ギブリが復活する。
そう聞いてどんなスポーツクーペが登場するのかと期待した方も多かったと思いますが、実際に登場したのは昨年登場した新型クアトロポルテを一回り小さくした4ドアセダンでした。
クアトロポルテより一回り小さいといっても、カタログ値を見る限り全長こそ300mm短いものの、全幅、全高はほぼ同程度で決して小さいとは言えない。も う少し小さくしてクアトロポルテとの差別化を明確にしても良いのでは?と思っていたが、実車を前にするとマセラティらしいスポーティなボディラインによっ て数値以上に引き締まって見えました。
現在日本に導入されているモデルはギブリSとギブリS Q4の2モデル。
今回試乗できたのは4輪駆動システムを備えたギブリS Q4。基本は後輪駆動であるが状況に応じて前後50:50までリニアにトルク配分をする。クアトロポルテにも搭載されている新開発の3リッターV6ツイン ターボエンジンは最高出力410psを絞り出し、最高速度284km/h、0-100km/h加速4.8秒(ギブリS Q4)とスーパースポーツカー並みのパフォーマンス。
試乗車のインテリアは、明るいブラウンレザーとウッドパネルがあしらわれ、お洒落で若々しいイメージが魅力的。レザーシートやステアリングの肌触りもシットリと上質でした。
比較的シンプルで好感の持てるインパネですが、最近のトレンドとはいえ中央のでかいモニターはちょっと雰囲気を損なうような気がします。それとボタン類には少々コストダウンの影響が感じられました。
スタートボタンを押すと短いクランキングの後、あのマセラティサウンドが轟きエンジンが目覚めました。V6エンジンになって大人しくなったのでは?と少々心配でしたが、新型エンジンでも牙を抜かれるようなマセラティではありませんでした。
アクセルを踏み込んでみれば、刺激的なエキゾーストサウンドが室内に響き渡り『これこれ!』と思わずにニヤけてしまいます。よく考えてみるとV6エンジンであの音を奏でるなんて、まさにマセラティマジックです。
そのサウンドに比べると加速感は比較的穏やかに感じられましたが、ターボエンジンということで妙な先入観があったからかもしれません。実際には低回転から太いトルクがリニアに上昇していき、気が付けば結構な速さになっているパターンです。
2トンを超える車重ですが、8速ATがエンジンの美味しいところを使っている様子で鈍重なイメージはありません。
足回りに関してはやや硬めなせいなのかボディ剛性の問題なのか、ちょっとした凹凸や段差などを超えた時のショックはこの手の車にしては少々荒々しく感じま した。やはりこの車はスポーツカーのようなセダンではなく、セダンのようなスポーツカーなんだと認識する瞬間です。これはもしかしたらアクティブサスペン ションの設定で印象が変わるかもしれませんが短い試乗時間内では確認できませんでした。
メーター内のディスプレイには前後のトルク配分をリアルタイムに表示する機能もあります。
走りの状況に応じて粛々と変化していましたが、自然な制御でその変化を体感することは殆どありませんでした。
マセラティにはモダンで高級感のあるインテリアで安らぐ、またそれとは裏腹にスポーティなスタイリングやサウンドでドライバーを高揚させるジキルとハイド的な魅力があると思います。
新型ギブリでは、そのどちらの魅力にも磨きがかかり、新世代となってもマセラティらしさを存分に味わえる一台となっていました。
クアトロポルテと比べ300万円ほど安い価格でマセラティを味わえるのも魅力的ですね!
マセラティ ギブリS Q4 主要諸元
全長×全幅×全高:4970×1945×1485mm
ホイールベース:3000mm
車両重量:2030kg
駆動方式:4輪駆動(4WD)
エンジン種類:60°V型6気筒ツインターボ
総排気量:2979cc
最高出力:410ps(302kw)/5500rpm
最大トルク:550Nm/1650rpm
トランスミッション:8速AT
燃料:無鉛プレミアムガソリン
JC08モード燃費:-km/L
全国希望小売価格:1010万円『消費税込』
マセラティ ジャパン サイト:http://www.maserati.co.jp