準の18インチでも十分な気がしました。
内装はシンプルながらもモダンなデザインで、毎日乗っても飽きの来ない心地よい安心感があります。
この車にはオプションのステアリングヒーターが装備されていましたが、試乗日は非常に寒い一日でしたので嬉しい装備でした。
あのジャガーで、しかもオプションを含め700万円以上する車が4気筒エンジンってどうなの?と思っていましたが、フラッグシップのXJにもこのエンジン が採用されていること、またこの試乗で体感したプレミアムメーカーとして妥協のない車作りに、その価値を排気量やシリンダーの数で計れない時代になったの だと改めて実感しました。
ジャガー XF 2.0 Premium Luxury 主要諸元
全長×全幅×全高:4975×1875×1460mm
ホイールベース:2910mm
車両重量:1760kg
駆動方式:後輪駆動(FR)
エンジン種類:直列4気筒DOHCターボチャージャー
総排気量:1998cc
最高出力:240ps(177kw)/5500rpm
最大トルク:34.7kg・m(340Nm)/1750rpm
トランスミッション:8速AT
燃料:無鉛プレミアムガソリン
JC08モード燃費:9.1km/L
全国希望小売価格:645万円『消費税込』
ジャガー・ランドローバー・ジャパン サイト:http://www.jaguar.co.jp/index.html