現行の「ポロ」は5代目を数える。その5代目が日本に導入されたのは2009年で、もう今年7年目へと突入するモデルである。そろそろモデルチェンジをしてもよさそうなタイミングであるが、昨年このポロにユニークなモデルが加わった。それは「6速マニュアルトランスミッション」を搭載したモデルである。これはスポーツモデルである「ポロ GTI」「ゴルフ GTI」「ゴルフ R」の3車種に追加された。マニュアルトランスミッションよりも変速速度が速く、効率がいい「DSG」をあれほどプッシュしていたフォルクスワーゲンが言わば「先祖返り」したようで、不思議である。しかし、日本ではマツダも積極的にMT車を投入し、ルノーなどもMT車を導入している。少数の層でも、欲しい人がゼロでなければ導入するインポーターの姿勢はなかなかのものである。
エンジンは直列4気筒1.8Lターボエンジンを搭載し、最高出力は192馬力を発生させる。最大トルクは320Nm(32.6kgm)を1,450~4,200回転という広い域で発生させる。ゆえに、発進のクラッチのつなぎは容易であるし、エンストもしにくいといえるだろう。
話題の6速MTは前輪駆動でありながらシフトフィーリングは悪いものではなく、ショートストロークでスパッとギアの決まる気持ちいいものである。
近頃のクルマらしく、アイドリングストップが装備されており、停車してクラッチペダルを離すとアイドリングストップし、クラッチを踏むと再始動するというのは他のメーカーと同じである。
筆者はつい先ごろまで「シトロエン DS3 スポーツシック」に乗っていた。パワーはポロGTIより劣るものの、Bセグメントで6速MTというポイントはよく似ている。だからこそ、どうしても比較しがちになってしまった。
低回転からトルクのあるエンジンで、クラッチミートのしやすさはどちらもよく似たところ。そして、前輪駆動ながらシフトフィーリングの良さもどちらも魅力的なところ。大きく違ったのは乗り味である。ポロはいかにもドイツ車の典型のような、「がっちり」した乗り味。DS3はスポーティなグレードでも、足回りはしなやかでいかにもフランス的な乗り味である。実際、私はどちらが好きかというと「DS3」の方を好んだ。しかし、これは完全に個々人の好みといえると思う。
実際のところ、カーくる編集部の他の編集部員の数人はこの「ポロGTI」に対する評価が結構高かった。それは「素に楽しめるのがいい」という意見だった。案外、私もDS3を所有していなかったら、そう思ったかもしれない。
フォルクスワーゲン ポロGTI
主要諸元
全長×全幅×全高:3,995×1,685×1,445mm
ホイールベース:2,470mm
車両重量:1,240kg
エンジン種類:直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ(4バルブ)
排気量:1,798cc
最高出力:141kW(192ps)/4,300~6,200rpm
最大トルク:320Nm(32.6kgm)/1,450~4,200rpm
トランスミッション:6速マニュアルトランスミッション
駆動方式:前輪駆動
燃料消費率(JC08モード走行):15.9km/L
メーカー希望小売価格:327.5万円(消費税込)
※試乗車は363.626万円(714SDCW・LEDヘッドライト装着車)
フォルクスワーゲン公式サイト:http://www.volkswagen.co.jp