10月最後の金曜の夜、昔風に言えば花金だ。 暗闇に断続的に降り続く強い雨。ウェット路面の中央自動車道を北上するシルバーのクーペ。 今見ても、20年も前に発表されたとは思えないスタイリングを持つ個性的な・・・そう、クーペ・フィアットだ。
今回、カーくる編集部はこのクーペ・フィアットをスパイスレンタカーからお借りし、第9回を迎えるhttps://carcle.jp/UserBlog.aspx?UserID=1568" target="_blank">軽井沢FIAT・PICNICに参加させて頂くことにした。 まずは10月28日の夕方に名古屋を出発し、中央道、長野道、上信越道を経由し、軽井沢入りを目指す。 諏訪湖から一般道で軽井沢入りも考えたが、雨の中、下道でウロウロするのはご免と全行程高速での移動とした。 中央道に入り、さっそく恵那峡SAにて腹ごしらえ。やはり、夜間のロングドライブは空腹では辛いのだ。 ここ恵那峡SAはレストラン、フードコートが充実しているが、カーくる編集部のイチオシはこれ! 照り玉から揚げ丼だ。 から揚げはサクサク&ジューシーで温玉と絡めて食べれば幸せを感じられるおススメの一品
フードコート内 “旅するどんぶり”でチェックして欲しい。 さて、腹ごしらえも終えて雨の高速を3時間半ほどひた走ると、無事に軽井沢へ到着。 お宿はステキなエントランスを持つこのお屋敷。
イベントを主催するチンクエチェント博物館の館長、スタッフと共にイベントの打ち合わせをしつつ26時に就寝・・・ 明けて29日の土曜日。軽井沢は昨日の雨がどこへ行ったかと思われるほどの晴天に恵まれた。
紅葉シーズンの軽井沢。心が躍るのを隠すことができない。 出発の準備は、お借りしたクーペ・フィアット(以下:クーペ)のお化粧直しから。
車のデザインというのは、見ているだけではすべてを理解することは出来ない。見て、実際にそのボディを触ってみるとそのすべてを理解することが出来る。 そう。簡単に言ってしまえば、手洗い洗車をすればそのデザインがすべてが分かるのだ。 自分の車や好きな車、気になる車のデザインをとことん理解したいのであれば、手洗い洗車をおススメしたい。 このクーペのウェッジシェイプが強調されたデザインは、フィアット・チェントロ・スティーレ(社内デザインセンター)が作り上げた傑作だ。 サイドのキャラクターライン、ダブルバブル形状のフロントライト部の樹脂など、その独特な形状は当時のイタリアンデザインの秀逸さを物語っている。このクーペのデザインは日本でも評価され、1995年のグッドデザイン賞を受賞している。 さあ、きれいになったクーペでさっそくFIAT・PICNICのスタート会場へ向かおう。
休日の軽井沢の朝、すがすがしい空気の中をカーサ・イタリア(旧軽井沢倶楽部)へとクーペを走らせる。
秋の紅葉に彩られた軽井沢の町はどこを見ても美しく、ただ車を走らせるだけでも気分がいい。 そんな軽井沢の町を新旧のフィアットたちが駆け抜けていく。
カーサ・イタリアにぞくぞくと参加車両たちが集まってきた。 チンクエチェントやバルケッタ、アバルトなどに加え、アルファロメオやルノーまでも。 受付を済ませ、モトテカコーヒーの出張サービスの珈琲と共に旧交を温める参加者たち。 開会式では、FIAT・PICNIC/ドライブラリーの説明が行われた。 このイベントに参加する9割の参加者はリピーターだ。これを聞けば、FIAT・PICNICがいかに参加者達の心を掴んで離さないイベントなのか?ということを察していただけると思う。
開会式にはゲストとして mCrt ラリードライバー 眞貝選手も登場し、来期もローマラリーへ参戦することを発表。個人スポンサーの募集も当日より始まった。
さあ、開会式が終われば、さっそく愛車たちに火を入れてピクニックにお出かけだ。 順番に参加者達が愛車で走り出していく。 さあ、クーペもコマ図ラリーに出発だ!
意気揚々と走り出してすぐ・・・旧軽井沢倶楽部に続く紅葉の美しい並木道を通り過ぎる・・・ いや、カーくる編集部員として、こんなにも美しいポイントで撮影せずに通り過ぎることなど出来ない!
