4代目となる現行ルーテシアは2012年に発表され、国内では2013年から販売されているので早4年目となる。
今回試乗したのは、昨年11月に日本に導入されたルーテシア ルノー・スポール(R.S)の最もスポーティーなモデルである”トロフィー”。ちなみにルーテシア R.Sにはこれまで”シャシー スポール”、”シャシー カップ”があったが、現在は”シャシー スポール”と”トロフィー”のラインナップとなっています。
ルーテシア R.Sといえば、3.0L V6をミッドシップに搭載していた2代目、NA2.0Lで200psを発揮するスポーツエンジンをMTで操る3台目、と時代に合わせその時々で楽しさを追求してきたホットハッチ。
この4代目のR.Sでは1.6L直列4気筒ターボエンジンとデュアルクラッチトランスミッションを組合せ、スポーツドライブの新しい可能性を示した。
最高峰グレードとなる”トロフィー”では、”シャシー・カップ”からさらに走りに磨きをかけるべく、主に以下の改良が施された。
・エンジンの性能を最高出力を20ps、最大トルクを20N・mそれぞれアップし、220ps、260N・mとした。
・デュアルクラッチトランスミッションのシフトスピードを30%アップさせる一方で、街中などの普段使いを考慮してシフトのつながりをスムースにした。
・フロント20mm、リア10mmそれぞれ車高を下げ、高速安定性を確保。
・ステアリングギア比を14.5:1から13.2:1とクイックにしダイレクト感を向上。
内装デザインは基本的にベースグレードと一緒ですが、各部に専用品をあしらい”やる気”を演出しています。
最高峰”トロフィー”ということでスパルタンなイメージを持ちつつ身構えて試乗を始めたが、乗り始めの荒れた駐車場の路面でも不快な微振動や突き上げを感じない。それは高速走行時でも変わらず、道路の継ぎ目や段差を越える際もスポーツモデルにありがちな硬さはなく、良い意味で期待を裏切られたことに「やられた!」と思わず笑みがこぼれました。ボディ剛性の限界点とサスペンションのしなやかさの限界点がうまくバランスされてます。さらにコシはあるもののクッションが効いていおり、適度にホールドしてくれるシートも快適な走りに大きく貢献していますね。
約1割の出力アップを果たしたエンジンは、小排気量ターボにありがちな唐突なトルク変動は感じられず、回転の上昇に応じてリニアに高まるパワー特性で扱いやすい印象。とはいえ1.6Lという排気量を考えれば十分に力強く、車重も1290kgと比較的軽量なので不満が出ることはなさそうです。
4代目ルーテシアから採用されたデュアルクラッチトランスミッションは変速レスポンスも速く、非常にスムーズ。発進時のギクシャク感も皆無だった。ギア比を含め、1.2Lエンジンのベースグレードから変更されていないようですが、この1.6Lのエンジン特性ともよくマッチしています。
今回は高速道路と少々の街乗りの試乗だったので、この車の美味しいところはあまり体験できませんでしたが、そのバランスの良さと懐の深さから、本領を発揮するワインディングやサーキットなどでの走りの楽しさを予感させます。
ルーテシア全モデル5ドアのみの展開ですが、このR.Sトロフィーにおいてもそれは変わらず、スポーツ性能を確保しつつも、同乗者や普段使いを犠牲にしない使い勝手の良さが嬉しいですね。
ベース車両で感じる緩さやダルさを極限まで減らしスポーティネスを極めつつも、しなやかさを失わず一貫してフランス車らしい乗り味を実現しているルノーの車作りにはいつも感心させられます。
欲を言えば、より速く走るための”トロフィー”はこれで良いとして、”シャシー・スポール”では、よりプリミティブなスポーツ走行を楽しむために「マニュアルトランスミッション」を用意して頂ければ、個性の違いが明確になりユーザーも選ぶ楽しさが増えるのではないかと感じました。
ルノー ルーテシア ルノー・スポール トロフィー
主要諸元
全長×全幅×全高:4,105×1,750×1,435mm
ホイールベース:2,600mm
車両重量:1,290kg
エンジン種類:ターボチャージャー付 直列4気筒DOHC 16バルブ
排気量:1,618cc
最高出力:162kW(220ps)/6,050rpm
最大トルク:260Nm(26.5kgm)/2,000rpm
トランスミッション:6速エフィシエントデュアルクラッチ
駆動方式:前輪駆動(FF)
燃料消費率(JC08モード走行):--- km/L
メーカー希望小売価格:329.5万円(消費税込)
ルノー・ジャポン公式サイト:
http://www.renault.jp
ルーテシア R.S公式サイト:
http://www.renault.jp/car_lineup/lutecia_rs