※この記事は、7月17日に「新しい国立競技場についての計画が白紙に戻される」ことが発表される前に記述・掲載致しました。
東京オリンピックに向けて建てられる「新国立競技場」が、最近話題になっています。
(個人的に色々と思うところはありますが、それは置いておいて・・・)
この話題を通じて、これをデザインしたザハ・ハディッドさんという建築家の名前も有名になりました。
極めて斬新なデザインを得意とする方で、「現代建築における脱構築主義を代表する建築家の一人」なんだそうです。
女性初かつ最年少で建築界のノーベル賞ことプリツカー賞を受賞されたという経歴もお持ちです。
(ちなみに安藤忠雄さんも20年前に同賞を受賞されています)
「国際的なコンペで優勝するものの、フォルムが斬新すぎて完成をみないまま立ち消えになってしまう」ことも度々あり、「アンビルトの女王」(unbuilt:建たない)、なんて呼ばれたりもしているようです。
ちなみに実際に建設された過去の事例はこんな感じです。
景観の印象もガラリと変えてしまう程、斬新なデザインですね!
そんなザハさんは、実はBMWの施設を設計したことがあります。
ドイツのライプチヒ工場の一角の「セントラル・ビルディング」です。
旧東ドイツ地域で2番目の大都市であるライプチヒにあり、「電力を全て風力発電でまかなう」という画期的で新しい工場です。
外観はシャープではあるものの、ザハさんの設計にしてはおとなしいように見えますが、斬新なのは中身です。
なんと、オフィスの頭上をホワイトボディ(塗装前の車体)が流れて行く構造になっているのです!
それだけでなく、社員食堂の頭上も流れます!
音や匂いは食事の妨げにならないのかとも思いますが、問題ないのでしょうね...?
といっても、生産ラインをわざわざ遠回りさせたわけではないようです。
プレス工場と塗装工場が別棟になっており、その間にオフィス施設を作るにあたって、あえてこのような2層構造にしたということのようです。
斬新さと共に、人と車の親和性やサスティナビリティを表現することも狙っているのかもしれません...?
他にも、工場の一角にあるショールームもザハさんが手がけているようです。
「地表から滑らかに隆起し、2つの建物が組み合わさっている」とのことで、こちらもサスティナビリティや自然との調和を表現しているのかもしれません。
斬新な建築家と、企業の明確な趣旨の結び付きの好例?といったところでしょうか。
(ちょっとひいき目が過ぎるでしょうか・・・^^; )
最後に、冒頭の話題に戻りまして・・・
新国立競技場の総工費は2520億円(以上?)にもなると報道されています。
莫大な金額なのでしょうが、どれほどすごい金額なのかピンと来ません。
そこで他の有名な建造物と比べてみると・・・
603億円:日産スタジアム (1998年・日本最大のスタジアム)
650億円:東京スカイツリー (2012年・日本で最も背が高い建築物)
1700億円:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン (2001年)
等よりも大幅に大きな金額です!
(昨今は建設関連費用が高騰しているので、単純に比較はできませんが)
視点を変えると、
2100億円:ギリシャのIMFへの債務 よりも大きく、人口1千万人の国の運命を左右する金額だとも言えます。
この計画がこの先どうなっていくのかは分かりませんが...
費用は有効に、建物は有用に使えるように進めてほしいですね...! G.Sekido
★★★★★★★ 追 伸 ★★★★★★★
このブログ掲載後の7月17日(金)に、「新しい国立競技場についての計画は白紙に戻される」ことが発表されました!