調査の途中、「どうせ車を買うのなら、今までの買い方ではなく、ネット時代の新しい車の買い方にチャレンジしてみては?」と思うようになった。
知り合いの修理工場の方に相談すると、自動車販売業者のみ参加できるオークションがあるらしく、それは、なんとインターネットだけで完結するとのこと。
つまり、現物を一切みないで車を購入するということである。
確かに高額な買い物であるし、一抹の不安は残ったが、この新しい買い方にチャレンジすることにした。
それからは毎日、修理工場の方と業者オークションの画面を見ながら、「これはどう?こっちはどう?」と検討を重ねていった。
そして、ちょうどタイミング良くAudi A5 スポーツバックの掘り出しものが現れたのである。
距離は7万キロちょっとオーバー、ワンオーナー、ディーラーでのメンテナンスを継続していた上物である。そして、なにより妻がほしがっていた赤いカラー。
妻は現在WEBで展開している、カフェやコーヒーのライフスタイルメディア「カフェンド」で編集長の職務に就いており、取材を行う時に車を使用したいとの要望があった。
ただし”画になる車”でなければ、と。
その点、このAudiは官能的、それでいてエレガントなボディー、全く申し分はない。
私は迷わず、その車に決定し、大急ぎでローンの申請をした。
それから数日でローンの審査がおり無事通過、これで障害はなくなり、あとはオークションにて落札するだけとなった。
オークション日当日、最低入札価格から金額を入札していたのだが、なんと欲をかいてしまい、(安く購入しようとした)オークション自体が流れてしまったのである。
これには、相当焦ったが、なんと救済措置として、交渉落札なるものが存在した。
これは、売り手が希望の金額を買い手に伝え、双方納得すれば売買成立という仕組みである。
私はこの交渉落札にかけてみることにした。
結果は大成功。
売り手は思ったよりも高値を吹っかけてこず、当初の予算範囲であったため購入が確定した。
こうして私たちは、初めて現物を見ずに車を購入したのであった。