テスラと言えば、第一弾として2008年に発売されたオープン2シーターのEVスポーツカー”テスラ・ロードスター”で自動車界に新たな衝撃を与えたことは記憶に新しいところですが、今回試乗できたのは第二弾として本格的なEV普及モデルとなるであろう5ドアサルーン”テスラ・モデルS”です。
現在モデルSには、バッテリー容量、モーター出力、駆動方式(モーターの数でRWD、AWD)の違いにより、”60”、”85”、”85D”、”P85D”と4タイプがありますが、今回試乗できたのは”P85”という"85"のハイパフォーマンスグレード。
昨年秋に"P85D"というAWDモデルの導入に伴いラインナップからは外れた”P85"ですが、容量が85kWhのバッテリーと310kW(421ps)のモーターを搭載した後輪駆動するモデル。
EVといえば、充電設備の少なさや充電時間の長さなどから、航続距離は常に気になると思いますが、85kWhバッテリーを装備したモデルは満充電で約500kmの走行が可能というから、一般的な使い方ならまず気を遣わなくて済みそうです。ちなみに搭載されているバッテリーはパナソニックと共同開発ということですから、信頼性についても問題なさそうです。
エクステリア
全長約5m、全幅約2mと各社のフラッグシップカーにも引けを取らない堂々としたボディサイズですが、流麗かつクリーンなデザインでEVらしくもスポーティな佇まいです。
ドアと面一だったドアノブはキーを持って近づいたりタッチすると自動でせり出してきます。
このボディサイズなら21インチホイールでも違和感ありません。
インテリア&ユーティリティ
乗り込んでまず目に飛び込んでくるのは、センターパネルに鎮座している大型液晶ディスプレイ。
このタブレットのようなタッチパネルにてエアコン、ナビ、オーディオはもとより、車高調整やサンルーフの操作など様々な設定を行うことができます。もちろんインターネットにも接続できます。
某CMではないですが、思わず『未来感、半端ね~』と唸ってしまいます。
大柄なボディサイズだけあり、各座席とも非常に余裕があります。特に後部座席に置いては横方向、足元も広々しており大人3人が座ってもまったく問題ありません。フロアがフラットなのも嬉しいですね。
試乗車はトランク部分にオプションの格納式チャイルドシートが装着されておりました。なんと7人乗りなんですね。
乗り降りは大変そうですが、普段見ない景色に子供達も喜ぶかな?
RWDモデルはフロントにモーターが無いので、ボンネット下にも広大なラゲッジスペースがあります。EVならではですね。
ドライブフィール
アクセルを開けた瞬間、エンジン車とは明らかに違う加速感覚を感じます。
2.1tの重量級ボディが強力なモーターによって音もなく強烈に加速する様は、例えるならジェットコースターか高速エレベータに乗っているような感覚で、その加速が衰えることなくシームレスに続きます。
この加速感はやみつきになります。
ちなみにこの"P85"は0-100km/h加速は4.4秒とのことでスポーツカー並ですが、更に強力なAWDモデルだと3.4秒!まで短縮するとのこと。そこまでいくとスーパーカーレベルですね。
車重は重量級ですが、エンジンのような腰高の重量物がないこと、バッテリーが床下のフレーム内に収められていることから、高速走行やコーナリングでも低重心で安定感ある走りです。
またボディや足回りの剛性も相当よくできていて、大径ホイール&タイヤを履いたこのモデルでもバタバタすることなくスムースな走りで、とても新興メーカーが初めて一から開発した車とは思えない完成度です。
重厚感も手伝って、ゆったりと落ち着いた高級サルーンとしてふさわしい乗り心地を確保した上で、加速が欲しい時には瞬時にパワーを発揮し、さらにガソリン代も気にすることがない(もちろん電気代はかかりますが)と、EVとしての特徴を生かした新世代の乗り物でした。
EVといえば、まだまだ未来の乗り物と考えている方も多いと思いますが、一度モデルSに試乗すれば、EVが自動車界のスタンダードになる日がすぐそこに来ていることを実感できると思います。
さらに来年には3列シートを備えたクロスオーバーSUV”モデルX”が上陸するとのことですから、ますますテスラから目が離せなくなりそうですね。
テスラ モデルS P85 主要諸元
全長×全幅×全高:4,970×1,964×1,435 mm
車両重量:2,108 kg
バッテリー容量:85kWh
最高出力:310 kW(421 ps)
最大トルク:440 Nm