日本自動車輸入組合(JAIA)が開催する、毎年恒例の輸入車試乗会が2月2日(火)~4日(木)まで神奈川県の大磯プリンスホテルにて開催された。 「プロローグ」はこちらのページで紹介した。それでは早速試乗レポートをお送りする。 第1回の今回は「メルセデス-AMG A45 4MATIC」を取り上げよう。 2013年1月より日本に導入されている3代目の「メルセデス・ベンツ Aクラス」は日本でも大変人気の1台である。初代・2代目は「サンドイッチ・コンセプト」という2重床下構造にした特長あるプラットフォームを持っていたが、3代目は打倒「フォルクスワーゲン ゴルフ」、言わば強豪ひしめく「Cセグメント」市場へ打って出るために、大きく生まれ変わった1台であった。そのモデルが昨年の11月にマイナーチェンジされ、日本に導入され始めた。 今回、JAIA試乗会で借りだしたのはその「Aクラス」の中でも、異色の最高峰モデルである「メルセデス-AMG A45 4MATIC」である。メルセデスの中で、特に高性能モデルとして君臨する「メルセデス-AMG」は「一人の職人が一つのエンジンを手作業で組み立てている」という特徴がある。エンジンにはその組み立てた職人のサインが入っているのも特徴だ。 初期モデルの「A250シュポルト」に筆者は試乗したことがある。メルセデス-AMGほどではないが、それでもハイパワーを発揮するモデルである。しかし、このクルマは個人的にメルセデスらしくない、ゴツゴツした乗り味が残念に感じたことを覚えている。ベーシックグレードにも短距離ながら試乗したことがあるが、これも道路の凹凸を超えた時なども乗員へそのまま伝えてしまうようなところが、メルセデスらしくないと思ったことがある。 そこで、今回試乗した「A 45 AMG」はスポーツモデルの最高峰であり、またガチガチの快適性のないスポーツモデルなのだろうという予想で試乗を始めたわけである。しかし、エンジンをスタートさせて、大磯プリンスホテルから西湘バイパスへ向かうまでの荒れた路面ですでに、その予想は覆される。硬いかやわらかいかというと、硬い部類ではあるが、乗員に不快な印象を与えない。しなやかにしっかりサスペンションが動いているというのがよくわかるのである。これぞ、輸入車によくある“熟成が進んだ”好事例といえるだろう。この時点で、筆者はなかなか魅力的なクルマではないかと走り始めた。 それでは、公道へ出て走り出すと、そのあまりにも現実離れした…というといいすぎかもしれないが、ハイパワーなエンジンにしびれる。エンジンの吹き上がり、音、加速力などなど、やはり「フツウのクルマではない」ということがすぐにわかる。直列4気筒2.0L直噴ターボエンジンは最高出力280kW(381馬力)、最大トルク475Nm(48.4kgm)を発生する。現時点で世界一パワフルな4気筒ターボエンジンだそうだ。それに、AMGスピードシフト7速DCTが組み合わされ、駆動方式は4輪駆動である。加速時には「タダモノではない」排気音を響かせる。もうレーシングカーの領域といってもいいほどであろう。このままターンパイクへ入っていきたい気分であったが、時間も制限されているためこれで試乗を終えた。それくらい、もう少し乗ってみたいと感じさせた1台であるのは確かだ。
メルセデス-AMG A 45 4MATIC 主要諸元 全長×全幅×全高:4,370×1,780×1,420mm ホイールベース:2,700mm 車両重量:1,560kg エンジン種類:DOHC直列4気筒ターボチャージャー 排気量:1,991cc 最高出力:280kW(381ps)/6,000rpm 最大トルク:475Nm(48.4kgm)/2,250~5,000rpm トランスミッション:電子制御7速A/T(7G-DCT) 駆動方式:全輪駆動(4WD) 燃料消費率(JC08モード走行):12.6km/L メーカー希望小売価格:713万円(消費税込) ※試乗車は793万円(AMGアドバンストパッケージ装着車) メルセデス・ベンツ公式サイト:http://www.mercedes-benz.co.jp