賢者オーナーが辿り着いた”地理的想像力”とは?
平日3480円というシェア料金なだけあり、エスティマのシェアリクエストで多いのは、学生や社会人1〜3年目の若年層。また、7人乗りのクルマなので、友達みんなでドライブするためにシェアリクエストするケースが多いという。
そこで、田川氏は彼らの用途に合わせたこんな工夫をしている。
「学生さんはみんなが集まりやすい場所を集合場所にしてるんですよね。私のクルマの受け渡し場所の50%は新宿。やはり、自宅からはやや離れていても、新宿や渋谷などの大きい街はシェア場所として登録しておいたほうがいいですよね」
新宿に加え、自宅のある荻窪も受け渡し場所に指定しているが、そこにも地理的な魅力を紹介文に盛り込むことで”引き”を作っているという。
「クルマの返却時に、シェアした方とよく雑談していたんです。すると行き先の傾向がわかってきた。私のエスティマで富士急ハイランドに行く人が多かったんですよ。特に学生さんは半分くらいがそうでした」
そこで、田川氏は富士急ハイランドから自宅駐車場の距離を調べてみた。その距離は、往復で約215km。
「Anycaでシェアされているクルマって、24時間の距離制限が200kmというケースが多いですよね。でも、片道で100kmだと荻窪から宇都宮や高崎も行けないんです。当然、草津にも日光にも行けない。なので、シェア時は”距離制限なし”に設定しました。日帰りで利用した場合、そこまで遠いところには行かないでしょうし、まあいいだろうと思いまして(笑)」
なんというユーザー目線!そして地理的想像力!
そんな想像力を駆使して、田川氏はプロフィール文にこんな文言も盛り込んだ。
「最初のアピール文に<距離制限なし!荻窪なら、環八で用賀高井戸練馬に便利!>と、高速道路を使う人にとって魅力的に映るような文言を入れました」
富士急ハイランドから都心に戻る時、中央道のインターチェンジがある高井戸から一本道で荻窪まで向かえるのは、普段運転しない若者には嬉しいはずと考えたのだ。
「用賀は東名高速道、練馬は関越道の入り口があります。高速道路を使うドライバーだったら、どんな言葉が魅力的か考えて利便性をアピールしてみたのです。結果、シェアリクエスト数は増えましたね」
東京という街は、利用する交通手段によって”便利な街”が変わる。電車移動の人にとって便利な街は、新宿や銀座などの複数路線が通る場所。
だが、クルマ移動を主とする人にとっては、環状七号線や山手通りなど、主要道路へのアクセスが容易であったり、大きな交差点の近くが便利な街となる。田川氏は、利用するドライバーの行動を想像してプロフィール文を書くことで、彼らの支持を集めていたのだ。
国産ミニバンを所有するのにいくらかかるのか?
ここまでシェアされやすくするためのコツを聞くと、Anycaでクルマをシェアすることを前提にしてクルマを所有しようと思う人も少なくないはず。
そこで気になるのはランニングコスト。田川氏に現在所有しているエスティマのランニングコストを聞いてみた。
「駐車場代が毎月2万円。車検代が2年で10万円なので1年で5万円。車両保険代が年間2.5万円かかっています。 エンジンオイルの交換もありますが、 ざっくりで言うと駐車場代を除けば3ヶ月で平均1万円くらいでしょうか」
国産ミニバンならば、そこまで高くはつかないと思った人も多いかもしれない。
あなたの住む街がドライバーにとってどのように説明すれば魅力的に映るのか。現在、Anycaで愛車のシェアを検討している方は、田川氏の言葉を参考に自身のプロフィール文を考えてみてはいかがだろうか。