タイムラリーにもかかわらず、最初から撮影のためにクーペを停めて大きくタイムロス!? いや、これでもまったく気にならないのが、タイムを競うラリーではないこのFIAT・PICNICのいいところ。 FIAT・PICNICのラリーは、コマ図通りにコースを走りきり、隠しタイムに如何に近いタイムでゴールするか?が勝敗を決する為、「速ければいい」という訳ではないのだ。 窓を開け、風と戯れ、エンジンの鼓動を感じ、愛車のエグゾーストノートを聞きながら秋の軽井沢を駆け抜ける。
コース上では、こうして停まって撮影をしてしまう事もしばしば。 すると後からスタートした車両に抜かれていく・・・
ドライブラリーは午前・午後の部に分かれており、今年のランチは軽井沢プリンスホテルのレストラン:ニューヨークを貸切にしてブッフェスタイルのランチだ。 参加者達はそれぞれにプリンス自慢のブッフェを楽しみながら午後の作戦を練る。
午後のドライブラリーも軽井沢を中心としたエリアを走り抜ける。 碓氷峠にある碓氷第三橋梁(通称:めがね橋)もコースに入っており、参加者たちは知らぬ間に軽井沢観光をすることとなる。
こうした観光スポットがドライブラリーのコースに入っているのが本当に嬉しい。 日本各地でドライブラリーイベントを展開してきたチンクエチェント博物館の心配りを感じられる。
紅葉の中、クーペを走らせること138キロ。ドライブラリーはとうとうゴールを迎える。 途中、カーくる編集部のクーペは1箇所ミスコースし、往復6キロも余分に走ってしまった。 それまでノーミスで走ってきていただけに悔やまれて仕方が無い。ロスタイムは15分ほど。
日も傾きかけた頃。ゴール地点のプレジデントリゾート軽井沢へ到着。 ぞくぞくと他の参加車両も到着してくる。 まずは無事にゴールすることが出来てホッとひといき。
スパイスレンタカーからお借りしたこのクーペ、ドライブラリーで色々な路面状況・ロケーションを走ったことで、クーペの癖や息遣いを理解することができた。 ストロークの長いシフトをグイッと入れ、アクセルを踏み込めば太いトルクに押し出されてクーペは走り出す。 モデル初期の4気筒ターボと異なり、スパイスレンタカーのクーペは2000年モデルの5気筒ターボのため、ターボの効きもマイルドで運転しやすいことこの上ない。
GTクーペの味付けがしっかりと熟成され、落ち着いた気分で乗ることの出来る気持ちのいいスポーツクーペだ。 無論、アクセルへの力の入れ加減によっては怒涛の加速を見せてくれるので、高速道路などで必要な追い越しも難なく可能。また、そのパワーに見合ったブレンボの4ポッドも装着されているので、ストッピングパワーも十分といえる。 しかし、ボディサイズ(全長4,250×全幅1,768)の割りに回転半径は大きめなので、狭い駐車場などでの転回には注意が必要。 高速道路、市街地、ワインディングと試乗に必要なすべてのロケーションで十分過ぎるほどハンドルを握り、たった24時間前にお借りした車とは思えないほど自分の体に馴染んで来たような気がしていた。
残念ながら、ラリーの結果は表彰台に登ることは出来なかった。 しかし、風光明媚な軽井沢を駆け抜け、コマ図を見ながらラリーをし、美味しいランチを食べ、清清しい空気をたくさん吸うことが出来て本当に充実した一日となった。 それでいいではないか。クーペを楽しめたのだから。
そして軽井沢にてもう一泊し、明けて日曜日。この日は昨日ほどの晴れ間は見えないものの雨の心配は無い空模様となった。 せっかく軽井沢まで来たのだからここに寄らずに帰ってしまう手は無い。 バイク好き、車好きが集まるカフェ モトテカコーヒーだ。
モトテカという名前を見て、レジェンド「浅間火山レース」を思い出される方も多いのではないだろうか。 そんなモトテカコーヒーにはバイク乗り、車好きはもちろん、サイクリングで立ち寄った観光客まで多くが集まる。 おしゃれで落ち着いた、それほど広くはない空間で香り高い珈琲をいただけば、軽井沢モーニングをユッタリと満喫することが可能だ。是非、愛車で立ち寄ってほしい。 さあ、モーニングを楽しんだらオプショナルツアーへ出発だ。 軽井沢から70キロほど走れば長野県 車山高原に至る。 ちょうど車山では日本一の自動車イベント French Blue Meeting /フレンチブルーミーティング が行われていたので道すがら立ち寄ることにした。 白樺湖もよく見えるほどお天気に恵まれているが、こうした天気のFBMは実は珍しい。。。 そして、車山高原の駐車場にはフランス車+フランス車+フランス車!!!
いつ来ても思うが、良くぞここまでフランス車ばかり集まったものだと感心してしまう。 レアなフランス車からフランス車の素晴らしい歴史を感じられるシトロエンまで、本当にここまで自走で登ってきたのか?と思われるような車両もちらほら。 そしてカーくるではおなじみの出展者様もあちらこちらに出展していた。
参加車両の中には、北京-パリ 大陸横断ラリーの完走車(実車両)までいてさすがに驚きを隠せなかった。 最後にはこんなフレンチばかりの会場にクーペで乱入し、参加者の皆さんから熱い?視線を感じたカーくる編集部だった。
ここ、車山高原はドライブで立ち寄るには最高のコースになっている。雪の無い季節はリフトで頂上まで登ることも可能で、お天気さへ良ければ素晴らしい眺望を楽しむことができる。
是非、皆さんも雪が降る前に軽井沢・車山をドライブされてみては如何だろうか。 スパイスレンタカーの懐は本当に広い。前回のPTクルーザー・カブリオも相当なものだが、今回のクーペ・フィアットも、レンタカーとして登録されている車両は日本に一台だけだろう。 最新のスポーツカーではないが、魅力的なボディデザインに酔いしれ、車を操る楽しさを十分感じられる。自動車にそれ以上の何がいるのか?それで十分ではないか。 今回は全工程800キロを走破したが、久しぶりの右ハンドルのマニュアルのスポーツカーだった。 たった60時間のオーナー気分であったが、正直に言えば、スパイスレンタカーにクーペを返却するのに違和感を覚えた。 もっと乗っていたい。いや、あれ?これって自分の車じゃなかったっけ?というような感覚になったのだ。 すでに情も移ってしまっていたようだ。 また乗りたい。すぐ乗りたい。日常の足として乗りたい。クーペ・フィアットはそんな車だった。 【取材協力】 チンクエチェント博物館 : https://www.facebook.com/museo500 スパイスレンタカー : http://spice123.jp/CarRental/application/index/index/2/1