2013年にフルモデルチェンジして4代目となったレンジローバー。先代よりも洗練されたボディデザインを持ち、オフロードSUVフリークだけでなく都会派のレンジローバーファンにも好評だ。
そして今年の輸入車試乗会ではこのレンジローバーでもちょっと特殊なモデルに試乗する事が出来たのでさっそくご報告したいと思う。
そう。それがこのRANGE ROVER 3.0 V6 SUPERCHARGED VOGUE Long Wheelbase(ヴォーグ ロングホイールベース)だ。
このロングホイールベースというモデルは、VOGUE(ヴォーグ)、AUTOBIOGRAPHY(オートバイオグラフィ)、SVAUTOBIOGRAPHY(SVオートバイオグラフィ)の3グレードが用意されており、その名の通り、通常よりも長いホイールベース・ボディを持っている。
通常モデルよりも200mm長いホイールベースを持ち、より一層のボリュームを増しているボディ。その車体を見た時点で「デカイ」と、正直な印象を持ってしまう。
このロングホイールベースが同クラスの他車種と比べてどれぐらい大きいのか?ちょっとだけ比べてみるとこのようになった。
レンジローバー:ヴォーグロングホイールベース
【全長×全幅×全高:5205×1985×1865mm】
メルセデス:Gクラス
【全長×全幅×全高:4575×1860×1970mm】
ポルシェ:カイエンターボ
【全長×全幅×全高:4855×1939×1702mm】
ボルボ:XC90(新型)
【全長×全幅×全高:4950×1960×1775mm】
トヨタ:ランドクルーザー
【全長×全幅×全高:4950×1980×1880mm】
そう、全高ではGクラスとランドクルーザーに負けたものの、レンジローバーのロングホイールベースが圧倒的に大きいのだ。
ただでさへ威圧感を感じるほど大きなレンジローバーで、このロングホイールベースモデルを選ぶ理由は何だろうか?それはもう「デカさを手に入れる」という事以外に無いだろう。
「デカさ=大きさ」とは、その車の周りを走る者、見る者すべてに威圧感・圧迫感を与える。そして乗車する者にはゆとりと余裕・・・そして優越感を与えてくれる。
大きさばかりを論じていてもこのロングホイールベースの事が分からない ので、実際に走ってみた。
この車を常にガンガン飛ばして走るような使い方をするオーナーは少ないと思うし、なによりこの車のキャラクターではない。
しかし、時と場合によってはグッと アクセルを踏み込んで加速が必要な時もある。試乗会の会場から滑り出し、西湖バイパスの合流から流れに乗るタイミングで右足に力を込めた。
おっ! 以前に試乗した5リッターV8のオートバイオグラフィに比べると、サウンドはずいぶん控えめだが、踏み込んだときの加速感はかなり力強い。
5リッターV8のスーパーチャージドほど爆発的な感覚ではないが、いかにも過給機付のエンジンらしいトルクでグイグイと前に進んでいく。
今回の試乗は3.0リッターのスーパーチャージドエンジン(380ps)。そして上位のオートバイオグラフィとSVオートバイオグラフィにはエンジン出力の異なる5.0リッターV8スーパーチャージドエンジン(510PS、SV:550PS)が搭載されている。
個人的な意見としては、車格からすれば5.0リッターV8エンジンの方が似合うのかな?と思う。
そしてハンドリングも上々だ。アルミモノコックフレームが採用され、クラス最大級のSUVでありながら大幅な軽量化を実現している影響でステアリングの操舵感も軽い。試乗コースのバイパスや市街地でも、ハンドルを切ったとおりにスッと軽快にノーズが向きを変えてくれた。
また、これほどのサイズにしてはハンドリング時に感じられる挙動の不安定さを感じられず、本当に良く煮詰められていると感じる。
乗り心地に関してはクロスリンク式の電子制御式エアサスペンションが採用されていたり、車両の挙動に対して最適な制御を行なう「アダプティブ・ダイナミクス」を装備しているのだから言わずもがななのだ。使い古された表現だが、地上を滑りながら進むクルーザーに乗っている気分になる。
今回、ドライバーズシートはもちろん後部座席でも試乗を体験したが、ロングホイールベースの恩恵で後部座席の足元は大変ゆったりとしている。身長175cmの自分が座ってもかなり広々で、余裕で足を組みかえる事が出来た。
また、 オックスフォード・レザーシートの質感は優しく温かみさへ感じる。シートの形状も相まってふんわりと包まれたような感覚だ。ロングホイールベースモデルのリア
シートはリクライニングも17度まで拡張されており、自宅のソファでくつろいでいるような安らぎを手に入れる事も出来る。
ラグジュアリーSUVとはかくあるべきと、レンジローバーがお手本を示してくれている。
今回の試乗では、今まで以上にレンジローバーの完成度の高さ、質感の良さを感じることが出来た。ただ、自分がこのロングホイールベースのレンジローバーに乗る機会が今後あるのであれば、出来ればドライバーとしてではなく後部座席に座るパッセンジャーでありたいと心から切に願う。
RANGE ROVER
3.0 V6 Supercharged VOGUE LONG WHEEL BASE
【主要諸元】
全長×全幅×全高:5,005×1,985×1,865mm
車両重量:2,430kg
エンジン種類:水冷V型8気筒DOHCスーパーチャージド
排気量:2,994cc
最高出力:280kW(380ps)/6,500rpm
最大トルク:450Nm(45.9kg.m)/3,500rpm
トランスミッション:副変速機付8速A/T
駆動方式:フルタイム4WD
燃料消費率(JC08モード走行):8.8km/L
メーカー希望小売価格:1515万円(消費税込)