へレスでの日曜日は、レプソル・ホンダーチームにとっての幸運・不運が入り混じった驚きのグランプリとなった。ダニ・ペドロサの素晴らしい幸運からロッシの転倒に巻き込まれてリタイヤに追い込まれたケーシー・ストーナーの不運まで。アンドレアはレースでトラブルを抱え、ガレージでストップした後12位でレースを終えた。
レースはストーナーがトップに立ち、ダニ・ペドロサは9位に後退したが、3人のレプソルライダーにとっては良いスタートで始まった。アンドレア・ドビツィオーソは2つ順位を上げて4位になったが、ストーナーがシモンセリに抜かれて2位に後退した2周後、バレンティーノ・ロッシに追い抜かれた。
さらに3周後、ロッシはロレンソを抜いて3位に浮上、ケーシー・ストーナーは、ストレート・エンドでマシンのコントロールを失ったこのイタリアンの転倒に巻き込まれた。レプソル・ホンダチームのライダーはコースに戻ろうとしたができず、オフィシャルの誰も彼を助けなかったことに憤った。
同じ周、ペドロサはチームメイト、アンドレア・ドビツィオーソを抜いて5位に上がり、次の周ではペン・スピーズをとらえた。彼が"Sito Pons"コーナーでアメリカンライダーを追い越し、Dry Sackストレートの最後に4位に上がるのに1周しかかからなかった。カスティーリャ出身のライダーは順調にポジションを上げ、11周目にはニッキー・ヘイデンを抜いて表彰台圏内に入った。
その何秒か後、トップを走っていたマルコ・シモンセリがコントロールを失い、ペドロサは2位に浮上。ダニはペースを落とすことなくロレンソとの差を回復し、マジョルカ出身のライダーの1秒背後にまで迫ることができた。しかしレプソル・ホンダチームのライダーは負傷しており、肉体的状態がすぐに問題になることを知っていた。レース中盤、彼は同郷の相手をとらえることをあきらめ、ミスなくマシンに留まり3位スピーズとの差をキープする、彼にとって新しいレースが始まった。
残り5周、アルベルト・プーチの教え子はスピーズの新たなアタックを受け次の周"Dry Sack"で抜かれてしまったが、今回スペイン人は、1周後にスピーズがクラッシュすることで2位を回復するという幸運に助けられた。48時間後に左腕の感覚を回復させるためにチタン・プレートとねじを取り外す外科手術を予定しているレプソル・ホンダチームのスペイン人にとっては、苦労して手に入れた、価値ある表彰台である。
ドビツィオーソは多くの問題を抱え、タイヤは完全にすり減っていたので、タイヤを交換するためにガレージに戻らなくてはならなかった。最後尾でレースに復帰したにもかかわらず、イタリアン・ライダーは12位でフィニッシュし、努力の甲斐ある4ポイントを得た。
総合順位では、ペドロサはトップのロレンソから9ポイント差、カタールで25ポイントを得ている3位のストーナーとは11ポイント差の計36ポイント、2位へと順位を上げた。アンドレア・ドビツィオーソは17ポイントで総合7位となっている。
ダニ・ペドロサ 2位
とても難しいレースだった。スタートでは多くのライダーが僕を追い抜いて行ってもうだめかと思った。レースは27周あるし、状況はタイヤにとって厳しい。悪いスタートで少しナーバスになったけど、1週目がウオームアップより早かったことに気づいた時、落ち着きを取り戻した。
クラッシュしやすいコンディションだったので、ミスをしないよう最大の集中力でライディングしなくてはならなかった。何人か転倒し始め、注意しなければならなかった。ロレンソとの差が1秒を切った時、彼を捕まえようとしたが、残り10周でタイヤは終わりかけていた。ストレートでさえ満足にスロットルを開けることができなかった。腕のけがにとっては厳しい週末だった。今日もしびれがあって力が入らなかったけど、ウェットのライディングはドライほどアグレッシブでないことが幸いした。カタールで3位の後にへレスを2位で終えられたことはうれしい。手術を考えた時、レースを走るべきかどうか考えた。だからこの2位は素晴らしい結果だ。素晴らしい仕事をしたけど、ハードな時間、手術がやってくる。誰も手術は好きじゃないけど、痛みと身体的問題を終わらせて完全な状態で戦いたいから、今回は前向きな気持ちだ。
アンドレア・ドビツィオーソ 12位
今日起こったことにがっかりしている。なぜ起こったか正確に理解しなければならないけど、リアタイヤが正しく機能していなかったと感じた。そのうえトラクション・コントロールのセットアップが今日のコンディションに合っていなかったので、そのことが状況をより悪くした。
トラクション・コントロールが低すぎてマシンはひどくスピンするし、タイヤは熱くなりすぎていた。残り10周の時、そのまま行くのは危険すぎると感じたから、タイヤを交換してレースを終え、ポイントを得るためにピットへ入った。ウェットの中でも僕らは競争力があったし、今日は良い結果を出すのに良い条件だったからとても残念だ。ウオームアップの時はすべて良好で、問題はなかったのに…。
ケーシー・ストーナー リタイヤ
良いスタートを切れたし、バイクは初め何周か良い感じだった。その後タイヤが少し動く感じだったので、再び雨が降り出した時に備えてチャンスが欲しかったので、ウェットでがっかりした。
しかしここではウェットでもドライでも競争力があったし、これは僕らにとってとても重要なことだ。このサーキットは僕にとって過去素晴らしいものではなかったから。たくさんのハードワークの後にこのようなレースになってしまったのは残念だ。チームが週末ずっとすばらしい仕事をしてくれたのに、手ぶらで帰らなければならないなんて。
バレンティーノが近づいてきたのが聞こえた時、その時点で抜かれることは気にしなかった。だから彼に十分なスペースを空けてやった。クラッシュはレース中の出来事だから仕方ないけど、失望したのはオフィシャルの反応だった。バレンティーノだけを助けに言ったことは信じがたいことだ。今はただ次のエストリルでのレースに向かいたい。そこでは再び競争力を発揮できるはずだ。