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witten by 美あんこ
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新世代の FIAT 500 が鳴り物入りで登場したのが2007年。それから間もなく、その FIAT 500 をベースに開発された ABARTH 500 はクルマ好きを喜ばせただけでなく、ABARTH ブランド復活の立役者にもなった。
あれから10年以上が経ち、外観こそ大きく変わっていないが、コツコツと改良を積み上げてきた ABARTH 500 シリーズ。2017年には大きなマイナーチェンジが行われ、前後バンパー形状の変更でよりアグレッシブな印象となった顔つきや、タッチパネルモニターを採用したインフォテインメントシステムの採用などのアップデートが行われ、車名も ABARTH 595 シリーズに統一された。
その後も限定車の設定や細かい改良などが施され、いよいよ熟成を極めた感がある ABARTH 595 に改めて試乗してきた。
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現在の595シリーズは、595、595 Turismo、595 Competizioneと大きく分けて3グレードが用意され、装備の違いの他、エンジン出力がそれぞれ 145ps/180Nm、165ps /210Nm、180ps/230Nm となるのが大きな違いとなる。また、595 Turismo には電動オープントップを備えた 595C も用意される。

今回試乗したのは、595シリーズの中でも最もハイパワーでスポーティな「ABARTH 595 Competizione」。595 Competizione は、右ハンドルにはシングルクラッチの5ATと5MT、左ハンドルには5MTが用意されているが、試乗車は右ハンドルの5MT仕様。
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ABARTH 595 に接するのは久しぶりだったが、パッと見でそのコンパクトさが際立つ。昨今コンパクトクラスといえども全幅が1700mmを大きく超え、1800mmに達するものも少なくない中、この小ささはもはや独自の個性ともいえる雰囲気を醸し出している。


ドアを開けると、鮮やかなブラウンレザーのサベルト製のバケットシートが迎えてくれますが、腰かけると見た目とは裏腹に張りが強くかなり硬く感じる。そして座面が沈み込まないのでポジションが妙に高くスポーティなポジションとは言い難い。さらにペダルレイアウトもイマイチしっくりこない。特にフットレストはセンターコンソール裏に隠れ、クラッチ操作の度に左足が引っかかるのが気になった。狭い車内なので制約があるのは仕方がないが、MTモデルに乗りたいのであれば、輸入車の伝統に則り左ハンドルを選ぶのがベターのようだ。
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ダッシュボードセンターに設置されるタッチパネルモニターは7インチに大型化され、スマートフォンとも連動できApple CarPlayやAndroid Autoにも対応している。
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ラゲッジ容量は185L。リアシートは50:50分割可倒式でスペースを拡大できる。
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Competizione には標準でレコードモンツァのマフラーが装着されるが、エンジン始動時から車体のコンパクトさとは比例しない、勇ましく野太いエキゾーストが響き、いやがうえにもドライビングへの期待感が高まる。
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高性能車だが、クラッチは比較的軽く発信に気を使うことは無い。
ひとたび走り出すと、先程気になったペダルレイアウトやシートポジションなど、どうでもいいと思わせるくらいの楽しいドライビングが待っていた。
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小気味良くスコスコと入るマニュアルシフト、スパッと決まるハンドリング、ペダル操作に鋭く反応し湧き上がるパワーを発揮するエンジン、轟くレコモンサウンド・・・思わずニヤケ顔になり、「これぞ ABARTH だよね!」と自分に言い聞かせてしまうくらい、あっという間にサソリの毒気に当てられてしまった。

ABARTH といえばヤンチャなどっかんターボを想像するが、熟成されだいぶ調教されてきたのか低速からフラットトルクで乗りやすい。一方、高回転でははじけるように元気に回り一層”らしさ”を強調してきて、右足の自制心を保つのはなかなか苦労させられる。
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Competizione専用デザインの17インチアルミホイールから覗く、ブレンボ製4ポットキャリパーを備えたブレーキは、唐突感が無くストリートでも使いやすいフィーリングだが、いざ踏み込んだ時の絶対的制動力は期待を裏切らない。
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足回りに関しては、以前乗った時はもっとバタつきを感じた記憶があるが、今回の試乗車では剛性感が増し足回りの硬さもしっかり受け止め、ともすれば乗り心地いいね~とも思える場面も多かった。このあたりはコニ製のFSDダンパーも熟成が進み良い仕事をしているように感じた。


軽量、コンパクト、ハイパワー、さらにMTが選べるなど、クルマ好きを喜ばせる普遍的素材を、 サソリの熟成濃厚エッセンスで仕上げれば楽しくないはずがない。短いコースであったが、ドライビング中は笑顔の絶えないひと時だった。
変革の波が押し寄せる近年のクルマ社会の中にあって、時を経てなお変わらぬ ABARTH らしさに改めて驚かされると共に、まだ ABARTH は大丈夫だと妙に安心した試乗だった。

巷の噂では電動化されたパワートレインが主流になりそうな次期 Fiat 500。それをベースに開発されるであろう ABARTH において、願わくばこれまでの伝統を守りつつも次世代の ABARTH らしさってのも見せてほしいと期待せずにはいられない。


ABARTH 595 Competizione

<主要諸元>
全長×全幅×全高:3,660×1,625×1,505mm
ホイールベース:2,300mm
車両重量:1,120kg
エンジン種類:1.4リッター 直列4気筒DOHC ターボ
最高出力:132kW(180ps)/5,500rpm
最大トルク:230Nm(23.5kgm)/2,000rpm
トランスミッション:5段MT
駆動方式:前輪駆動
燃料消費率:13.1km/L(JC08モード走行)

メーカー希望小売価格:383万円(消費税込)
試乗車には以下のオプションが装備
スペシャルソリッドカラー(55,000円)
ETC車載器(13,200円)

アバルト 公式サイト:https://www.abarth.jp/

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February 12,2020 Wed  |  JAIA輸入車試乗会2020
 

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